大竜公

 「視界に入ってこないで欲しい。
 
 モチベーションが下がる。心の貧しさが伝染する。
 
 こんばんは、鳩です……。丘には使わんな。この称号。
 
 
 
 ……コミックバンチで盛り上がっている漫画、ブレイブストーリーでは互いの思想を賭けた最終決戦が繰り広げられております。
 
 己の望みのために他を殺すことを世の理と肯定する者と、彼が滅ぼさんとする世界を愛するがゆえにそれを止め抗う者。
 
 そんな二極の対立が描かれている中で、世の中には『どうせ死ぬなら日本人を差別して死にたい(笑)』などとのたまう輩がいたんだっけそう言えば、
 
 と、くだらないことを思い出し、
 
 愛するが故の憎悪であるとか、愛するが故戦うのだ、であるとか、焦がれる思いのために己の命もいらないという決意とか、
 
 
 そんな高尚な次元には全く及ばない思想を持ってる奴が、この世にいるんだということをかみ締めながら、アタイ、書くよ。
 
 世の中には、綺麗事であるか否かなんて問題にすらならないほどの腐った考えを頭っから信じて生きている奴が確かにいるんだ。泣きたい。
 
 
 彼岸への悲願
 
 「僕は生きている。」
 
 長身のモンゴロイドが一言、空を見上げて言った。
 
 「もっと早く死に果てるつもりだったのですが。」
 
 周りには、凶器と、勇気の眼差しを携えた若い勇者たちがそろっている。
 
 「僕は、
  誰かが憎いわけじゃない。
  誰かが僕を憎んだり嫌ったりしたから、復讐したいわけじゃあ、ないのです。
  憎まれなかったかと言えばうそになりますが、それを理由に叩き潰したいわけではないんだ。
  ただ、僕は、僕の大事な一線を軽々と踏みにじり越える輩が沢山いるという事実が許せなかった。」
 
 満足気な笑みを浮かべる男。
 その声を聞いているのか否か、若者たちは険しい表情で、刃や鈍器や銃口、その手に握られた凶器の照準を向ける。
 
 「そんな存在はあってはならない。
  仁義を理解しないヤクザ。
  ヤクザという事実も理解していないヤクザ。
  人間の理で測れない存在の癖に、人間として生きようとするバケモノども。
  個々ではなく、そんなものが存在するという事実を、現実を憎んだのです。
  あなた方に恨みは無い。憎しみは無い。
  殺したいわけですらない。
  全員まとめてロケットに乗っけて宇宙の果てに送れるならそうしたでしょう。
  そこでお前たちのユートピアを勝手に築けばいい。
  でもそれは不可能だ。」
 
 暗闇が煙る。
 それは光のない空間ではない。
 膨大な思いが粒子となって漂う、瘴気だった。
 それは男の身からも、若者たちの身からも発せられている。
 
 「殺すのは楽しい。
  でも楽しいから殺すんじゃないんです。
  殺さないといけないから殺す。それがたまたま僕にとっては楽しいだけで。
  僕は事実を書き換えたいんだ。
  空気を読まない奴が存在するという事実を塗り替えるためには、奴らを消さなくちゃ。
  殺すのが最も単純な手段だからそうしているだけなんです。」
 
 笑い、身振り手振りを交えて話す男に、若者たちは構えを崩さない。
 若者たちは男を、いつ爆発するとも知れぬ爆弾のように、見て、そして。爆発に対し構えているのだ。
 
 「僕は間違ったことを言っているつもりは無いのですが。
  残念ながら僕の主張には、抗いがたい反論が立つ。
  『死にたくない』。
  死なないために自分の命を守る。
  それが強固な正義として立ちはだかるのです。
  誰も、自分の命を守ろうとする思いを否定はしないでしょう。
  反論できない当然の理屈だ。ところが僕の論では、それは踏みにじらないといけない。
  ああ、何と残念なことでしょう。
  僕はお前たちの存在が憎い。
  憎んでいる自分が大好きだ。
  憎み怒り、その力を良心の呵責なく躊躇い無く思い切りたたきつけられる瞬間を悦びとしている。
  死ぬ瞬間まで、僕はお前たちの存在を憎むという喜びを味わったままでいたい……。
  僕はお前たちの個々が嫌いなわけではない。
  僕の考えに同調し、多くの同胞を葬ろうとしてくれるものが現れたなら、僕も素直に喜ぶでしょう。
  僕の考えを理解し、自分から命を絶つものが現れたら、僕は手を叩いて賞賛するでしょう。
  理解してくれた喜びを余すところ無く味わうでしょう。
  
 
  ……ああ。
  お前たちは。
  生まれたその瞬間に、首をくくるべきだった!」
 
 男が両手を挙げると、空隙という空隙に鋼の糸が出現して……。
 
 
  あなたを愛しているのに、存在する事実は許しておけないんだ。」
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