望み ある

 「好き好んで悪いことやってんだよ!
 
 俺が求めてんのは決着なんかじゃねえ、ただ皆が俺に同情するか不愉快になるかさえしてくれればいいんだ!
 
 俺は俺に正直にやってんだよ、その結果が「この様」なのさ、好き好んで「この様」なのさ、さあどうすんだ、どうすんだよ!
 
 
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 妄想シルバーレイン……。
 
 聖戦のリアイベ
 
――――とある未来にて
 
 兵庫県高砂市、播州大橋。
 曇天の加古川にて、二人の男が対峙していた。
 一人は白いマオカラーコートに白いスラックス、白い革靴の中年男性。
 上着の下には白い開襟シャツを覗かせる、徹底した白尽くめ。
 短く刈った黒髪と朗らかな笑顔、そして190cmに近い長身。
 男の名は、筧・次郎と言った。
 
 対するもう一人は、黒いマオカラーコートに黒いスラックス、黒い革靴の20代に見える青年。
 上着は襟首から下のボタンまできちりと閉じられ、金糸で刺繍された『筧』の一文字が光る。
 ツーテールに結った長い黒髪と舌を出した悪戯な笑顔、平均的な身長。
 青年の名は、丘・敬次郎と言った。
 
 「お一人ですか。二代目♪」
 「隠密任務ゆえ。」
 
 筧の問いに丘が応える。
 
 「どなたの命令で。」
 「隠密ゆえ、口外すること能いませぬ♪」
 
 ふふふふふふ。
 けけけけけけ。
 
 二人の男の笑い声が響いた。
 
 「鳩には今……。」
 「全軍が向かっております。」
 「それで、あなたが?僕の足止めを?たった一人で?」
 「左様でございます。」
 
 筧は、丘の肩越しに何かを覗くような仕草をしてからもう一つ問うた。
 
 「相方殿は?」
 「相方?」
 「ピジョン・ブラッド嬢は。」
 「あれは相方にありませぬ。終生の宿敵という奴です。」
 「ならば差し詰め、あなたがクリスタルボーイで彼女がコブラと言った所ですか♪」
 「僕は彼女の左手を切り落とすところまでは行っておりませんが、
  彼女も僕を殺してはいないのでおあいこ、と言った所ですか♪」
 
 ふふふふふふ。
 けけけけけけ。
 
 戯れはそれだけで十分だった。
 
 彼の用が足止めならば通らねばならぬ。より早く鳩の下に駆けつけられれば、奴らはその分困るということだ。
 我の用が足止めならば止めねばならぬ。何としても通らんとするであろう彼を迎撃するのが任務であるということだ。
 
 白の男と黒の男は歩き出す。笑顔のままで。
 擦れ違う寸前まで、ただの他人同士が橋を通るように。
 
 黒い男が左足を右にかわす、擦れ違う、その寸前。
 その左足に体重が込められた。
 続く右足で背を向け震脚、鉄山靠。
 凄まじい勢いで黒い背中が白い腹にぶつけられる。衝撃音に橋が揺れた。
 
 「ぐはあ!」
 
 だが、悲鳴は黒い男の――――丘の口から漏れた。
 丘の繰り出した背に、筧の拳が食い込んでいたのだ。
 続く筧の蹴りを丘は前転でからがらに回避する。
 
 「うむ、流石は忌々しき能力者。一撃で背骨を粉砕とは行きませんな。」
 
 筧が、打ち込んだ手をひらひらと振った。
 手に残る感触は重く硬い、まるで鉛。
 
 「……一等硬い装備を持ってきましたからね。驚いて貰いませんと!」
 
 振り向き様丘が袖から抜いたのは忍者刀。
 アビリティを警戒して防御姿勢を取った筧に飛び掛かったのは、刀の刃そのもの、計五枚。
 
 「うおっと!」
 
 その正体は忍者刀に模した燕刃刀。
 刃の薄さは刀の五分の一、五枚集まって一本の刀と為す、名づけて『五Ripper』。
 急所こそ外したものの、奇襲となった一撃、否、“五”撃は、筧の手足と胴に深く刺さった。
 
