ロード

 「腐って朽ちて崩れていけ。その様だけはとても愉快だ。
 
 こんばんは、鳩です……
 
 チョキの極まで
 
――――何の事はない
――――結局の所突きつめて行けばこんなものは
――――ガキの喧嘩なんだよ
――――だからガキになったのさ
――――俺も!
――――お前も!
 
――――闘争の本質だ
――――「それを打ち倒さねば己になれない」
――――そのために何もかもをひっくり返して叩き売りだ
 
~~(中略)~~
 
 
――――おいで! 遊んでやるよ坊や
 
――――ヤングキングアワーズ2007年2月号『HELLSING』 幼女姿のアーカード。
 
 俺はオカケイジロウ。
 
 俺を取り巻く全ては、ハッピーエンドの為に。
 悪の正当化の為に。
 神を喜ばせるために。
 
 「丘。」
 
 声は御簾の向こうからではなく、すぐ近くから。
 里長の、灰色の髪がゆれ、白い肌が日光を弾いて輝いた。
 
 「今でなければ、ならぬのか。」
 
 丘は応えない。
 己が身にあるのはただ、やらねばならぬという決意のみ。
 それを永劫先延ばしにすることに一等飽きたのだ。
 
 「勝算があるならばよし。
  でなければ、忍び耐えるものとしては失格の烙印を押さねばなりません。」
 
 無言の丘をさておき、里長はベルトのバックルを回す。
 3秒肉体が光り、両腕の銀のガントレットが、肉食恐竜を模したリボルバーガントレットに変わった。
 
 変貌はそれだけにとどまらない。
 長く伸びたツーテールで地を打ち跳躍、丘を蹴り飛ばす。
 盆地を覆う山の一角に着弾、煙を上げた。
 
 両目からタールのような暗黒があふれ出し、肉体を拡張していく。
 両腕は竜の首に。
 ツーテールは羽毛に満ちた巨大な翼に。
 脚は爪先で地を支える獣の如きそれに。
 身体を覆った暗黒は、黒光りする鱗に変わった。
 黒い双頭のドラゴンが、哀れな丘を食い尽くしに跳ぶ。音の速度をはるかに超えて。
 
 「くっ!」
 
 丘の肉体はとっくに千切れ飛んでいて、世界結界が速やかに肉体を修復していた。
 彼の命は創造主すら届かぬ大神の手の中。
 けれど、丘に体勢を立て直させない程度には、『彼女』も強大だ。
 二つの顎がこちらを向き、空間ごと齧り取ろうとしている。
 激突。
 
 
 山肌に、黒い二つの龍の頭が突っ込んだ。
 龍の首の付け根に、『お屋形様』の顔が出来上がる。
 
 「わかりましたか。これがバケモノということだ。」
 「全く、です。」
 
 巨大な獣を倒すためには、知恵を絞り、精度の高い銃を作るより他にない。
 そこには数多の失敗作と実験の歴史。
 人の頭脳と情熱が、肉体で敵わぬ相手を調伏しようと努力した歴史。
 
 武器で殴るだけでは倒せないもの。すなわち、「バケモノ。」
 
 「来い、お前が人間ならば、正義を見せるのだ。」
 「お断りします。」
 
 返事と共に丘は閃光手榴弾を投げた。
 
 
 激しい音と光が収まった後、丘の姿は其処になく。
 
 一つ。丘は人間ではない。
 一つ。丘は正義ではない。
 一つ。丘が「バケモノの中のバケモノを真っ向打ち倒すには弱い」
 
 だから逃げた。
 間違いのない行動。
 でも、でも。
 
 「男だったら。勝てる勝てないじゃなく、戦わなきゃいけない戦いがあるはずだ!」
 幼い丘がそう叫び、
 「あれは、戦わなければならない相手ではない」
 と、少し大人になった丘がなだめる。
 
 だが、とても揺らぐのだ。
 暴力を第一の手段とする『学園』という異形、
 銀誓館学園で生活していると。
 
――――いずれ遊んでもらいます。
――――その時は……僕の勝ちだ。
 
 下品に舌を出しながら、丘は山の木立を伝っていった。」
以上。
 
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