それは装飾じゃない、エンバーミングだ。そいつはもう死んでる。

 「もう、死んでる。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 Victim Girls5 で検索してきてる人が多いみたい。
 
 それはこっちです。 どうぞ。
 
 ……告白すると、某所で見た(公式サイトではない)鬼巫女へから一年、ずっと心の中で追いかけておりました……。
 
 閑話休題
 
 妄想シルバーレイン
 
 銀誓館合衆学園への道
 
 『違う、これではない、これも違う……ああ、ちょっと待ってくださいませよ。』
 
 スピーカーの向こうから、積み上げた本をひっくり返す音が聞こえる。
 携帯電話を握りつつ、丘・敬次郎は苦い顔をした。
 
 「せめて電話する前に整理しておいてはいただけませんか。」
 『ああ、あったあったありました♪
 申し訳ありません。』
 
 電話の向こうのお屋形様の声は、どこか楽しげで。
 そんなに楽しいか、僕を嬲るのは。
 
 「……また僕を撃ったりしませんよね?」
 『さあ?どうでしょう。』
 
 近代兵器の馬鹿げた破壊力を以ってすれば、能力者の肉体を壊すことなど造作も無い。
 逢魔や魔皇のように、『神魔に属しない攻撃の一切を無効化する不可視のバリア』があるわけでもないのだし、
 アミーゴ横須賀の精肉機で死にそうになるぐらいには脆い。
 能力者など、人間が破壊可能な程度の存在なのだ。
 ……失せろ、IllegalAccessException。頭の周りを飛ぶ文字を手で払う。
 
 「やめてくださいよ。」
 『あなたに懇願する権利はないのです。』
 「……。」
 『返事は。』
 「はい。」
 
 受話器の向こうからのやれやれ、という嘆息を聞いて、丘の眉がまた強く歪んだ。
 
 『ここに来て、あなたの忠誠心が衰えていると聞きまして。』
 「そんな、」
 『丘!』
 「はい!」
 『我らは何のためある!』
 「はい!
  人を脅かす銀の落とし子を根絶するためであります!」
 『それはおまえ自身もか!』
 「はい!
  ご命令と在らば、暇なく首を掻っ切る準備がございます!」
 『それはわたくし自身もか!』
 「はい!
  ご命令と在らば、例えお屋形様であれ、全身全霊を以って殺させて頂く所存でございます!」
 『よろしい。』
 
 丘は、詰めていた息をふうと吐き出した。
 
 「最近は馴れ馴れしく話をしすぎたとも思います。
  部下として、恥ずかしいことです。」
 『それは別に構わない。
  仕事以外のところで上下が親しくするのは、別にヤクザであれ真っ当な企業であれ、普通のことです。』
 「は。」
 『しかし……。
  あなたは「わたくしども」と違って、根源的な憎悪を持っていない。』
 「憎悪。」
 『無自覚なヤクザの平和思考に対する憎悪です。』
 
 無自覚なヤクザ=偽善的な能力者。
 分かっている。丘も知っている。
 刷り込まれた。
 人間を殺す力を持っていると自覚していない奴が多すぎる。
 それは悪だ。銃を持っていながら平和を希求するのは矛盾だ。
 手にした力を捨てられず、それでも平和と正義を求めるなら、
 能力者は幸せをもたらすものではなく不幸を排除するものとしてしかその主義を貫けない。
 
 「僕は。
  無自覚なヤクザは嫌いです。」
 『……よろしい。今はそれで。』
 
 今は、それで。
 
 「はい。」
 『今、わたくしには危惧していることが一つある。
  それをあなたに告白する。』
 「何でしょうか。」
 『銀誓館学園の規模でございます。
  あらゆる能力者を併呑し、彼らの過去を問わず、学園に属する人間というくくりで以ってたびたび彼らを戦に駆り出す。』
 「は。」
 『わたくしは恐ろしいのだ。
  あのやり方は、実に。アメリカに似ている。
  正義を見つけたら合議の元、或いは上層部の決定でその強力無比な力を振るう。
  誰も彼もが楽しく個人の生活を送り、かつ、時に至れば、運営者の意識にあわせて班、或いは軍団、いや、旅団となり略奪する。
  心からこの戦闘を正義と信じて。』
 「……。」
 『個人から見れば、理想的に違いない。
  己の生活を保障されつつ、力は管理された方向にのみ使える。
  人間としての幸せを感受しつつ、能力者としての責務も果たせる。負い目の無い人生を過ごせる。
  学園の巨大さを後ろ盾として。自分らの人数そのものを自分らの庇護として。
  ……それは実に“アメリカ”だとは、思いませぬか。』
 「……。」
 