 しかし筧も歴戦の悪魔。この程度で退きはしない。痛みをものともせず、懐から魔性のライフルを取り出し、銃口を向ける。
 
 「!ちぃ。」
 
 筧の視界に入ったのは、筒状の缶。スタングレネード。両手は一旦耳を塞ぐのに使わざるを得ない。
 いくら筧・次郎が魔人と言えど、――――魔人故の鋭敏な感覚だからこそ、とも言える――――視覚と聴覚を塞がれるのはまずい。
 次の瞬間、大音響と強烈な閃光が辺りを覆いつくした。
 
 「ぐう!」
 
 胴に受けるは覚悟していた苦痛。
 だがその数は想定外。
 丘がこの機に水刃手裏剣を撃って来るとは踏んでいたが、まさか散弾のように放てるとは。
 一つ一つは小さく、殆どはコートに弾かれてしまったが、隙間を抜け臓腑に食い込んだものもあった。
 
 「ふ、ふふふふふははははははは!!」
 
 丘なりの、二代目なりの工夫という訳か!
 散弾手裏剣、確かに味わった。この筧を、真名である“ケイジ”を継ぐだけの実力はある!
 
 開いた筧の目に見えるのは、燕刃刀ではなくナイフを持って飛び込んでくる丘の姿。
 この一瞬にイグニッションし直したか、惚れ惚れするほどの才能だ……。
 
 「楽しい!」
 
 丘の突き出したナイフが刺したのはしかし幻影。
 晴れた霧影の横から、本物の筧・次郎が掌底を打ち込む。
 丘の体が弾かれたように宙を舞った。
 
 「耐えましたか……。」
 
 頭を消し飛ばすつもりで打った手だったが、丘の首はどうやらつながっている。
 技術のみならず、肉体面においても自分は彼を過小評価していたようだ。
 
 筧は魔が為したライフルを構え、着地点に狙いを定める。
 超狙撃弾『スナイピングアーティラリー』。『無警戒の』『10m以上離れた相手に』『一発必中』かつ『一撃必殺の威力を持つ魔弾を打ち出す』悪魔の技『ダークフォース』。
 
 ゴッ。
 紫色の魔弾は音速を超え、空気の障壁を破り、強烈な衝撃音を生み出した。
 丘に向かって直進する光。
 内包するは、怪力乱神を完全に殺滅する、魔神の息吹。
 
 だが輝く魔弾は、鋼の刃に弾かれあらぬ方へと消えた。
 
 「あなたは……!」
 
 望叶・タマエ。
 紫の魔弾を弾き返した『ハッピーモンキーチェーンソーGT すぴりっと!』のエンジンが唸りを上げている。
 
 「丘先輩、本当に意地が悪いったら……。」
 
 勇ましいエンジンの咆哮に反して、チェーンはガスガスと空しい空回りの音を立てていた。
 ほぼ90度に捻じ曲がった刀身では、チェーンは回らない。魔弾の威力はすさまじく、一撃で彼女の武器を無力化したのだ。 
 「後輩にフォローさせるなんて、先輩失格よ?」
 
