彼方の向こう

 「地獄を見せろ。
 
 
 鳩の借りたいという意思と、きういの「借りても、失礼じゃあないよね」という曖昧な判断が合致した場合、これから他キャラを弄りに行こうかな、とか。
 
 楽しいことですしね……他の方と絡むのは。AFOは親しい人いないので、鳩の身近な話になってしまいますが。
 
 ……パン屋のネタ?正直某常葉さんとはゲーム中実際に出会ったこともないので……。弄りようが無いってのもまたあります。
 
 あとパン屋のキャラも鳩の中で定着してない、というのもあります。
 
 では、本編をどうぞ。
 
 sabaku様、怒っていいですよ……。
 
 
 
 「汚ぇなあ。」
 
 その女は、赤い髪を振り回すように部屋を見回した。
 ベッドと箪笥と本棚があるだけの、コンクリート打ちっ放しの部屋が、眼鏡に映る。壁を走る罅と薄い日光が退廃の歌を歌っている。
 
 「俺の仕事場とどっこいぐらいだ。」
 「すいませんね、やもめなもんで♪」
 
 応えたのは、ベッドに腰掛ける背の高い男。
 こちらは短く黒い髪をオールバックにまとめ、にこやかに笑っている。
 
 「生活感が無いっちゃあないのか?」
 「食事は別の部屋で取りますしね?本当に休憩の為だけに使ってます。」
 「ベッドの下にエロ本とかねえの?」
 「僕が誰と同居してると思ってるんですか?」
 
 一拍置いて、女が豪快に笑った。
 
 「あっはっはっはっはっはっは、そうだ鳩ちゃんだよな!あの子なら掃除とか言って勝手に見つけそう!」
 「そんでテーブルの上に並べるんですよね。」
 「おかんかっつーのな!あれ、何で並べるんだろう?」
 「日本のお母さんは子供を生んだら、『何でも片付けたがる遺伝子』が覚醒するんじゃないかと僕は睨んでいます。」
 「都合イイいきもんだなおい!」
 「で。」
 
 く、と男が目を開き、上目遣いで女を見た。
 
 「どうすんです?」
 「ん、あーーーー……。」
 「もう一杯お茶します?」
 
 彼女をもてなした紅茶は既に、先ほど話題に上った『母親のような同居人』が片付けている。
 
 「トイレに行きたくなりそうだからいいや。そうすっとまた先延ばしにしそうだしな。」
 「僕は別にあなたの小便なら飲んでもいいんですけど。」
 「次郎、お前そういうこと本当にさらっと言うよな。」
 「別に、折角来て頂いたんですから、何か得てから帰って頂きたいかなと思っているだけで。
  あなたの家政婦さんも今日はお留守番ですし?」
 「……ん。」
 
 女が少し顔を伏せる。
 
 「気になります?ご自分の逢魔が。」
 「そりゃまあ少しは?次郎は大丈夫なのか?下で鳩が家事をやってる上でいんぐりだのもんぐりだのすんのは。」
 「正直初の体験ではありますが、気にはしませんよ。僕も鳩も。」
 「お前みたいにゃ開き直れねえなあ。」
 
 女は困ったような顔で、豊かな髪を掻きあげた。
 やり場に困った視線が、本棚に止まった。
 
 「うへ、ドストエフスキー、カフカ、シェイクスピア?何このインテリな棚!」
 「インテリアの為に。」
 「読んでねえのかよ、洒落かよ!つまんねーよ!インテリアだったらまずこの壁から考えろ。」
 「読んでるのは鳩です。僕も読んでますけどね。」
 「鳩ちゃんこの部屋来るの?」
 「何しに来るのかは、聞かないでいただけるとお互いの為だと思いますよ♪」
 
 次郎はにこりと笑う。女性と二人でいるこの部屋に、他の女性の名残りがあるなんて話は、ムードを壊すのもいいところだ。
 
 「それ、言ってるのとほぼ同じだ。空気の読めない男め。」
 「そいつは失礼を♪
  座りません?」
 
 次郎がベッドを叩く。
 次郎の目線に、女が逡巡する。
 
 「どうしました、虹子(こうこ)さん?」
 「何か、座ったら戻れないような気がするんだ。」
 「無事で返す気ないんですけどね。」
 
 次郎の間髪入れない刺す様な言葉に、虹子の背筋は少し寒くなった。
 そして、自らを奮い立たせるようにどかっと、次郎の横に座る。
 
 「……。」
 「やっぱりダメだとか思ってますか?」
 「いや!俺はやると決めたらやるから!やる女だから!」
 「そうであって欲しいですね。」
 
 次郎の言葉には、もう半ば諦めが混じっている。
 ああ、この魔族は。いや、『この女』は。
 おっかなびっくり一人でなければ、立っていられないんだ。
 誰かに寄りかかるようには生きていけない。一瞬ぐらい良いとすら割り切ることが、出来ない。
 
