終わらない打ち止め

 「じゃあ死なない。
 
 いい加減、暑中見舞いピン来ないかなあ……。
 
 
 ネヴァーエンディングの幕開けは、さらに数年後の未来……。
 BGMは、バンプオブチキンで「グロリアスレボリューション」。
 
 幾何学的にして有機的なフォルムの建築物、テンプルム。
 その中をひた走る二組の、男女。
 一人の男は半そでシャツにブルージーンズ、相方の女はサングラス、白いハンチング帽とゴスロリドレス。
 もう一人の男は車椅子で、それを押すのは相方の女はメイド服。 
 走る走るひた走る。その背後に二十倍する足音を引き連れて。
 「アリッサァッ!!」
 ジーンズの男がメイド服に言った。
 「な、何です!筧様!」
 息を切らしながら、女はやや面倒そうに口を開く。
 「苦しいときこそぉ!」
 「はいぃ!?」
 「笑うんです!」
 ニカッ!音が出そうなほど、その男は笑って見せた。アリッサと呼ばれた女は呆れ、車椅子の男は興味を示さない。
 「あっはっは、あーーーっはっはっはっはっは!」
 「ふ、ふふふふふふ、うふふふふふふふふ!」
 「し、師匠?」
 男に釣られたゴスロリの女の笑いは、アリッサにとって思わぬ不意打ち。
 「あははははは、あっははっはっはっははは♪」
 「腹から、力、が、わいてくるようです、ふふふふ、ふ、うふふふふふふはははははは!」
 「は……はは……ははは。」
 「……。」
 走る走る。
 「楽しいですねえ、あっははっははははははは♪」
 「ふふふふ、うふふあはははははははははは!!」
 「確かに、負ける気がしなくなりました!あはははは!」
 「……。」
 「では、僕らはこちらなので!」
 男は急ブレーキをかけると、相方の女と息を合わせて左の扉を蹴り飛ばした。
 「御武運を、筧様!」
 「……では。」
 「アーーーーーッハッハッハハッハハハ!バカですねえ、せっかくの戦力を二分するなんて!」
 アリッサと車椅子の男の正面に、天使が立ちはだかった。半裸のファンタズマと、白い服のグレゴール。
 「共生なんてなんておこがましい、蟲は潰すもの……っとお!」
 グレゴールの手があわてて障壁を作り上げた。ぶつかったのは、車椅子から飛び出した男。その身に、黄金の鎧を纏って。
 「うっとうしいんだよおおおおお!」
 だが、光の障壁を解くわけには行かない。ファンタズマ、グレゴール二人がかりの神輝力でやっと支えていられる、圧力。
 アリッサは思い出していた。似たようなグレゴールがいたことを。さっき別れた、筧という男とよく似た、その、ゲシュタというグレゴールを。
 「マスター!」
 「アリッサ。」
 バリバリと音を立てて光とぶつかりながら、男――――クロウス・バスティーユは言った。
 「笑え。」
 「……はい!マスター!」
 レプリカントのアリッサは、笑顔で、その身に内包する『限界』を『突破』する……。
 
 
 「よぉうジロさんお急ぎで?俺はお待ちかねだったけどなっ!」
 「あはは、すいません♪」
 「あ、鳩ちゃんが笑ってる、メズラシー。」
 「これ位演技で誰でもできます……。」
 筧と鳩が走る上から落ちてきたのは植松宗撰とインプのティア。
 「たくよー商売にならないっつんだよ、俺がどこまで神経使ってここまで潜んできたかってゆー、」
 「お詫びの印はお渡ししますよ!」
 走りながら筧が投げ渡したのは、濃い紫色の結晶。
 「アメジスト?」
 「ノンノン、紫の夜の結晶です♪」
 「え?」
 「非売品ですよん♪では、あとよろしくっ!」
 「よろしく……。」
 植松とティアを置いて筧と鳩は走り去っていった。
 「よろしく、だと。」
 「宗撰!」
 いたぞ、ここだ、追え!
 殺到する天使たち。
 「あんのド畜生め。」
 宗撰は、紫の結晶を痛いほど握り締めた。
 「この俺に足止め役だと、ティィアアアアアアア!!!」
 「顕現せよ、君臨せよ、殲(せん)し滅(めっ)せよ偉大なる我等が祖先の魔において!インクウィジター!」
 「この俺に殲騎まで使わせて!」
 黒い機の魔神が、虚空より現れ二人を包んだ。
 「高いもんにつくぜ、へっ、ガァキどもおおおおおおおおお!」
 魔神の首に巻かれていた白いマフラーは死神の鎌となり、群がる天使たちの命を刈り取った。
 
 
 
