わたしのなかのさいこうが あなたのなかのさいきょうでありますように 2

 「書き続けていないと鈍るので。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 『何であなたは誰も読みもしない場所にわざわざ文章を書いているの?』
 
 答えは出ないがこう問われると激しく揺らぐ鳩です……。 でも書く。
 
 イメージと外れた部分があった、ということなので、もっかい街田先輩。
 
 おお、新しいウィンドウで開く、というオプションが新規に追加されてる、そこは評価するぞmsn。
 
 今まで普通にabout=_blankタグ打ちすら無効化してた理由を教えてください。
 
 
 妄想シルバーレイン
 
 THE DEATH WITH FLICKER, THE LITTLE DRAGON WITH FLASH.
 
 「蛍ですね。」
 「水がいいらしいね。珍しいな。」
 
 丘・敬次郎と街田・良が、夜の森の中で池を見ていた。
 
 「僕ツーテールなんで、遠くから見たら恋人同士に見えません?」
 「見られたいのかい君は。」
 「割と。変態さんなので。」
 「そいつは……また。」
 
 会話がとまる。
 
 「冗談ですけど。」
 「そうだよね。」
 「突っ込んでくれないんですね。」
 「君の場合はありえるからね。」
 
 また沈黙。
 淡い緑の光が、池の上を飛んでいる。
 遠いのか近いのかわからない。星空のような遠さにも見えるし、手を伸ばせば届く気もする。
 
 「よっ。」
 「お?」
 
 不意に丘が腕を振った。ジャブのように鋭く戻した左手は、やわらかく握られている。
 
 「捕まえた?」
 「はい。ほら。」
 
 開いた掌には、ぽつぽつとおしりを点滅させる黒い虫が這っていた。
 丘はそれを投げて飛ばす。緑色のひかりは、ふらふらと、遠ざかっていき、やがて距離感を失って、闇色のキャンバスの一員になった。
 
 「で、何で僕を呼んだの?」
 
 この山は、丘の育った忍者の里に程近い。街田をこの場に誘ったのも丘だ。
 
 「いや、女の子に声をかける勇気がなかったので。」
 「本当に、さっきのは半分しか冗談じゃないんだねぇ。困るよ。正直困る。」
 「よかった!僕のせいで先輩が困った!」
 「変な根性!」
 
 二人して笑う。
 性別(ジェンダー)さえ同じでなければ、本当にデートと言っても誰も疑いはしまい。
 
 「……『幽霊せせり』。」
 「『お肉切りたい君』。『お肉切りたい君』って……本当に丘君は、世の中舐めてるよね。」
 「割と。バレなきゃいい、謝ればいいと思ってる性質です。」
 「舐めてるよね。僕が君ぐらいの頃もそれなりに生意気だったけどさ。君のそれはまたちょっと違うよね。」
 「師匠譲りなんじゃないでしょうか。」
 「そうか。」
 
 『先生』の二つ名を持つとある水練忍者が、丘・敬次郎の師匠であることは彼も知っている。飄々とした人だ、という噂は、聞いたこともある。
 
 「迷惑だよ?正直。僕も恋人居る身なんだし。」
 「対外的にはデートじゃないんでいいんじゃないですか?」
 「君の中じゃデートであってもいいっていうのか。」
 「別に構わないですよ?デートったって、恋人同士の特権じゃなし。友人でも、戦友でも、先輩後輩でも、赤の他人でも?
  敵でも。」
 「敵かい?」
 「味方ですか?」
 「これでも後輩思いのつもりなんだけどな。」
 「僕は先輩思いじゃないので。」
 「言うね。」
 「言いますよ。」
 
 梟が鳴いている。
 虫の声も聞こえる。相変わらず緑の光は、ぽつ、ぽつ、と消えて光って揺らめいて。
 
 「じゃあ、意気地なしの君が誘えなかった女の子の代わりに、『ちょっと激しく』してあげた方がいいのかな?」
 
 いつの間にか、丘の手には鋼の糸が戯れていた。回転動力炉の微かな駆動音も聞こえる。
 
 「是非。」
 
 街田が懐からカードを取り出し、イグニッション、とささやくと、その手に扇が出現した。口元には、優美な流線を描く笛。
 
 「これでいいかな。」
 「では、名乗りましょうか。
  比留間さんが広めた文化です。
 
  わが名は、丘 敬次郎。
  忍びの里瑠璃が忍びの一。
  主君・筧氏(うじ)の名の下に。
  銀の雫の成れ果てを
  技を見せつけ圧し殺す。
  力を発して縊り取る。
  それが我等の使命にて。
 
  汝、今まさに死すべし。」
 
 街田が嘆息し、苦笑する。じゃあ付き合うか、と、深く息を吸った。
 
 「銀誓館高校二年、街田良。
  白い燐光従えて
  悪しきを挫く蟲使い。
 
  ……。
  少し、痛いよ?」
 
 柔らかく構えた街田の姿に、丘は歯を剥き出して笑った。
 鋼の糸を指で編み上げ、水を宿して圧を放つ。
 
 「!」
 
 その直前、丘の顔を扇が叩いた。
 眉を顰めながら放たれた爆水掌には手ごたえなし。
 と、感じるが早いか。
 
 「よっ!」
 
 街田の両腕が丘の脚と脇を捉え回転させ、池の中へ放り込んだ。
 
 「ぷっは!」
 「頭を冷やすといい。
  血の気のよさは買うけど、まだ傷物にしたくない体なんだ、待ってくれてる人もいるしね。」
 「ちぇー、何されたかもわかりませんでしたよ。」
 「一応、それなりに場数は踏んでるんでね。
  ま、君も焦るな。
  蛍も見せてもらったし。風邪引かないうちに帰りなよ。」
 「次は殺します。」
 「次なんか、ないよ。」
 
 街田は振り返って笑う。
 
 「こう見えて僕、あんまり気の長い方じゃないんだ。それなりにイライラもするし、手加減してあげられるとは限らない。」
 
 丘も笑う。
 
 「そうでなくては。全力のあなたを踏み潰せるぐらいでなくては、僕はただの、里の恥さらしです。
  必ず倒せるときまで、取っておきます。」
 「……なんでそう、僕に突っかかる?殺すなんておだやかじゃないし。」
 「僕も、気の長いほうじゃあ、ないだけですよ。
  実力が無いからといって、あんまり任務を先延ばしにしっぱなすのも気分悪いんで。」
 「なるほど、『敵』か。」
 「半分は趣味ですけどね♪
  見目麗しいあなたの肉を見てみたかった。鍛え上げられた筋肉と端正な顔立ち、さぞかしおいしそうだろうに。」
 「いいのかい?忍者がそんなに本性さらしても。」
 
 丘はその言葉に、またくすりと笑った。
 
 「あなたなら、『あの丘って奴はこの学院の敵なんだよ』とばらしたって、皆冗談だと思うでしょうから。」
 「性格悪いね。」
 「お互い様です。」
 「……いい加減、上がらないと風邪引くよ、じゃあね。」
 「また。」
 
 扇を揺らしながら街田は立ち去り、丘は、水の中から手を伸ばし、捕まえた蛍を今度は力いっぱい握り締めた。
 
 
 以上。」
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