痛い方がいいのか?

 「パンが無い?
 
 じゃあ、小麦を植えてお前は飢え死にすりゃいいじゃん。
 
 大丈夫、次に生まれてくる世代にはどうやってもお前ほどのバカはいないから。
 
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 我が創造神の母神様は、未成年の飲酒喫煙には寛大でございました……。
 
 「自分で責任取れればいい」と。
 
 その真意を聞くことは、創造神はいまだにできていなかったようですが。
 
 ……ちなみに、我が神は生真面目でしたので、二十歳超えても酒にも煙草にも手を出しませんでした。
 
 酒は今は中毒レベルですが、煙草は未だにやっておりません……。
 
 あと、いちいち書いてませんが、移転保存してます。
 
 こちらをちょくちょく編集するので、完全には同期がとれておりませんが……。
 
 ……さて。
 
 これへの応答、になるのかな。
 
 今宵お招きするのは、マイケル・チバ様……。
 
 どうぞよろしく……。
 
 
 おぞましき空へ
 
 「何で裸なの?」
 「男っぽいでしょ?」
 
 マイケル・チバが尋ねると、丘が笑って応えた。
 短く刈りそろえた短髪のマイケルと、長い黒髪をツーテールに結った丘。
 立って見下ろすチバと、座って見上げる丘。
 対照的な二人に共通しているのは、怠惰な空気だけ。
 
 ここは銀誓館学園の屋上である。と言っても、百葉箱は置いていない。
 数多あるキャンパスの中でも、特にまともな人間が寄り付かない、
 はっきり言えば不良の溜り場になっている一角だ。
 
 「で、何の話だっけ?」
 「結社行かなくてごめんなさい。」
 「いやそれはもう聞いたけど。」
 「あ、そうそう。」
 
 丘が脱ぎ捨てた上着のポケットをまさぐる。
 出てきたのは、『PEACE』。
 
 「一本どうぞ♪」
 「いやあ、能力者だから、そういうのはー。」
 「『能力者だから』ぁ?」
 「いや、学生だし。」
 
 ふふふふふ……。
 未成年だから、という言葉が直ぐに出てこなかったチバの様子に、丘が笑った。
 
 「いや、まあ、そんなに言うなら、もらわないこともないかな?」
 「遠慮なくどうぞ?ああ、ノンフィルターなんで、こうトントン、ってやって葉っぱを詰めてください。
  でないと口の中に葉っぱ吸い込んじゃいますから♪」
 
 煙草を手にしたチバに、さ、どうぞ♪と彼の懐からジッポをスリ取って火を差し出した。
 
 「てめえ。」
 「忍者ですから♪」
 
 眉を潜ませつつも、火を点けられた煙草を一吸いする。
 見る見るうちにチバは顔色を変え、激しく咳き込んだ。
 
 「きっつ!!覚悟してたけどきっつ!!」
 「ゆっくりしっぽり頂くのが、ノンフィルターの作法ですってよ♪
  低温で徐々に焼いて、きちんと風味を出すんです。」
 
 また丘がクスクスと笑った。
 チバも落ち着くと、慎重に煙を吸い直す。
 
 「丘君、いつもこれ吸ってんの?」
 「いえ。お守りです。」
 
 チバから掏り取ったジッポを胸ポケットに返すと、丘はコンクリートの壁に背をかけた。
 
 「実家ー、つーか元実家からチョッパって来たんです。
  里の支給品を見て、やっぱり思い出深いお守り欲しくなって。」
 「不良だねえ。
  里で煙草支給してるんだ?」
 「いや、勿論未成年には支給されませんけどね?
  先輩達に支給されてるのを見て、父は違うの吸ってたな、って。
  んで、調べてみたらこれだったんですよ。」
 「通だね!」
 
 言いながら、チバがまた咳き込んだ。
 ノンフィルターの煙草はいまや希少種だ。煙草を吸いなれた大人ですら、初体験は辛いだろう。
 いわんや、成人すらしていない年頃の少年をや。
 一頻り咳き込み終わった後で、マイケルがにかっと笑って言った。
 
