テラー

 「そうさ。お前のことを考えてオナニーしていた。死ね、死ね、死ねと。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 さあ、その先へ。
 
 
 妄想シルバーレイン
 
 穴
 
――――落とす。
――――落ちる。
――――……入れる。
 
 
 「ありますよ。」
 
 筧・次郎は、平然と応えた。
 
 「と、いうより、そうあるべきだ。と言いますか。」
 
 やや当惑気味の、目の前の少年……楠森・統次郎に、言葉を補足する。
 
 「僕は死ななければならない。
  僕を乗り越えるモノの手によって。
  願わくば、僕の教え子の手で。
  でなければ、人間の手で。」
 「……。」
 
 矛盾。
 死にたがる殺し屋。
 彼自身が持つであろう無矛盾のトリックに、思い至ることができない。
 
 「死にたくは、無いのです。
  生きて楽しんでいたい。
  ただ、僕はバケモノです。
  まともに生きている、崇高な人間を、卑怯な手段でぶち殺して食い漁って生きてる。
  そんな奴は、『殺されるべきだ』。」
 
 ああ。
 聞き覚えが?
 聞かされ覚えが?
 あるような、教え。
 丘が事あるごとに言っている、「バケモノはヒトに駆逐されるべき」
 という。アレ。
 
 「殺人犯は死ぬべきです。
  社会の為に。
  社会に生きる普通の人々が平和に平穏に生きていくために。
  排除されるべきだ。そこは……反論の余地も無い。
  だが、僕らは、それを踏みにじることで生きている。
  生きていたい。」
 
 理性が、死ぬべきだと言う劣等感で苛み。
 本能が、殺したいという衝動で蝕む。
 矛盾はしない。ただ、対立するだけ。
 
 「……だが、貴方の求めるところは、こんな答えでは、無いのでしょうね。」
 
 筧が、少しだけ悲しそうな顔をしながら笑った。
 貴方は、多分、本当に死んだ方がましだ、と思ったのでしょう。
 勿論本当のところは貴方にしかわかりませんが。
 
 僕の、「死ぬべきだ」という論理と、
 貴方の、「死にたい」という感情は、一致しない。
 
 「……。」
 「生きていくのが、面倒だと思ったこともあります。」
 
 筧が目やにを取りながら言った。
 
 「幼少の頃は、まあ、それなりに。
  こういう商売に至るだけの生い立ちをしてきたのでね。
  明日なんて来なけりゃいいのに、誰にも迷惑かけずに死ねたらどんなに楽か、とか思ったことは山ほど。」
 
 そこは多分、貴方のそれと近いと思うのですよ。
 
 「でも、今は、毎日が楽しい♪」
 
 そう言って、筧は笑った。
 
 「貴方はどうです?
  死にたいと思ったことは、そりゃあるでしょう。
  でも、今。殺されてしまいたいのですか?
  首を括ってしまいたいのですか?」
 
 今。
 今。
 今。
 死ぬべきだ。
 死にたい。
 死んでしまいたい。
 
 本当に、そう思っていますか?
 
 過去はどうでもいい。そういう日々もきっとあった。
 
 今は?すべての過去を受け継いだ、最新の貴方は、どういう結論なのですか?
 それが多分、歩みたい道だと思うのですが。
 
 「……俺は。」
 
 今。
 
 その単語が、酷く楠森の喉にこびりついていた。
 
 
 以上。」
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