命に価値は無い

 「ばか!
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 妄想シルバーレイン……。
 
 愛らしき鉄鎖
 
――――善を是とする絶対悪。即ち、善是絶。
――――善の全てを絶やすということ。善は全てを絶やすということ。
 
 女性はどうだか知らないが、男ってのは、本当に愛している女とはセックスが必要ない。
 愛と愛欲は別、なのだ。
 愛している相手は、愛欲という卑しいところに貶めたくないし、
 愛欲が涌く肢体には、愛が入る余地が無い。
 
 「……。」
 
 丘・敬次郎もまた、男子であった。
 長い髪をツーテールに結っていても。
 ツーテールに合わせて、衣服や体毛を中性的に保つ努力をしていても。
 脳の中に煮えたぎっているのは、よりキモチイイ射精への欲求と、照れくさいほどの初恋の輝き。
 
 「……。」
 
 里長は言った。
 命より価値のあるものを積み上げなさい、と。
 命を繋ぎとめる為に、売り払う時が来るから、と。
 金を。地位を。プライドを。信頼を。人脈を。恋人を。愛情を。
 命を賭けても繋ぎ止めたいと思うものを沢山持て、と。
 
 死んで無価値にならないように。
 金があれば、敵の心を買収できるかもしれない。
 地位を捨てれば、敵も満足するかもしれない。
 プライドを持っていれば、自尊心が無様に崩れる様に敵の胸を心地よくさせられるかもしれない。
 信頼があれば、より効率的に裏切ることができるかもしれない。
 恋人が居れば、泣きながら捨てて見せれば許してくれるかもしれない。
 愛情があれば、自分の為に身代わりになってくれる者が現れるかもしれない。
 
 何としても生き延びるのだ、消え去ってしまえば永久に0になるのだから。生まれてこなかったのと同じになるのだから。
 
 「……。」
 
 でも、僕は望叶・タマエを特別に思っている。
 『だからこそ』、彼女には価値がある。土下座し、演技ではない涙を流し、彼女を盾にして自分は命を永らえる。
 そんなことは嫌だ。
 『そう思えるほど好きだから』、命を買い上げる財として価値を持つ。
 
 「……。」
 
 歯を軋る。 
 だが、丘にはそれを理不尽だと言い立てる資格はない。
 彼はその異能を以って、存分に愛欲を満たしているから。
 人を殺し、人を脅し、それを生業としているから。
 そして、その異能を以って、愛欲を催す少女達を攫い、中身を見ては射精しているから。
 それが己の求めるところだからと、悪びれることもないから。
 己が悪だとわかっているからこそ、人の善性がいずれ、自分を撃退することを信じられるから。
 
 『この俺を殺すほどの正義感を、人は持っているはずだ』
 『そして、それが最も正しいのだ。』
 
 死ぬ覚悟は、ずっと前に出来ていたと思っていたのに。
 ちらつくウェーブがかった灰色の長い髪が、脳裏をざらつかせる。
 
 
 
 以上。」
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