Rude Awakening

 「受け取れ愚図!
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 
 妄想シルバーレイン……。
 
 次
 
 「やあ♪お久しぶりですパティ♪」
 「どうも、御久しゅうございます、主(あるじ)。」
 
 夜の大阪、新世界某所。
 長身の男と、灰髪の少女が逢う。
 
 「あれの始末は。」
 「十全です♪」
 
 無表情に問う少女に、男は笑顔で返した。
 行きましょうか、と男が手を差し出すと、少女は躊躇わずそれを握る。
 
 「……たこ焼き。」
 「ぐらいしかありませんからね。ここ。特に夜は。」
 
 屋台で12個入りを注文し、少女に手渡す。
 少女は口の中に一つ頬張り一噛みすると、口中に広がる熱さに人目も憚らず体をくねらせて悶えた。
 
 「相変わらず、感覚には正直ですねえ♪」
 
 パティと呼ばれた少女は無表情では合ったが、それは演技ではなかった。
 単に感情が極端に乏しいだけなのだ。
 ついでに他人からどう見られるかということにも興味が無いので、感情を表現するときはこうやって遠慮無く体を動かす。
 少女は涙を流しながらたこ焼きを嚥下すると、潤んだままの瞳を男へ向けた。
 
 「如何でしたか。」
 「やはり、久しぶりと言うのはいけませんな、初対面の相手にしゃべりすぎてしまった。」
 「殺した始末は。」
 「電話でお伝えしたとおりです。
  世界結界に否定されておしまい。」
 「……。」
 
 
 この世界では、誰も殺せない。
 おそらく、世界中でこの二人だけが。
 そのことを納得しながら不満に感じている。
 
 「ご無事でなによりです……。」
 「僕らは僕らで、僕らの世界結界に守られていますからね。」
 「悲しいことです……。」
 「何、我々にできることをするだけです。
  神は我々にできる限りの力を与えてくれた。
  能力者を簡単に打ち殺せるだけの力も、
  能力者やその創造神に間接的に関与できる力も。
  そう、我らが神に『できる限りの』。
  それ以上は、望むべくも無い。神にできるなら、おそらくはもうやっているのだから。」
 「……。」
 
 男は、神を憎みながら生きている。
 彼が言葉に出しているのとはまた違った、世界を創ったとの給う大神を。
 人間の平和の為に悪魔を排除せよと命令を出し、地球に天使を遣わし、悪魔たちのゲリラ戦に付き合った挙句、
 『戦争をやめよ』と布告を出し、天使にも悪魔にも見限られた、とある世界のとある大神を。
 我らが創造神は、その有様を頗る憎んで我らを為した。
 それは、変わらない。
 
 「ここにあるべきように。今の僕達は殺しましょう。」
 「はい。」
 
 命を金に変える。
 我らの正義は、ただそれだけ。
 いつか塵に変えられる命なら、
 その前にやれる限りの悪をやるだけ。
 
 「大阪にはゴミが多い。」
 「依頼外の標的は殺さない契約です、主。」
 
 主(あるじ)と呼ばれた男が煤けたビルを跳ぶと、
 パティと呼ばれた少女がそれを追ってくすんだ屋根を蹴った。
 
 戦いは続く。大神が齎すエンディングまで。
 
 以上。」
 
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