Her name is Viola(tion).

 「舞台はここに。さあ、死にさらせ。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 妄想シルバーレイン。
 
 二尾の夜、二尾の太陽
 
 エアシューズが強く地を踏みしめると、アスファルトはいとも簡単に削れてざしゃりと音を立てる。
 能力者の膂力の前では、土の地面も舗装路も大して代わりが無い。
 
 赤いドレスを纏い両手を開いて低く構える金髪の少女に、
 黒いコートを纏った黒髪の少年は悠然と歩いていく。
 
 少女の赤い瞳は、燃え盛るほどに彼を直視し、
 少年の茶色い瞳は、涼しげに彼女から視線を逸らす。
 
 時は夜。空は曇天。しかしながら家屋と外灯が照らす空気は淡く色づいて。
 
 間合い。
 少年が手を伸ばすより速く、少女の足がスカートから飛び出した。
 激しい激突音と共に少年の体が3mほど宙に浮く。
 落ちてくる彼をさらに蹴り上げ、蹴り上げ、その度に肉のぶつかる音が鈍く響いた。
 
 当たり損ねか或いは防御の結果か、五度目の蹴りは少年を上ではなく後方へ飛ばした。
 衝撃に逆らわず体を回転させ、少年は猫のように着地する。
 半ば四足歩行の状態で突進してきた少年を少女の足が迎え撃つ。
 が、少年はその足首を握り受け止めていた。
 少女が足を引こうとした途端、体は宙に浮き、地面に叩き付けられる。
 少年は叩き付けた足首を軽くひねる。抵抗の力が働くたび、それに逆らわず流すように持ち上げ叩きつける。
 これも五度目、一際激しく叩き付け弾んだ少女の体に、少年は靴底を押し込むような蹴りを見舞った。
 
 足応え軽し。
 
 地面を玉のように転がり起き上がった少女の視線は、しかし聊かも衰えていない。
 
 「……。」
 
 少年が袖からナイフを出す。
 
 「……。」
 
 少女も手にしていた篭手から刃を引き出す。
 
 奇しくも二人の髪は似ていながら対照的。
 少年の黒髪はツーテールにしてストレート。
 少女の金髪はツーテールにして縦カール。
 
 少年は笑い、
 少女は怒る。
 
 少年は歩き、
 少女は構える。
 
 少年――――丘・敬次郎は、ごく冷静に死の覚悟をし。
 少女――――ピジョン・ブラッドは、燃え盛る敵意と共に斃す覚悟を決める。
 
 「夜はまだ、長い。」
 「夜明けまで、数刻もありませんわ。」
 「じっくりいきましょうか。」
 「とっとと済ませましょう。」
 
 10mの距離が一瞬に0になり、黒と赤は激しく交わった。
 
 
 
 以上。」
 
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