ロックでありませんように

 「サンボマスターの人にゲロを吐かれるような人生を守り続けたい。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 
 妄想シルバーレイン
 
 
 
 ……ああ、鳩はやはり男性脳です。
 
 理屈で、それを、納得し。理屈でそれを。破壊したい。
 
 由来は例え感情でも。
 
 
 管理された略奪と無保障の見返り
 
 「もしもし、ドクター・ルームメイト?」
 
 丘・敬次郎が、陽炎に揺らぐアスファルトに立って、皮のサイフに突っ込んだ紙幣の枚数を数えている。
 
 『どうした?さびしくなったのか?』
 「少しね。」
 『キメェ。』
 「ですよねー。」
 
 学園寮のルームメイト。
 今は帰省中で、夏の終わりまで丘は部屋を独り占めできる。
 
 『で、何の用よ?』
 「恋人さんとうまくやってるのかなーと思いまして♪」
 『心配されるまでもねえよ。バカ。』
 「ねえ。
  恋人さんを一日貸して欲しいって言われたら、いくらで渡します?」
 『殺す。』
 「なるほど、命1つ分ですか。
  じゃあ、大体お金に換算だと、200万くらいですかね?」
 『渡さねえよ!』
 「ああ、駄目ですよ?
  持ち物はいつでも売り払えるようにしていませんと。
  後悔します。」
 『……何があった。』
 
 一年寝食を共にした仲だ、ルームメイトも丘の微かな変化を感じ取っている。
 それは、彼を心配しているというよりは、彼が出す――――或いはもう出してしまった――――かもしれない被害への心配ではあったが。
 
 「別に何も。」
 『そうか。何の用だ?』
 「さびしくなりまして♪」
 『キメェ。』
 「ですよねー♪」
 
 時刻は午前10時過ぎ。肌への日差しを熱として感じられる頃合。
 蝉も鳴くし、頭皮からも汗が吹き出る。
 
 『まあ、元気でやれよ。』 
 「ありがとうございます。
  で、恋人さんはおいくらで、」
 
 ブツリ。
 
 「ふむ。」
 
 一方的に切られた。これでいい。思った通り。この距離感で、いい。
 後ろを振り向く。横浜のラブホテル街。
 あのベッドに、僕を買った男はまだ寝そべっているのだろうか。
 
 房中術は教わっていない。
 ただ、若いというだけで需要はあるのだ。
 男は貴重だから、高く売れる。らしい。
 
 丘がまた携帯を操作する。
 
 『お電話ありがとうございます、瑠璃興業でございます。』
 
 ツーコールで出た相手は、鈴のなるような声で応対した。
 

 「ご機嫌麗しゅう、お屋形様。丘・敬次郎でございます。」

 『あら、丘ですか。何のようで?』
 
 余所行きの声を取り払い、瑠璃興業元締めが地声で応答した。
 
 「ウリの仕事、もっと高くなりません?」
 『難しいですねえ。技術を身につけてからほざけというのは置いておくとしても。
  何か買いたいものがおありで?』
 「いえ……具体的には。でも、安すぎませんか。」
 『ああ、権利が欲しいのですね。』
 「は?」
 『お金が欲しい、とは、そういうことです。
  折角手にあるものは、使いたい。使うことが楽しい。
  金の貯まらない貧乏人の気質というものですよ。』
 「……そんな小市民の僕を攫ったのは。」
 『わたくしです。』
 
 迷いも省みも無い声。
 
 『苦労しましたよ、人を殺して悪びれない“高校生以下(ガキ)”だなんて、本当にありえないのだから。
  あなたの代わりはなかなかいませんから、粛清対象になることは当分ございません。』
 
 だからご安心ください♪
 にこやかな声。
 神経を逆なでするほどの。
 
 「やはり、お屋形様は、」
 『30を越えないプロなど、ありえないのだから。はあ。面倒な世界。
  40や50になってようやく、手際のいい頼れる存在になる。説得力が生まれる。
  だから、あなたはおよそ生きてる限り、未熟と定義され続けます。不本意ですが。』
 
 この世界を憎んでいるのですね、という言葉は、発する前に答えが返った。
 そうか。やはり、あなたは。僕を一番愛してはいない。
 
 『この世界は愛することで出来ていますが、愛で出来ては居ない。』
 「この世界?」
 『あなたの住む学園とそれを中心とした小さな庭。』
 
 小さな庭。
 
 『本当の悪も吐き気のする偽善も無い、遊び場。』
 「僕は、」
 『カルト宗教は?公明党は?プチ・エンジェルは?物価高は?ユダ豚は鮮人は核兵器は吉本興業は電通は。
  あなたの世界に関係がありますか。』
 
