死ぬまで飛ぶ龍

 
 こんばんは、鳩です……。
 
 
 というわけで、
 
 「すまん、ありゃあウソだった。」リテイクで。
 
 
 ……さて、田吾作神様がリバーブローを打たれたので、鳩はガゼルパンチを担当いたします……。デンプシーロールはまた誰かよろしく。
 
 一歩読者のジュン様とかよろしいかと…すまんウソです。
 
 吼えろ、龍の戦士よ。 命の火を燃やし尽くせ。
 
 わたしの砲が煙を吐いている。
 目の前には銀色の篭手を身につけた魔人が、刃をこちらに向けている。
 右の耳からは血を流して。
 長い銀の髪を左右に結って。
 白い服に身を包んで。袖も裾も丈が長すぎるため、折っている。
 右の肩口には先ほどわたしの砲が掠め焦げた後がある。耳から流れる血は、掠めた衝撃波が鼓膜を破った傷だ。右のこめかみには、脳震盪から回復するため「奴」が自らを打った傷跡がある。
 わたしは第二射を既に装填し、狙いもつけた。
 あとは殺意の引き金を引くだけ。
 
 少しだけ妙だったのは。
 わたしがそうするまで、その魔人は刃を構えたままじっと待っていた、ということだ。
 
 「……覚悟!」
 
 引き金を引く。案の定、魔人はかわした。先ほどもわたしの砲撃をすんでで避けたのだ。驚くには至らない。
 今度打ったのは、散弾。全てをかわしきれる筈もない。飛び散った血のあとを追って、わたしの「目」が奴の姿を自動で追尾する。
 捕捉 捕捉。視界に文字が躍る。
 片手で剣を、片手で壁を保持し姿勢を制御しながら、奴は鋭角的にビルを蹴り跳ぶ。わたしの目はそれをカカカカカ、と追い、首がねじ切れそうになったので、姿勢を入れ替える。
 第三射、第四射、第五射。
 装填の手間などコンマ数秒。散弾、炸裂弾、速射連弾を次々に撃ち、追い詰める。銀色に飛ぶ影の動きはパターンに収めることができなかったので行く先を予測して撃つ事は早々に諦めた。こちらの目線を読んでいる。そういう手練の魔だ。
 
 だから。追い詰めるように撃って、撃って。撃ちまくった。
 予測は出来ずとも、退路を切ることはできる。
 データ照合。捕捉。照準。発射。
 高速でプロセスを消費する。
 
 やがて、奴がビルを蹴った瞬間、消失 という文字が視界に映った。
 
 迷わず上に砲を向ける。わかっている。この手の宙を行く輩は、最後には必ず、「真上」という死角を取るのだ。
 砲頭を上に向けたまま退魔砲弾を装填し照準……。
 
 消失 の文字が消えない。
 「?」
 もはや指先は止まらず、確かに視界に映っている、宵闇を飛ぶ銀の影に大砲を撃ち込んだ。
 
 ざしゃ。
 
 音。
 足元。
 真下。
 
 真下!
 
 首を向ければしゃがみ見上げるアイスブルーの瞳。奴の瞳。
 打ち砕いたのが奴の剣のみだったと理解すると同時、防御行動を取る。砲を抱え両腕を交差
 
 
――――最後に見えたのは、わたしの両腕を砕く銀色の閃光の映像だった。
 直後、頭部の回路が急速に焼きついて視界が消失。中央演算装置(のうずい)が復帰した時には、体のすべての感覚がなくなっていた。
 
 心臓、鼓動している。呼吸、維持出来ている。ただ、体の感覚がない。見下ろす「奴」は言った。
 
 「……どれほど久しいでしょうか。本気でこれを打ったのは。」
 
 奴は、銀の拳をにぎにぎさせて言った。
 拳。そうか。わたしは殴られたのだ。
 銃撃ですら傷つけることの適わないこの肌を容赦なく抉られ、両腕を折り取られた。
 首から上を跳ね上げられ、神経系を根こそぎ引きちぎられたのだ。思考回路のコンデンサもいくつか飛んでいる。休息回路と戦闘回路が壮絶な優先権争いを行っており、肝心のどちらを為すべきか判断する機能は残念ながら失われているようだった。
 
 擬似体液循環路……所謂頚動脈も、僅かながら皹が入っている。このまま休息をしても、死を待つだけ。しかし、これは。どうしたら。
 
 「神 魔」
 
 振り上げられた銀の拳が止まった。
 
 「何です?」
 「滅殺   神 は 神話に   魔は 地上に   人 が  い は」
 
 吐き出されたわたしのもっとも深い場所にあるメモリーを聞いて、「奴」は少なからず動揺したようだった。止めの一撃の代わりに、言葉を降らせる。
 
 「人外は。どうするのです。」
 「ち り   に」
 
 不意に平衡器官が揺らいだのを感じた。
 
 「わたくしは、筧・小鳩。」
 
 不意の声が名乗りだと気づくのに0.3秒を要した。自分がその筧・小鳩に抱えられていることに気づくのに更に1.7秒を要した。
 
 「あなたは。」
 「き   さらぎ」
 「お仲間になりましょう。」
 
 もはやわたしの 休息回路を 止める 術もなく   メモリーは一時  ろすと した。
 
 
 
 
 
 
 一方その頃大銀嬢は。
 
 「如月様如月様。」
 「何です。」
 「腹にあなたの剣が刺さってしまったので抜いてくれませぬか。」
 「どれだけ斬新なプレイなんですかそれ。」
 「膣に入れようかと思ったのですが、存外に痛かったのでとりあえず腹にしてみたら、見ての通り。」
 「試したンかい。」
 「自己回復能力でみちみちと食い込んでにっちもさっちも。手伝ってくださいませ。」
 「恐れながら申し上げますが、親方様はアホと違いますか。」
 「そうではないと……思うのですけどね。」
 アルカイックスマイルは違うだろ、親方様。
 
 
 そんなかんじ。デンプシーよろしく。」
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