 「……キミの親父さん。」
 「カッコイイですよね。手間のかかる嗜好品。」
 
 精一杯の笑顔を見せてやったのに、さらっと流して目線も向けない。
 丘の態度に聊か苛立って、強く吸い込んでまた咳き込む。
 
 「しかし、知らなかったな、丘君が不良だったなんて。」
 「誤解を避けるために言っておきますけど、僕は煙草なんてやりませんよ?」
 「は?」
 「ライター持ってたら自分ので点けて差し上げてますよ。
  お守りと申し上げたでしょ?
  それに、うちの里では喫煙は非推奨なんです。
  匂いが残るから。」
 「飲酒はいいんだ。」
 「飲酒はいいんです。いや、僕はやってませんけどね。
  逆に言うと、うちの里は法律なんぞ初めから守る気無いんですな。
  匂いが残るからダメ、っていうのは、それ以外の理由はないってことの裏返しですし。」
 
 丘が空を見上げると、チバはその目線の先に煙のわっかを飛ばしてみせた。
 
 「今更であれだけど、そんなお守りを俺がもらっても良かったのかな?」
 「買える年になったら自分で買います♪
  今吸ったら、お屋形様にぶっ殺されるんで。」
 「こえー。」
 
 コツを掴んできたのか、チバの吐く煙はゆっくりになり、咳き込むこともなくなった。
 お互い、空を見上げる。
 
 「丘君に呼び出されるなんて、何かと思ったけど。」
 「何となくね。煙草見せても驚かなさそうな知り合いが丁度。先輩だったんで。」
 「俺は品行方正ですよ!?」
 「やっぱり煙草って絵になりますしね。」
 「かっこいいよね。」
 「モノをしゃぶることから抜け出せない幼児性を引きずってる有様のどこにそんな魅力があるのかは大いに疑問ですが。」
 「丘君、俺のこと嫌いなのか。」
 「いや、僕もかっこいいと思っちゃうんですよ。
  でもそれがなんでなのかはわかんないんですよねえ。
  大人っぽいってことなのかしら。」
 「……。」
 
 チバがもう一つ煙の輪を飛ばした。
 薄く白い輪が、ゆっくりと宙に消えていく。
 
 「将来の夢とか、あります?」
 「へ?俺?俺は勿論あれだ。ジョン・ウー!いや、ブルース・リーの方が……待てよ、ジャッキーの要素も取り入れつつ……。」
 「僕は、大魔王になりたいんです。」
 
 チバの眼が丘を見る。
 丘の眼は空に斜め前の空に向いたままで、その表情は如何にも夢に浮かされた若者の物。
 
 「この世界に闇を齎し、
  欲望のままに配下に命令して女侍らせて、最後に勇者に殺される。」
 
 チバの眼が、こころなしか細くなった。
 
 「ゾーマ?」
 「ゾーマはストイックじゃないですか。
  恐怖を齎すことを目的にはしていても、別に貪欲だった訳でも特別我侭だったわけでもない。
  自分の力を使えば、世界は闇に包まれる。それを本当に客観的に理解してたんだと思います。
  闇の世界にしたいんじゃなく、自分が大魔王として役目を果たすなら、当然世界は闇に包まれるだろうっていう。
  それはそれで凄いですが。」
 「むう?」
 「いや、まあ。
  ぶっちゃけますと、僕も忍者ですからさ。
  今更お天道様に顔向けできるような生き方してねえんですよ。
  やりたいようにやってるし、
  やりたいようにやりたがってる人の依頼も受けてる。
  だからね。
  やりたいようにやって、
  ヤクザらしく、社会のゴミのようにちゃんと死にたいんです。」
 「へえ……。」
 
 他者の価値観の理解には、時として長い時を必要とすることもある。
 チバは、丘の精悍な胸板と腹筋を眺めながら、次に口に出すジョークを考えていた。
 
 
 以上。」
 
 
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痛い方がいいのか? への2件のフィードバック

  1. きうい より:

    わたくしは、文字の大きさ小でいつもブラウザ使ってるもんで……。ごめんなさい。というか、これは多分、読んでも面白くないかと。

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