星の運命が軽すぎる

 「自分が最高に決まっている。
 
 無意識なり意識的なりにそう自覚している輩をこそへし折りたい。
 
 この自分こそが、最高に決まっているのだから。
 
 妄想シルバーレイン
 
 風の名を負うには幼すぎて
 
 「ずいぶんと言ってくれたものですねチャイニーズ。」
 
 黒いツーテールを下げた男が、サングラスをあしらったハットを被った男に言った。
 
 「さて?どれのコトだかわかりまセンネ?」
 
 『チャイニーズ』、といわれた男は、ウィンクをしつつ、ツーテールの男に視線を返す。
 此処は廃屋地下、アジト。
 廃屋Pigeon-Bloodの真の姿を曝け出す場所。
 
 「あまり激しくはなさらぬように♪
  ここでの無法はそれなりに許容しておりますが、此処そのものを壊してしまうようなまねは、
  流石に。許容できませんので♪」
 
 頭部左右にブロンドのドリルを装てんした、首魁が魔物のように笑う。
 
 「わかっていますともーーー、御嬢様ぁ♪」
 「われらが信ずるはただゴウリキなりや。」
 「喧嘩を、なさるか?団員、チャン・ルンファン!
 「はぁい♪」
 「喧嘩をされるか?友好、丘・敬次郎!」
 「はぁああい♪」
 
 二人の声に、首魁:ピジョンも呆れたため息。
 そもこの場は、会話のテーブル。
 その前提を覆して、ただ地下にあり、表で談笑するモノたちには影も見えないから。
 それだけの理由で。喧嘩を容認、して、いる、か?
 
 「あなたはなぜ、イドラちゃんを背に負って。『この子をひらきにしようとは思わない事です』、などと。
  申し上げたのでしょうか?」
 
 丘のナイフが手元でくるくると輝いて回る。
 
 「あなたはたぶん、それをやってしまうカラ♪デス。そう見えたんですし……。
  多分僕の見立てに間違いはナイ。」
 
 モーゼルに似た詠唱銃が、チャイニーズの手の中でゆったりと踊る。金属音が主にかしづくように鳴る。
 
 「信用ないなあ。」
 「ありませんそんなもの。」
 
 右手にナイフを握りうなだれた丘の頭に、張・潤風(チャン・ルンファン)が銃口を押し当てた。ドリルのようにねじ込もうとぐりぐりと。
 「……。」
 
 丘は笑みを絶やさぬまま、ナイフを持ち上げる。
 
 ダン
 
 躊躇なく命奪う魔弾。彼の眉間に引き金を引いて打った。
 丘は額から黒煙と鮮血を噴出しながら、のけぞった。
 
 このまま倒れんばかりに。
 
 
 ああ、ついにやっちまった。
 頭のど真ん中に弾が入りゃ、どんなバケモノでもまともじゃいられない。
 殺したかい、って問いは保留、だ。
 
 相手は何しろ能力者。死の瞬間まで何が致命だったか誰にもわからぬ生き損ない⇔死に損ない
 果たして眉間から煙を立ち上らせながら、ツーテールの男は倒れた。
 
――――ああ、これは前頭葉=理性の欠如。
――――ああ、これは暴力的接触=本能の衝突。
――――ああ、深くて根源的で大事で、理解されない価値観。
――――ああ、だから、しまっておいたのに。
 
お前も僕と同じものを好きになれ、
お前も僕と同じものを嫌いになれ
 
 
 張は、開けてはならない扉を開けたと感じた。
 だがもう遅い。
 不機嫌はそこにあり。討伐するすべは、説得か、更なる快楽による忘却。
 
 さあ、どうする張・潤風。
 丘敬次郎の手には唯一つのナイフ。
 乗せる思いは。見せたとおり。『好悪の情の同化の強要』
 
 「俺、が、そんなものに!」
 
 「負けるわけ無いだろうが!」
 
 残ったモーゼルの弾を打ちつくす。
 この弾と同じく。お前が消えてなくなっていますように。
 
 心臓、肺、肝臓、脳。たいていのところには撃ち込んだ。
 どこまで抉ったかは自信がないが、打ち潰してやったのは確かさ、
 
 神を冷笑するなお前の行く道
 魔を侮るなお前の来た道
 
 
 「あああ、来なサイ、Of the Clock! Kakei Jiro……。」
 
 いつの間にやら丘が着替えたるは。
 
 白地に金の装飾の付いた、長いコート。スラックス
 裾は引きずり、袖もぶら下げ。
 
 それでも。敬次郎の顔は実に満足げで。実に挑戦的だった。
 張はモーゼルを構えたが。
 突きこまれた拳に。その指を折られた。
 
 「お……!」
 「でこ……痛かったんですよ……ガキ。」
 
 瞳にたたえられた闇の湖を、張は恐れもせず視線を突き込んだ。
 その代償の顔面への追撃は、甘んじて受けて。
 否。単に理性の御する本能が、暴走を始めただけだ。ナイフが、走る。
 
 「うぉっ!」
 「止まれっ!」
 
 悦びの時、Of the Clock カケイジロウへ向けて。その辛苦の。真紅の。深紅の。ナイフを。チャイニーズに。
 
 以上」
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