【IF Another despair】腐肉の掠奪

 「お前の生誕は災厄だろ。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 妄想シルバーレイン
 
 【IF Another despair】腐肉の掠奪
 
――――考えてもみてくださいよ。
――――例えば僕が、貴方に好意を持つ人間を悉く滅ぼしたからと言って、貴方が僕を好きになるという訳では無いでしょう?
 
 
――――……でもだからといって。
――――それは嫉妬しない理由にはならないし。
――――殺さない理由にもならないんですけどね。
 
 「恋は盲目ですから♪」
 
 丘・敬次郎は笑って、後ろを振り向いた。
 ライフル・バレットM95SPの銃口を上に向けて。
 
 「ミスター・オカ。」
 
 丘はニコリと笑って、声をかけた男に海軍式の敬礼を返した。
 男の白い軍帽には、銀色の鷲が翼を広げていた。
 
 
―――――
 
 『教団』、作戦会議室。
 金髪の小柄な男が一人で、大量の文書を仕分けしていた。
 
 「カマクラを自由に出入りできる隠密能力、」
 「銀誓館生徒であった実績と知識、」
 「殺戮を苦に思わぬ人間性、」
 「日本の各種要人とのパイプ、」
 「作戦行動の末に『嵐公女』を撃破した実力、」
 「ゴーストに対して近代兵器は無力ではないという認識、およびその実践。」
 
 書類がカードのように配置されていく。
 
 「なるほど、これだけカードがあれば、確かにA-の評価でもおかしくない。」
 
 『黙示録の獣』が正面から当たれば、倒せる相手ではある。
 実力自体は彼らほどの突出ではない。今のところは。
 だが、正面から相対させない手段を持っているのなら話は別。
 戦車に踏まれた人は死ぬが、工兵に戦車は敗れる。
 強大な力も、知恵と勇気と、銀のナイフで打ち倒せることを知っている。
 それはとても。恐ろしいことだ。
 
 挙句、力で当たっても無闇な消耗になるだけだからより深い隠密技術で勝負、と発案しかけた矢先に。
 在日米軍という「力」の介入。
 
 「貴方は本当に。
  今度こそ、このカマクラをひっくり返そうと思っているのですね。」
 
 日本という国すら、切り売りしてまで。
 
――――
 
 「助かりました♪
  補助の電池も切れ掛かっていましてね。」
 
 分厚い携帯電話と補助バッテリーを受け取ると、丘はもう一度敬礼した。
 銀誓館学園での異文化コミュニケーションで、英語はお手の物だ。
 
 「日本陸上自衛隊との呼応作戦になる。
  23:00。作戦行動を開始する。
  問題ないな?」
 「イエス。
  よろしくお願いいたします。
  それと、あれは?」
 
 男が後ろの兵に合図を送ると、コンテナが運ばれて来た。
 重い音を立て、丘の目の前に置かれる。
 
 「急な連絡だったので、これだけしか用意できなかったが。」
 
 コンテナから出てきたのは、M95SP用の12.7mm弾薬と、詠唱銀塊50キロ。
 
 「ありがとうございます。」
 「上司が目を丸くしていたよ。
  日本の、しかも能力者がアメリカに協力を仰ぐなど。」
 「能力者は軍隊ではありませんからね♪
  そこはゲリラを掃討したベトナム戦争での実績を評価しまして。」
 「ベトコンの相手はもう沢山だが。」
 「敵は真っ赤っかの共産主義者です。
  残念ながら、多くの日本人は共産主義の恐ろしさを知りません。
  GHQの誰かさんと、どこかの大陸のスパイ共のおかげで、ステキな歴史教育体制が敷かれているから♪」
 「ふん。
  ベトコン共とやり合うより、ずっとこっちは金がかかっているらしいが。」
 「能力者は強力ですが、天使でもなければ悪魔でもない。
  人の武器でちゃんと傷つくし、壊せば死ぬ。ただ丈夫なだけでね。
  人間の代わりにサイとか象がゲリラをやってると思ってくれればいい。」
 「だったらハンターでも呼んでくればよかったかな。」
 「確かに、その方がずっと安く済んだかもしれませんね♪」
 「……。
  これは、海軍としてではなく、独り言として聞いて欲しいんだが。」
 「何です?」
 「……祖国の土地を焦土にするのは、狂気の沙汰だよな。」
 
 丘は、ニッコリと笑って。
 
 「癌は、切らねば治りません♪」
 
 たとえこの作戦で日本の名誉が地に落ちようと。
 何人の政治家や自分自身が売国奴と吊るし上げられようと。
 結果、日本の領土が周辺諸国に切り取られることになろうとも。
 
 「日本に巣食う非国民を炙り出すにはいい機会ですし。
  それに、あれは僕の知り合いだ。
  見てみぬ振りをするのは、それこそ看過すべからざる悪そのものです。」
 
 そこから日本が立ち上がるのを信じているから。
 生来的に善にして努力家である、島国のモンゴロイドを誰よりも信仰しているから。
 
 「では♪」
 
 丘が銀塊を手に取ると、そこからちりちりと煙が上がり、やがて掌がぼとりと落ちる。
 押し当てた手首を抜くと、落ちた肉の手の代わりに銀色の掌が『再生』していた。
 銀に変わった手で改めて銀塊を引きずる。
 
 「感謝します。」
 「幸運を。」
 
 落ちた掌の指先は内側から黒く膿んでいて。微かな腐臭を放っていた。
 
 以上。
 
 本当は、瑠璃色の丘ウェブログの記事合わせて昨日描く予定でした……。」

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