 ……ああそうか。小さな庭。
 
 「ございません。」
 『悪辣な人間は、いない。
  学園は世界結界の力を利用してかき集めたマネーで作り上げたものだそうだが、
  そこにも世界を守るという大儀あってのものだ。
  金の為だけに回るどきたなくてでけえ歯車はてめえらの世界にはねえでしょうが。』
 「ございません。」
 
 関係が、無い。
 本当に恐ろしいものは、僕らは手を出すことも知覚することもできない。
 恐らくお屋形様でさえも不可能。神でも至難。
 
 『……それでも。
  まあ、不満というものはあるものですよね。
  生まれ生きるとは、今そこにある危機と戦うことです。強度の違いはあれ、貴賎はない。
  あなたには、あなたの戦いと生活がある。』
 「はい。」
 『しかし。』
 
 ドン。
 
 丘の、携帯を持っていない方の手が吹き飛んだ。
 
 「……あああああ!!!」
 
 傷みにうずくまる。緊急イグニッションが発動。傷跡がぬるぬると動き出し、急速に再生を始める。
 携帯を捨てた手が半ば自動的に、飛んだ腕を掴んで傷口に宛がった。
 
 『ふむ、四肢の欠損は未定義ではなく例外として扱うのですか。
  なるほど、やはり根本は同じか。』
 「……なん、で……。」
 
 蹲った先に見えるアスファルトの窪み。
 ライフル弾の跡、口径の大きさから見て、対物仕様。どこから。
 理解する前に二発目。次は右脚。
 
 「わあああああああ!!!!!」
 
 繋げ、繋げ!千切れた、千切れた!治せ!治せ!
 携帯を放り投げ、手をばたつかせて、飛んだ脚を掴んで傷口にあてがう。
 激痛。治れ。治れ。早く早く早く!
 
 『うん、やはり自動的に例外処理されますね。
  興味深い。』
 
 多分、この腕を失くしたい、という意思を持つことすら許されないのでしょうね。
 乳房を切って戦闘態勢をとったというアマゾネスにも厳しい世界だ。
 
 携帯電話から漏れ聞こえる声は腹立たしいほど冷静で。
 世界結界が丘を包み、丘の傷跡を掴んで、修復する。
 “ありえぬことをありえぬように”。
 
 『不満を漏らすのは勝手ですが、丘。
  今度その口から、ゲロより匂う言葉を吐いたら。
  オカ・ケイザブロウって名前の忍者を転入させますよ♪』
 「……別に……ご勝手に……。」
 
 しかし少し考えて。
 
 「いや、やはりやめてください……申し訳ありませんでした……。」
 『あはははははは……。』
 
 瑠璃丘ブログに入ってくることを、多分僕は拒めない。
 自作自演ブログ?耐えられない。
 お屋形様は万能ではないが、およそ僕を貶める事に関しては、無敵で最強。
 くそ、何て世界だ。くそ、くそ。
 
 
 次の弾が発射され、丘の体は上半身と下半身が千切れ飛んだが、
 
 “IllegalAccessException:なんらかの毒薬や特殊なアイテム・詠唱兵器でない飛び道具などの効果は、戦闘判定に大きな影響を与える事はありません。”
 
 という文字が空中に踊り、
 泣き別れた体は速やかに修復された。
 
 何て世界だ。何て世界だ。歪な。いびつな。イビツな。
 
 『世界を憎め、丘♪
  我等の原動力は、常に。人がまじめに楽しんでいるこの世界そのものへの、強烈な憎悪だ。』
 
 くそ、くそ、くそ。
 
 『あなたが女の子を捌いたのは全部嘘だ。虚像だ。無かったことにされている。』
 
 畜生、畜生、畜生。
 
 『あなたは誰も殺していない。未来永劫誰も殺せない。世界結界ある限り。』
 
 やめろ。やめろ。やめろ。
 
 『お前の悪行はお前の妄想に還され、誰にも知られぬ事実になり、真実は消える。』
 
 くそ、くそ、くそ!
 
 『権利を求めろ。わたくしはお前をいじめるだけいじめるぞ。この世界はお前の存在を容認しながらお前の行動を全部消し去るぞ。』
 
 いやだ、いやだ、いやだ。
 
 
 『ほら。』
 
 こんな、世界。
 
 
 『やっと、あなたも我等の眷属♪』
 
 皆殺しに、してやる。
 
 つぶやく口にまとわり付く、
 
 “NoSuchMethodError : 詠唱銀によって発生するゴーストと戦い、怪異を取り除き、世界の常識を守る事こそ、現代の能力者達の使命なのです。 ”
 
 という文字列を、丘は憎憎しげに見つめた。
 
 
 以上。
 
 追記:何だ。この心地よくも歪な関係。
 
 ……PC様ではなく、PL様を鏡として己の更なる闇を見ることができました、が。それはとても失礼なことのような気もしています。
 
 とりあえず……謝っておこう。ごめんなさい。」
 
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