 タマエに向かって筧のライフルから3点バーストが飛んだが、水刃手裏剣が易々と弾き返す。
 
 「いえいえ、もっと酷いことですよ、フォローなんぞより♪
  タマエちゃんには……。」
 
 僕の一番、見て欲しくない所を見て欲しいんです。
 
 横を走り抜けた丘の姿は、タマエには宛ら黒い狼のように見えた。
 
 「女を庇うと、強くなりますよなあ。」
 「男の子ですもの!」
 
 ライフルを捨てた筧が、丘の挑みに応じ得物を持ち返る。
 捻じ曲がった魔剣と、メスを模した詠唱兵器が閃光を放った。
 
 「僕にも実体験がありますよ……恥ずかしながら♪」
 「あはははは……あなたが此処に来たこと自体が、正にそうでしょう?」
 
 ふふふふふふ。
 けけけけけけ。
 
 悪鬼筧・次郎はそもそも、この世界に居るはずのないもの。
 神魔創世記アクスディアEXCEEDという物語の中で、大人しく隠遁生活を営んでいるべき、人間生まれの悪鬼。
 それが、従者・鳩の忠誠に動かされて、ここまで付いて来た。
 筧の願い、『ハッピーエンド』を達成するしようと、一途に悪役を請け負った彼女の為に。
 その為に次元さえ超えて此処に。『此処に』現れた。
 僕を生み出してまで、望んだ。人間の勝利を。怪物の敗北を。物語の終焉を。
 それは最早、筧・次郎の望みではなく、筧・次郎に付き従った逢魔・鳩の望み。
 従者の望みに、主人が付き合ったのだ。
 
 「ですから!ここは一歩も進ませませぬ!それがお屋形様のきっとお望みだ!」
 
 丘が吼えれば
 
 「そうは行きません、ゴミ共を根絶やしにしてからでなければ、僕らは首を括れない!」
 
 筧が叫ぶ。
 
 筧と丘の実力は今や拮抗していた。
 強力な怨念を持ちながらも、世界の制約によって十分な実戦経験を持てなかった悪鬼・筧と、
 憎悪も念も無いながら、世界に飲み込まれ戦闘経験を積み上げ続けた悪いツインテ・丘とは。
 繰り出す暗器も打ち出す拳法も。その鋭さも、膂力も、狡猾さも、差がない。
 火花を散らし、橋を崩さんばかりの勢いで激突する二人を、望叶・タマエは後方で見守るばかり。
 手出しをしたい。宿命の対決ならばと自重できるほど大人でもない。
 ただ、刃を折られてしまったのだ。信じるしかない。
 
 
 生まれが同じ神ならば。勝敗を分けるのは?
 
 火薬同士が爆発を起こす。開かれた間合い。
 丘・敬次郎が腕を振り上げた。
 
――――水刃手裏剣奥義・龍縄虎迫(りゅうじょうこはく)!
 
 豊穣な流れを持つ加古川。
 橋の上流側の水流が持ち上がり龍となって、悪鬼・次郎に襲い掛かる!
 
――――水刃手裏剣返し・威虎転翼(いこてんよく)!
 
 全身を翻し震脚を踏んだ筧が手を繰り出す。
 魔性の力に囚われた水龍が丘に向き直り牙を向く。
 丘は身を縮めるも、その身は為す術も無く龍に呑まれ、水流に切り刻まれる。

 身に潜めた暗器が、水流の中に暴かれて行く。

 
 筧はライフルを構え、終の一撃を丘に向けた。
 仕事は完全に完遂するのが『掃除屋』の使命だ。油断も遊びも介在させない。
 “一刻も早くこの場を通り過ぎるべき”
 その責務に。
 足止めという、敵の任務を折るのに。
 一刻の猶予もくれてやる気は無い。死ね。
 
 だが、引き金を引くのに一瞬躊躇いが生まれた。
 何故なら、龍に呑まれた丘の顔が。
 舌を出して笑っていたから。
 
 それでも撃つ。超狙撃弾、能力者もその詠唱兵器も一撃で作動不良にする必殺の弾丸。
 だが、遅かった。丘は、笑っていたのだから。
 
――――爆水掌秘儀・龍悶転顎(りゅうもんてんがく)!
 
 印を組んだ手を丘が押し出すと、水龍が爆発し、その全てが筧に降り注いだ。
 如何に神速を誇る次郎とて、とても回避できる大きさではない。さりとて耐え切れるか……!
 
