Most Erotic Teen

 「やめておけ……いや、やっておいた方がいいな。どうせ無駄な準備になるんだ。お前が徒労感を味わうならそれでいい。意味がある。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 妄想シルバーレイン
 
 次元の有様
~或いは妄想の中の住人たちの空想における登場人物による想像上の会話とそれがもたらす現実への影響度の実験~
 
 「お屋形様。」
 
 御簾の向こうに、ツーテールの影が揺れて見える。
 これが、首領・筧小鳩の姿。灰色の髪に白磁の肌。肘から先は銀色の篭手で出来ており、
 聖にも邪にも属さぬものによっては決して傷を負わぬ悪魔。
 窒息も銃弾も星の爆発さえも、彼女の生を止めることは出来ない、『という設定』。
 
 生きているから、ノーライフではない。
 死なないから、アンデッド。
 ただ、アンデッドという言葉は、『死んでいるのに生きているように動く死体』に一般的に使われる言葉で、
 ノーライフキングという言葉は、『明らかに生きていて殺し方の見つからない、死者の王』という意味が一般的だ。
 
 あべこべ。だがそれは、普通の人間にとっては、『死体が動いている』ということが最も肝要で、
 それが生きているのか死んでいるのかはどうでもよい、と言うことの証左でもある。
 つまりは、それがバケモノであるか否か、という。
 
 御簾に向かい跪く彼、丘・敬次郎は、未だ彼女の域には至らぬ能力者である。
 最も、能力を追い求めた先に彼女の如き不死性があるかどうかは、甚だ疑問ではあるが。
 
 「はい。」
 
 首領の声が返って来る。女の声。
 
 「ご命令を。」
 「先の欧州の戦役では、ご苦労でございました。」
 
 言われて丘は飛行機での行程を思い出すが、それが何ヶ月前のことなのかもう思い出せない。
 
 「は。」
 「他に、わたくしが命じることはございますか?」
 「ございませぬか。」
 「ございませぬね。」
 
 山中の屋敷に、蝉の声が沁みる。
 九月になったとは言え、湿り気を保ち日光を一身に吸収する森の中では、汗は滴るほどに湧く。
 緊張の故か、暑さの故か。丘にはわからなかった。
 
 「ございませぬか。」
 「……順番待ちが発生するほど、銀誓館には能力者がいるのでしょう?」
 
 銀誓館学園の教室の片隅では、ゴーストによる事件を解決するための話し合いが絶えることなく行われている。
 ゴースト出没による事件は止む様子も無く発生しており、時期によっては大きな事件の余波として、
 一時期に集中して頻発することもままあるが、それでも能力者が飽和している状態だ。
 一つの事件に関わることの出来る能力者の人数は限られている。
 路地裏に出没するリビングデッドに一個小隊を送り込むような真似はしない。
 
 能力者は全く足りている。
 それこそ、事件に関わらぬ能力者が日常的に平和を享受できるぐらいには。兵として『麻痺』するに十分な程には。
 遊ぶ為だけに入学できる能力者が多数在籍出来るほどには。
 
 「アメリカだ。」
 「……。」
 
 御簾が揺れた。
 簾の目を透かして溢れ出す冷気に、丘の背筋が震える。
 ある種の霊と同じ空間にいると寒気を感じることがあるが、これは、彼らの存在が実際に気温を下げることで実現している。
 つまり、彼女にまとわりつく怨霊の仕業。今まで彼女が殺してきた者共のうち、特に恨みの強いモノたち。
 彼らが、猛っている。
 
 「アメリカですよ。」
 「とんかつや天麩羅より高カロリーな食べ物が日常食のあのアメリカでございますか。」
 「そう、病的なモデル体型と驚異的な超肥満が同居する、人類の限界に挑戦しているとしか思えないあの自由の国アメリカでございますよ♪」
 
 コロコロとした、笑いの混ざった声に、丘は寧ろ心胆を寒くした。
 ネットをやるようになってから人種差別意識においては丘自身もこんな感じではあるものの、
 荒んだ物言いを音声で聞くと言うのは、やはりまだ耳に慣れない。
 