 「大丈夫ですよ。」
 「何がだ?」
 「何事もなくかどうかは、保証できないが……五体も心も満足でお返しします。」
 「何する気だったんだよ。」
 「そっちこそ何をされるつもりでここまで来たんですか?」
 
 男が笑う。朗らかに。
 同じだ。この女は、自分と同じだ。
 人間であるとか、女であるとか。そういう、自分が置かれた境遇を否定し続けてやっと立っていられる。
 そして、立ってしまったが最後、もう座ることも身を横たえることも出来ない。起き上がれなくなるのが怖いから。
 だから、大丈夫だ、と言った。
 僕にはそもそもあなたを支える力などない。あなたに支えてもらうには、あなたの肩は細すぎる。
 袖を摺り合う他生の縁で済んでしまう自信は、ある。
 
 「やっぱ帰るわ!仕事まだ残ってるし、セラ心配だし。あいつさあ、時々勝手に冷蔵庫開けて俺の」
 「やると決めたことはやるんでしょう?」
 
 次郎の手が、袖を掴んでいた。
 
 「帰ると決めたから帰るんだよ!」
 
 虹子は振りほどく。
 
 「あなたは大丈夫ですよ。」
 「何が!」
 「僕じゃああなたを壊せない。」
 「弱気だね、掃除屋の癖に。」
 「歴史上、男が女に勝ったことなど」
 
 次郎が立ち上がる。
 
 「ただの一度も無い。」
 
 長身が、彼女の目を見下ろした。
 
 「……。」
 「……。」
 「……なんだよ、頭掴んでキスでもするんかと思った。」
 「望まないことはしません?」
 「俺はここに何をしに来たと思ってるんだ。」
 「逃げようとしたくせに♪」
 
 ああ、確かに。
 男の笑みを見つめながら、虹子は自分の予感を確信していた。
 
 『俺とこいつなら、きっと世界最強のロクデナシが生まれるに違いねぇ』。
 
 くっくっくっくっく……。
 
 「どうしました?」
 「いやあ、一つわかっただけさ!……俺は帰る!今度は止めるなよ。」
 
 次郎は肩を竦めた。
 
 「そいつは残念。また気が向いたら、よろしくお願いしますよ。」
 「ああ、気が向いたらな。」
 「終わりましたか。」
 
 虹子が言い捨てた途端、ドアが開いて灰色の髪をツーテールに結んだ少女が現れた。
 
 虹子はのけぞる。
 「鳩ちゃんずっとそこにいたのか!?」
 「いました……。」
 
 次郎が笑う。
 
 「気になりました?」
 「それなりに。」
 「鳩ちゃんの主はお返しするよーう。ごっつぉさん。」
 「……もう少し借り受けていていただいてもよろしいのですが……。」
 「胸焼けするから♪」
 「酷いな♪じゃあ、また、次の機会に。」
 「ああ、その時にはバイアグラ持って来るよ。怪し~~~ぃ海外通販の奴!お前、魔皇じゃ勃たないんだろ?」
 
 空気が止まった。
 鳩の顔が、僅かにこわばりを見せる。
 
 「ご冗談♪きれいな女を見ておったつのは男の礼儀ですよ?」
 「次郎、結構嘘下手なんだな。」
 
 目が濁ったのがわかったよ。
 ああ、そうだ。
 こいつは、『俺と同じ』だ。
 我(が)を信じていないと、一秒だって立っていられない。
 話には聞いてたが本当かよ、『掃除屋は逢魔にだけご執心』、とか。いや、まあ何となく雰囲気は察知してたが。
 次郎には、鳩こそが似合いだ。
 多分、俺が「するぞ」と言ったら「した」だろう。でも、それはこいつが男だから体が反応できるんであって、心まで勃起させることは出来ない。俺では、こいつの心に届かない。
 いや、こいつとか他の男とか本当はどうでもいいんだ。ただ、自分に似た奴がいるってのが、こんなにおかしいことだったなんてな。
 