 「ぐふっ!」
 
 一番最初に彼に届いたのは、自身が放った魔弾だった。
 一撃必殺の魔力の弾丸が、水流に押し戻され曲げられ、撃ち手に牙を向いたのだ。
 態勢を崩した次郎に、水を纏った弾丸が、詠唱兵器が、丘の暗器の全てが。そして、大質量の水そのものが突き刺さる。
 
 「あ……!」
 
 悲鳴を上げることも許さない衝撃が、筧を襲った。
 肺は押されて空気を押し出すばかり、呼吸も出来ない。
 窒息の中で、五体が砕ける感触を味わう。そして。
 
 「沈め。『あの時』のように。
  そして今度こそ、浮かび上がって来るな!」
 
 水流に乗った丘の拳が、筧を加古川へ叩き込んだ。
 
 
 
 ……この川は播磨灘に注ぐ。
 播磨灘は、『あの時』筧が天使に沈められた忌まわしき場所。
 『あの時』筧が天使をしとめ損ねた忌まわしき場所。
 そして、筧自身の根城でもある、忌まわしき場所。
 瑠璃という名の呪いの根拠。
 
 大音響を挙げて叩き込まれた筧の体はよほど深くに沈んだらしく、暫く浮かんでは来なかった。
 丘は完全な死を確認する為に、橋の淵で下流を眺めている。
 望叶が駆け寄ってくるのも片手で制していた。
 
 油断は出来ない。
 相手はこの僕の育ての親だ。自分の方が優れているなどと、努々考えてはならない。
 人とバケモノを殺すことだけに血道を上げてきた、プロ中のプロ。
 増してその肉体は次元すら超える魔人の……
 
 「え……。」
 
 横殴りの銃弾に、全く反応できなかった。
 紫の光が己の胴を貫くまで、何が起こったのか全くわからなかった。
 
 「先輩!」
 
 望叶が叫ぶ。
 
 「今度こそ、『あの時』の借りを返せましたよ。ゲシュタ。シヴァ、立木・舞亜……!」
 
 川岸にて、煙の立つライフルを構える筧の姿。

 白尽くめだった服は、今や血に赤く染められている。

 

――――命を絶つことは何と楽しい。奪い合うことはそれよりも尚……。
 
 暗殺より戦いを望み始めたときから。掃除屋は既に綻んでいたのかもしれない。
 ライフルを持った手が力無く下ろされると、笑う悪鬼は崩れ落ち、詠唱銀の欠片と化して滅んだ。
 
 倒れた丘に、望叶が駆け寄る。
 
 「馬鹿よ。大馬鹿よ先輩は……!
  こんなものを見せる為にわたしを呼んだの!?最低だわ!!
  ……最低……!」
 
 「そう、最低です!」
 
 丘ががばりと立ち上がる。そして望叶の両肩を強く叩いた。
 そして口と腹から大量の血を吐き出しながら、彼女に言う。
 
 「落ち着いてくださいよ!
  一応此処は生命賛歌の範囲内だ、死にゃあしません♪
  ……ですからね?」
 
 丘が、東を指差す。
 遥か彼方に見えるのは、暗黒の粘体で出来た山。
 その頂点に微か白く見えるのは、筧・小鳩の姿。
 限界を突破して全力で解き放った、彼女の持てる全て。
 この戦争の主戦場であり、絶対に落とすべき天守閣。
 
