カードを引く。

 「虫けらに失礼だ。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 妄想シルバーレイン……。
 
 愛していること
 
――――親切にせねばならない、と教えられたら、厚く迎え、
――――排除せねばならない、と噂を聞いたら、毛嫌いする。
――――集団潜在意識が個人のエゴを上塗りする。それが、日本人の長所です。
――――日本人が差別の問題に対して実感を持たないのも、『人を人とも思わぬ』ということができないからです。
――――それどころか、人間の形をしていれば、例え無機物であろうとも心を感じる。
――――そりゃあ集団潜在意識が支配するムラ社会の中ではかなりエグいこともされてきましたし、
――――功罪の罪の部分を否定するつもりはありませんが、
――――少なくとも日本人には、真の意味での『レイシスト』は存在しない。
――――僕の生まれた大陸とは違ってね。
 
――――『雷光先生』筧・次郎、『幻魔黒客』植松・宗撰との最期の会話にて
 
 「彼らは善意に正直だ。」
 
 風の吹く山里。筧・次郎は、己の僕(しもべ)筧・小鳩の横に立ち、掌に水の刃を躍らせた。
 
 「守るために戦う、正義の怒り、困っているものを助ける。
  そう言った物語が今でも色あせず作られ、多くの日本人の共感を得ているのも、それが一因だと思います。
  困っている人を見逃せない。
  善意のある行動を美しいと感じる。
  他人の傷を見て痛いと感じる。
  そして、その価値観を踏みにじる犯罪者を正しく忌み嫌い、差別する。
  ようするに、綺麗事が大好きな民族性。
  それが、僕の感じた日本人です。」
 「然様ですか。」
 
 背の高い男性である次郎と、背の低い女性である小鳩は、横に並び立ったまま目線を合わせさえしなかった。
 
 「僕は、日本人が大好きです♪」
 
~~~~
 
 「だそうで。」
 「そうですか。」
 
 御簾の前にひざまづくのは丘・敬次郎。
 御簾の奥に控える筧・小鳩に頭を垂れている。
 
 「どう思います?」
 「僕は生来日本人ですから。
  同意はできますが、他国民と比べてどうかと言われると、正確な事は答えにくうございますね。」
 「答えよ。」
 「……。
  他民族を滅ぼすことが国益に直結していた、西欧や中華に比するなら、確かに日本人は、利己主義的でないところがあるでしょう。」
 
 無理難題にも慣れたものだ。
 難題と分かっていて押し付ける時は、直感を答えれば許される。
 そういうとき、『お屋形様』は素直な感想を聞きたがっている。
 
 「なるほど。当たり障りの無い表現ですね。」
 「他国民からすれば、日本人の性質が悪魔のように見える場合もあるでしょうから。」
 「謙虚であって損は無いと?」
 「日本人が最高に違いない、と思う事は、おこがましい。」
 「お前は人間ですらないのに?」
 
 クスクス、と小さく笑う声が聞こえる。
 
 「ええ、でも僕は日本が好きですし日本人的な考え方も好きだ。
  日本を陥れようと思う奴らを憎む事もできる。」
 「うむ。」
 
 次は満足そうな声。
 能力者として、一般人から一線を引くことを忘れなければ、『お屋形様』は思想の自由を否定しない。
 
 「正直であれよ?敬次郎。」
 「心得ております、お屋形様。」
 
 例え、誠実ではなかろうとも。
 
 
 以上。」
初ツイン全身図
 
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