 「通す訳には、行きません。」
 「またお前らかよ。」
 「おっほぅ、これはとんだサプライズ、しかし残念、今日はパーティ衣装を持ってきていないんですよっ!」
 言うが早いか、次郎は立ちはだかる月島日和の頭上に飛んだ。肩から魔皇殻、ショルダーネイルを生やし、そのまま天井にぶら下がる。
 月島の後ろに控えていたナイトノワールの悠宇は、構えていた魔力の行き場に一瞬戸惑ってしまった。
 『重力の檻』。動きを止めるには絶好の特殊能力も、引きずり落としたその檻の下に自分の魔皇がいるのでは撃つに撃てない。
 まして彼にとって月島は妻でもある。舌打ちをし、一瞬の判断の後、叫んだ。
 「日和、走れ!」
 「悠宇!」
 『重力の檻』の範囲から自分の魔皇を誘導するより速く、彼の足元に駆け込む逢魔が居た。
 ゴシックロリータのドレスで、どうしてここまで速く走れるのか。声に振り向いたその先には、銀色の手のひら。
 「ぐっは!」
 今世紀最高のビンタが炸裂。悠宇の体が派手に宙を舞った。
 「我が主(あるじ)への、愛の重さを知れ。色ボケのガキ……。」
 「!!っ俺の方がっ……!!」
 「あはは、パティよく言った!後で可愛がってあげますよぉん!」
 「年上だあっ!」
 悠宇が起き上がり叫んだときには、二人はすでに豆粒のように小さく、遥か遠くを走っていた。
 「狼風旋の瞬発力を、逃げに使った……?」
 紫の魔皇が?
 よく目をこらして見ると、筧はゴスロリの彼女を肩車して走っている。あの一瞬で……。上にいたはずの筧が鳩を抱えあげて……。
 つくづく、掴めない人だ……。
 月島は嘆息して、手にしていた日本刀型魔皇殻『水炎』を、虚空に返した。
 
 
 
 銃撃音。筧の足元に穴が開く。
 チリンチリンと薬莢の落ちる音の先には、ごく普通の眼鏡の女性。
 「ごめんなさいね隊長さん。お仕事ですから。」
 「やっぱりあなたはブルマが一番似合いますよ?」
 「手足で勘弁してあげようと思ってましたがやめました!」
 横に置かれた機関銃に体ごと構え、横っ飛びする筧を射線で追いながら引き金を引く。
 筧が居た場所に、鳩。服から小銃を取り出して、
 「え!?」
 ためらいなく引き金を引いた。
 「うわわ!」
 当たると死ぬ!同等の武器で二人がかりでは、勝ち目なんてない!
 転がって逃げた横、小銃の弾丸を目一杯食べた機関銃が、折れて倒れた。
 「ああああああ、レンタルだったのに……。」
 「ごめんなさいね♪」
 「……お仕事ですから……。」
 懊悩するウォーシュ・ノートの横を、筧と鳩がすり抜ける。
 
 
 
 とっとっと、と、
 ゆっくり筧は足を止めた。その先には、一体のネフィリム・ヴァーチャー。天使たちの切り札であり、今回の筧と鳩の清掃目標である。
 その前に一人のグレゴールが立っていた。ファンタズマはいない。
 「……洋平。」
 「久しぶりだな。筧。」
 中井洋平。筧次郎と鳩が密の依頼により始めて殺害を企てたグレゴールであり。
 いまは、全国でも五指に入る天使として君臨する、武闘派のグレゴールである。
 洋平は、黙って剣を抜いた。
 「あなた、立木さんから何を聞いたんです?」
 「お前こそ。」
 「戦って争って。その先に何があるかって言われたじゃありませんか。」
 「お前こそ。闘って殺して。その先に何を見ているって言うんだ。」
 「……快楽♪」
 「やはりお前だけは、死ぬべきだった。あの時、あの播磨灘で!」
 にやりと笑った筧に、洋平が剣を掲げて襲い掛かってきた。
 筧は慌てず騒がず、鳩と目配せをすると、セーノと床をぶち割った。
 「何っ!?」
 そこは空中に浮かぶテンプルムの一階。つまり。
 
 
 