 「あの死に損ないの可哀相なステイシーを、再殺してきて下さい。」
 
 そう言って、丘は一枚のイグニッションカードを手渡した。
 そこには、誰の姿もない。一本の巨大なチェーンソー剣だけが描かれている。
 
 「馬鹿、イグニッションカードは本人以外は使えないのよ?」
 「だから、それは。
  あなたの、イグニッションカードです。タマエちゃん♪」
 
 見上げる目を、丘がまっすぐに見下ろす。
 暗黒を携えた、いつも通りの恐ろしい目で。
 
 「さあ。今は戦争だ。もたもたしている暇はありません。早く。」
 「じっとしてなさい!メディックを呼んでくるから!」
 
 望叶が振り払おうとした手はしかし、強く肩に食い込んで。
 
 「ちょっと先輩、痛いわ!」
 「そのイグカねえ、あなたが使うにはちょっとレベル足りないんですよね。」
 
 丘の両手が光り、その光が望叶の両肩から全身へと広がっていく。
 同時に望叶の体に広がっていく充足感。
 これは……『能力の継承』。
 
 「ちょ、ちょっと!わたしは!先輩!」
 「すいませんねえ……。この傷じゃあどうせ役に立てませんし、
  しかしこれは最期の決戦なので。少しでも力は有効活用しなくては。」
 「だったら何で一人で挑んだりしたの!初めから作戦に入れておけば……!」
 「見たでしょう?あのデタラメな威力のアビリティ、そして能力者では持ちえない武器を。
  あの方は、挑んだら挑んだ人数だけ巻き込む力を持っている。
  銀誓館の生徒では何人で挑んでも、相打ちにしか出来ない。
  だから、奴の力を一番よく知ってる僕が、一人で行けば。
  被害は最小に収まるわけですよ。」
 「……馬鹿だわ。」
 「いいえ?
  ……最低なんです♪」
 
 望叶は、最後までその継承を拒絶しようとした。
 能力者が他人に能力を継承させてしまったら、もう能力者では無くなる。
 メガリス破壊効果の加護も得られず、生命賛歌の力で何とか持っている傷も、致命傷に変わり、死に直結する。
 受け入れられる訳が無かった。
 
――――よかった、僕も、人並みに満足して死ねる。
 
 その呟きと共に、粘膜が接触するまでは。
 
 
 「……。
  死んだ人を悪く言いたくないけれど。」
 
 授かったイグニッションカードを顕現する。
 全長3mに及ぶ巨大なチェーンソー剣『H・M・チェーンソーゼロ ノゾミアルトシテモ』の駆動音を唸らせながら、望叶はため息をついた。
 
 「悪趣味過ぎるわ。こう言って喜ぶなら言ってあげる。
  最っ低!」
 
 吐き捨てられた言葉に、丘の顔は少しだけ、唇を上げたように見えた。
 
――――
 
 「戦死報告!
  丘・敬次郎、作戦区域外にて、死亡!」
 「何ですって!」
 
 ピジョン・ブラッドは報告に来たサーチャーの首を締め上げた。
 
 「ピジョンさん!」
 
 龍臥崎・まきなの言葉も彼女を止められない。
 そんな馬鹿な。
 何となれば、この戦いで敵に回ってもおかしくなかった存在なのに。
 全ての能力者の敵を自認していた男なのに。
 我らを討つべく寝返ったならまだしも、区域外で、しかも死亡だと?!
 
 「ぞ、続報が。
  敵首領格、筧・次郎の死亡を確認しました。」
 「……『掃除屋』が?!」
 
 その二つ名を知るのは、ピジョンだけ。『筧夫妻』を宿敵と追いかけてきた彼女だけだ。
 
 「加古川、播州大橋付近の川岸で、破れた衣服と血、そして、詠唱銀が残されていた、と……。
  状況から見て、死んで消え去ったものと思われます。」
 「そう、ですか……。」
 
 今回の作戦に、筧・次郎の撃破は含まれて居なかった。
 元々、次郎と離れて別行動を取っている小鳩を急襲する作戦であり、彼の参戦自体が想定外だったのだ。
 小鳩に匹敵する力を持つ次郎を、たった一人の犠牲で撃破できたのは奇跡に近い幸運とも言える。
 
 ……しかし……!
 
 歯噛みするピジョンの脳が機械の駆動する重低音で揺れた。
 振り返った先に居たのは、巨大なチェーンソー剣を携える、少女。
 
 「初めまして、先輩方。
  丘先輩が世話になった方だと聞いてるわ。
  でも、ごめんなさい。
  ……わたし、今凄く、虫の居所が悪いの。」
 
 彼女の目を数秒見つめてから、ピジョンは背を向けた。
 そして、一言。
 
 「ついていらっしゃい。」
 「あれデス。」
 
 まきなが指差す先は、黒く染まった残留思念の山。
 その頂点に居る、白く輝く二尾の鳩。
 
 「あれね。」
 
 『H・M・チェーンソーゼロ ノゾミアルトシテモ』が、一層激しい駆動音を立てる。
 悪しき亜神の、悪しき望みを絶つ為に。
 
 
 
 
 以上。だから、妄想、だと。
 
 あの時
  
 ……。
 
 泣いては居ません。」
 
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