 「大体誰が言い出したんです?そんなこと。」
 「ユーメイだぞー?瑠璃のロリコン魔皇筧次郎!って」
 「何て不名誉な、不誠実な!」
 「そうです。主は男性魔皇すら連れ込んだ実績があるのに。」
 「え、マジで?おい次郎さっき初の経験とか言ってたじゃねえか!」
 
 思わぬ報告に狼狽する。ていうか鳩……お前本当にこの男が主でいいのか?
 
 ……いや、そうか。
 
 「本当にさくっと嘘をつくんだなお前は!じゃ!俺は帰るから。」
 「ええ、次のお越しをお待ちしております♪」
 「……また、どうぞ……。」
 
 虹子の後ろで次郎と鳩が恭しく礼をした。
 虹子がそれに後ろ手を振る。
 
 そうだ。こいつは男だから、体で反応できる。
 だから、男だろうと女だろうと、魔皇だろうと人間だろうと、「するぞ」と思えば「できる」んだろう。「した」からと言って心まで変わるわけじゃない。
 俺には無理だった。俺の体と心は切り離せない。体が踏み出してしまえば、心がついていく。
 
 
 『俺は、この世界に自分以外に何もいらない。』
 
 わかっている。手を引く奴が居れば、きっと心ごと俺は楽になっちまえるってのも。
 でもああ、筧次郎。お前は俺と同じなんだな。俺もお前も、お互いの手を引けない。怖くて。
 
 『お前も、この世界に自分以外何もいらない。』
 
 でも、同居人の手を握ってる。俺と同じように。
 
 残念だよな、俺とお前なら、本当に間違いなく碌でもないガキが生まれそうなのに、俺が俺で、お前がお前だから、それは無理なんだ。
 
 「さ!セラになんか土産持って行くかな!」
 
 笑顔と大声で絡まる思考を切り捨てると、虹子は一階の冷蔵庫から饂飩をスーパーのビニール袋にがさがさと詰め始めた。
 
 
 「主……。」
 「何です?」
 
 部屋には、鳩と主・筧次郎が取り残されている。
 
 「あの方は……。」
 
 上手く言葉が出てこない。
 何故何もしなかったか?違う。どんな気持ちでここに連れて来た?違う。あの魔皇様をどう思ってる?違う。
 
 「魔人など、ゴミです。」
 
 続きを待たず次郎は言い捨てた。
 
 「それは、変わらない。」
 
 輝きそうなほどに朗らかな笑みを向けられ、鳩ははい、と頷いた。
 
 
 「でさ、俺が帰ろうかなって思ったら天井がギシギシいいやがんの。ネズミでも走ってんのかと思ったらどうもなんかもっと重い感じでさ、ありゃーー!あれはアレだなあ。あーあー、俺まだ下にいるっつーのに!な!」
 「どーすんのよあの饂飩!うちの冷蔵庫に全然入りきらないんだけど!」
 
 虹子の家では、逢魔セラが怒鳴っていた。
 
 「でさー、もー好きにしろよと思うと同時に女がここにいるのにおっぱじめるのがちょっとむしゃくしゃしてな?
 少しだけ覗いた。」
 「覗くな!」
 「いや、結構ね。目から鱗だったよ。耳に髪がかかって邪魔だからって、鳩がツインテール解いてポニテに変えてて、その間次郎が待ってる感じとかちょっと間抜けだったりして、へーっ!て。」
 「……ごめん虹子、その話もちょっと詳しく聞かせてくれる?」
 「身を乗り出すなよ!エロ!エロス!」
 「覗いた人に言われたくないわよ!」
 
 今日も世界は平和です。
 
 
 
 
 つーか、エロスかヴァイオレンスが絡まないと鳩は執筆意欲がわかないのです……。
 
 脳味噌は多分男性なのじゃないでしょうか。それか成長期に大量に男性ホルモンを分泌する体験をさせられたか……。
 
 ……心当たりは、ある。
 
 ……とりあえず、これが好評だったら少しずつ他の方々と絡めて行って最終的には×××に辿り着く……予定。
 
 それ以前に、二つ目三つ目できるんだろか……。むう。」
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