 毛根から汗が滲む。ツインテに出来るほどの長い髪は、やはり熱を篭らせる。
 夏の日は特に。
 
 『丘。お前の主人は。』
 「お屋形様でございます。」
 『よろしい。』
 
 ペラペラ、と紙ずれの音が聞こえる。
 
 『“俺達が あんたら役人どものクソくだらん痴話喧嘩に手を貸すのは、利害の一致だ”』
 「……」
 『だが彼らはこういう。
  “我々全てが、アメリカ合衆国なのですよ”
  “我々はこの世界で 『唯一(ザ・ワン)』 『最たる(アンドオンリー)』、そして『最強(スプリーム)』だ。”』
 「僕にとって最強なのは、瑠璃のみです。」
 『よろしい。それをまずは確認したかった。
  銀誓館の方策に乗るし、恩恵にも預かる。義務も果たす。だが、何を一番の忠誠の核とするかまでは自由だ。』
 「ええ。」
 『我らは人の敵ではあっても、人の味方にはなり得ない。

  それを、自覚しろ。』
 「はい。」
 『そして、『お前達を皆殺しにしたい』という欲望を持っているのはわたくしどもだけだから、まだ死ぬわけにはいかないのだ。
  皆首をくくって死んじまった方がいい。だが、瑠璃一派が首を括った所で誰も追従しないから、生きてるだけ。
  自分の手で殺す以外の手段がないから、力を蓄えているだけ。実績と信頼を積み上げて。
  何となれば、人を食い物にしてでも。我々はヤクザなのだから、人を食わねば生きては行けぬ。』
 「はい。」
 『……愚痴に付き合せましたね。』
 「どうかそのようなことをおっしゃらないでください。
  僕は、その……お屋形様を、この世で一番。」
 『女としては、嬉しい言葉ですね♪』
 「いやそういう意味ではなく。」
 『わかっていますよ、あなたと夜伽など頼まれてもごめんだ。』
 「それはそれで……ショックですが。」
 『あはははははは。
  忘れるなよ、丘。
  学園はいつでも正義だし、世界結界はいつでも正しいが、それが我らの答えになるわけではない。』
 「……。」
 
 強い口調で、お屋形様がいう。
 
 『我々は、主張する。
  能力者は正義にはなり得ない。世界結界は間違っている。よって学園は正しくない。
  間違ってはいないにしても。』
 「は。」
 『間違っていない道は、いくらでもあるのです。丘。
  アメリカに忠誠を誓っても、アメリカを批判することを忘れるな。
  お前は“アメリカ合衆国ではない”。何故ならば、真っ当な“市民”ではないのだから。』
 「は。」
 『ヤクザなりにできることと、カタギにしかできないこと。
  見誤るなよ。』
 「は。」
 『まあ、あなたに言う必要のあることではありませんでしたかね。
  あなたは、とてもとてもよい趣味をお持ちの能力者なのですし♪』
 「……。」
 『“我々”は、いつだってシリアルキラーなのだ。その運命から逃れることは出来ない。』
 「……。」
 『殺せ。』
 「何を。」
 
 beep音が鳴る。
 
 『殺したいものを。』
 「……。」
 
“NoSuchMethodError : 詠唱銀によって発生するゴーストと戦い、怪異を取り除き、世界の常識を守る事こそ、現代の能力者達の使命なのです。 ”
 
 『好きにするのだ。』
 「何のために。」
 『お前が、丘・敬次郎であるために。
  他の何者でもない、丘・敬次郎であるために。』
 「は。」
 
“NoSuchMethodError : 詠唱銀によって発生するゴーストと戦い、怪異を取り除き、世界の常識を守る事こそ、現代の能力者達の使命なのです。 ”
 
 『じゃね♪』
 
 ブツリ。
 
 「……。」
 
 ジーワジーワジーワジーワジーワ
 ジーワジーワジーワジーワジーワ
 蝉の声が耳を擦る。
 
 言って置けばよかったなあ。
 お屋形様。弱みを僕にみせないでくださいませ。どうか。どうか。
 信仰が、揺らいでしまうではありませんか。
 
 夏も、もうすぐ終わる。
 秋が来れば、リビングデッドのにおいも多少はマシになるだろう。
 
 その前に叩き潰そう。
 『臭いんだよ!』という怒りを叩きつけるために。ぼろぼろに崩して唾を吐くために。
 いつのまにか、例外を示す文字列は消えていた。ふん。ゴーストだから、殺していいというわけだ。
 
 もっと。もっともっと憎みたい。憎みたい。憎みたい憎みたい。
 叩き潰すために。
 
 だって否定することは、こんなにも楽しいのだから。
 
 その目には、かつて、神を名乗るものに抗った男と同じ闇が宿っていた。
 
 
 以上。」
 
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