 「ひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうううううう!」
 「……。」
 淀川に落下し、岸に泳ぎ着いた次郎と鳩を待っていたのは、出席簿と手錠をそれぞれ抱えた女が二人。
 「よう、ジロちゃん!」
 「お疲れだろうが、逮捕させてもらう。」
 「幾瀬ちゃんは学校帰り?」
 「宇明さんは……。」
 鳩の言葉に、返事の代わりに宇明は二人に手錠をかけた。
 「わたしはバイトだよ。」
 「あれま。」
 「……捕まりました。」
 「やめとけって言ったんよ?あたしゃ。世話になってる隊長さんにさ、仮にもワッパかけるなんて。」
 「楽しそうだと受け持ちの授業を自習にして付いてきたのはどこの暇人だったかな。」
 「やん、宇明ちゃん厳しいな。」
 「言っておくが、力づくでは取れんからな?それには魔の力を封じる処理が施してある。……どうした、あまりショックではなさそうだが。」
 大して落胆した様子のない筧に、宇明が首をかしげる。
 「いえね、丁度いい言い訳になるかなーと。逮捕されちゃった、から。って。」
 「何がだ?」
 「お仕事しくじっちゃってね?」
 四人を包む大きな影。
 「うひゃ!」
 「むう!」
 散るように逃げる幾瀬と宇明、そして鳩。
 片付け損ねのゴミ……ネフィリム・ヴァーチャーの大剣が、その巨躯から振り下ろされ。
 「見てのとおり、面倒なことになったんです。」
 筧はバックステップで手錠にその切っ先をかすらせた。
 魔封じの手錠はいとも簡単に真っ二つに。
 筧は振り向くヴァーチャーの横をすり抜けるようにして鳩を拾い上げると、彼女の手錠を自分の魔皇殻で破壊して再び川の中に潜った。
 ヴァーチャーが川に踏み入るが、底を浚っても、上流を見ても下流を見ても気配がない。
 「ゲートか……。」
 この世界には、逢魔の隠れ家に通じる次元の穴がいくつも点在している。
 
 
 
 「あら、筧さん、どうしたんですその格好。」
 「びしょぬれだー。」
 「びしょぬれなのぅ。」
 「お風呂、沸かして参りましょうか……?」
 「あああ~~~、お見苦しいところをお見せして~~。折角のレアなツーショット、いや、フォーショットでしたのにねぇ。」
 「……こんばんは……。」 
 秘密基地『廃屋』にて、丁度『もぐもぐパーティ』を開いていた笹川璃生に逢魔・セイレーンの水鈴と、アーシア・スタンリーに逢魔・ウィンターフォークのキチェル。
 アーシアはともかく、笹川がこの廃屋に来ることは極めて稀だ。
 「今日はお店お休みなので?」
 「ええ、少し長いお休みを頂きまして、お世話になった基地の隊長さんたちを回っているところなのですけど……お風呂が先ですね。」
 「ですね♪」
 くすり、と笑った璃生に筧も苦笑い。鳩は一礼だけしてずんずんと風呂場に向かった。
 
 
 
 「ぎゃーーーーーーー!!!」
 鳩が電気をつけるや否や、絶叫が響き渡った。
 「人が風呂に入っている真っ最中に入ってくるなんてお前らは痴漢か!」
 「何で電気消して入ってるんですか、前を隠してください、ていうかそれ全部ネタでしょうこの破廉恥漫画家さん。」
 赤いウェーブがかった豊かな髪をシャンプーハットで台無しにしながら、魅繰屋虹子(こうこ)が怒鳴った。 
 「ごめんね、鳩ちゃん。虹子、ずっと脅かそうと待機してたのよ……。夜まで潜んで待つって。」
 物陰から、黒髪の逢魔・フェアリーテイルのセラが出てきて謝罪する。
 「……あの格好で……。」
 「馬鹿でごめんね?」
 「……では、どちらかと言えば、思ったより早く我々が帰宅したことに驚いた、という……。」
 「馬鹿でごめんね……。」 
 「おいセラ!自分の魔皇をバカバカ言うんじゃない!」
 「あんたは早くバスタオル巻いて出てきなさい!」
 「リンスがまだだ!」
 「シャンプーハットを置けええ!そして次郎さんは平然と服を脱いで入ろうとしないでえええええええ!!」
 「僕は平気です。」
 「鳩も平気です。」
 「お前ら皆、」
 「最低だな。」
 竜宮堂のど飴。
 「え、お前がオチ担当?」
 以上、逢魔・セイレーンのパでなく・バトモスと、瓜生巴 。
 
 ……最高でした。ごめんなさい、勢いだけで書きました……。このエントリ編集してるとHDDがうんうん唸ってます……。
 
 多分これで、ネバーエンディングの、生き続ける、死なない、エンディングになるのかなあ、と。
 
 しかしまあ。冒頭の、「苦しいときこそ笑うんだ」のネタを思いついてよくここまで鳩自身引っ張れたモンです、あ、ゆゆゆ様忘れたまあいいか……。 
 
 そういえば、アクセス解析を見ると、『春堂・ゆゆゆ』 で来ている方はまだ納得できるのですが、
 
 『"オーダーメイドcom" モップ』ってどんな絞り方ですか。わざわざダブルクォートでくくってまでして……。
 
 
 
 ……さて。これで、我らの世界を描くショートストーリーズは、打ち止めにしようと思っております……。いい加減、趣味に走りすぎです。ので。すぎると、他の趣味がダメになってしまうので。
 
 ……BNOやAFOをいい加減やれという自己突込みが痛いです。イタイ。イタイ。ネスサン……。」
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