 「自由とは、素晴らしいですね♪」
 「……。」
 
 ゴーストを殺す自由。
 ゴーストを殺してスカッとする自由。
 ゴーストを殺して憐憫に浸る自由。
 
 服飾の自由。
 服飾により自己主張する自由。
 服飾による自己主張で己の異常さを露悪させる自由。
 
 その他の自由。その他、一般人ではとても出来ないような恥ずかしい会話、食事、交流、他者への介入、××××……。
 
 「素晴らしいですね?」
 「はい。」
 
 知っている。知っている。
 この世界はリアルなどではない。
 
 何故知っている?僕はここに生きていて、こここそが現実(リアル)なのに。
 何故、これがリアリティの無い世界だと知っている?
 
 「命令が欲しいのですか?」
 「はい。命じられていなければ、不安でございます。」
 「あなたはやはり、理想的でゴミのような一人では何も出来ぬうっとうしくて便利な人形でございますね。」
 「は。」
 
 反発する気も起きぬ。
 忍者とはすなわち道具なのだから。
 道具とはすなわち、必要なときに必要なだけの役割を果たす「モノ」なのだから。
 
 
 「ハッピーエンドを持ってきなさい。」
 「は?」
 
 数十秒の間の後に御簾の奥から聞こえたのは、そんな言葉。
 
 「ハッピーエンドを。
  ゴーストの絶滅でも、
  人間の再起でも何でもよろしい。
  『これからも能力者はゴーストと戦っていくのでしょう』という甘いエンドではない、
  きっぱりとした終わりを持ってきなさい。」
 「……。」
 「返事は。」
 「……は。」
 「了解したのか。」
 「了解いたしました。」
 「何が必要だ。」
 「……ゴーストの殲滅が。必要です。」
 「別に、能力者の絶滅でもいい。ゴーストが能力者も人間も全部殺しつくしてしまいました、残念でした、でもいい。」
 「は?」
 「お前たち能力者と敵であるゴーストが戦い続ける、おしまい、とか、
  これからも能力者とゴーストは手を取り合って生きていくのでしょう、おしまいとか。
  そんな、人間の立場を無視したエンドは許すな。殺せ。そんなことになるくらいなら、みんな殺せ。
  そしてわたくしと共にお前もお前らも首を括れ。
  わたくしどもの存在は、
  『人間に迷惑をもたらすものを、
   恐れ多くも同じバケモノたる我々が、
   人間を守りたいと言うエゴのため、
   勝手ながら排除し申し上げる』
  ためだけに許されているのだから。」
 「は。」
 
 首領の声に怒りが混ざったのを感知し、丘の返事は、少なくとも外面は、はきはきとしたものに変わった。
 
 「以上。」
 「は。」
 
 返事はしたものの、丘には答えがない。何をするべきか。どうすればこの宿題を果たせるのか。
 宿題を抱えたままなんて嫌だ。直ぐに消化してすっきりしたい。少しでも進めたい。
 最悪でも、どこにどう進めばいいのかぐらいは知ってから床に就きたい。
 
 「……忘れるな。わたくしの申したことを忘れるな。今は、それでいい。」
 「了解いたしました。」
 「お前は、わたくしどもの溜飲を下げるための人形に過ぎない。役目は、果たさせる。」
 「は。」
 「以上です。外にわたくしから申し上げることはございません。」
 「了解いたしました。
  では、僕は行きます。」
 「行け。」
 「行きます。」
 「行け!」
 「行きます!行って参ります!」
 「行け!!」
 「いざ!失礼致します!」
 
 黒髪ツーテールの少年は、立ち上がり、踵を揃え、機械のように後ろを向き、退出した。
 御簾の奥には、灰色髪の人形が、うつ伏せに倒れていた。
 糸の切れた、役を終えた一体の生命なき人形。ノーライフクイーンが。
 
 
 ハッピーエンドへ。
 ハッピーエンドへ。
 ハッピーエンドへ。
 ハッピーエンドへ。
 
 以上。」
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