アニマ・超音速剣<ソニックセイバー>

 「たまにはね。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 あかい神様のブログを読んでいたらうずうずしてまいりましたので……。
 
 ……妄想シルバーレイン。
 
 其は超音速の風
 
 銀誓館学園、蘇矢部キャンパス屋上。
 黒く短い髪の中年男性が立っている。
 
 鉄製の扉が軋み、黒く長い髪の少女が出てきた。
 
 「ようこそ♪えーと、佐藤さん。」
 「違います。」
 
 にこやかな男性に、表情の無い顔のまま歩み寄る。
 
 「じゃあ、鈴木さん?」
 「違います。」
 「高橋さんだ!」
 「違います。」
 
 5mほどの距離を置いて、少女は止まった。
 細く鋭い赤茶の目で、油断無く男を見据えている。
 
 「日本三大苗字に当てはまらないとは……。
  もしかしてあなた、日本人では無いのですか?」
 「あなたの苗字はなんと言うのですか?」
 「筧ですが何か?」
 「……。」
 
 ちなみに、苗字「筧」の人数は日本全国で4077位。
 目の前の少女のそれより、1000以上水を空けられている。
 
 「山道・勁です。」
 
 埒が明かぬの判断し、少女が名乗った。「山道」は2758位。
 
 「知ってます。」
 「あなたがふざけるからです。」
 
 山道が、ぐ、と筧を睨む。
 
 「ちょっと話をしてみたかっただけです。」
 
 何用ですか、と口を空けかけた矢先、水を差された。
 
 「瓜生ちゃんは別の時空に飛んでしまうし、接点があるのがあなたぐらいしかいなくてね♪」
 「わたしとあなたは初対面の筈ですが。」
 「まったまたぁ♪」
 
 筧が胸元から折りたたんだ、何某かのプリントアウトを取り出し、ひらひらと振って見せた。
 
 「イフェクテューショーン♪」
 「わかったわかったわかりました。」
 
 実は、筧の手先である丘・敬次郎が学校に転入してから、一番最初に彼に手紙を送ったのが彼女なのである。
 丘がまだ、生徒に、接触らしい接触すらも行う前に。
 そして、その手紙の冒頭には、「ナメた名前にもほどがありますね」と。
 つまり。
 
 「わたしは、あなたを知っている。」
 「結構♪」
 
 筧が満足そうな笑みを浮かべた。
 
 「あの名前を手に入れるのは結構苦労したんでね♪
  一点ものはいつだって、売るのは簡単だが買うのは困難を極める。
  苗字「丘」は全国でも少ないんです。ましてやティーンエイジャーでケイジロウとなれば、
  存在自体が奇跡に近かった。」
 「……用件は。
  内容によっては、ぶった切りますが。」
 「それが僕にとって脅しにならない事も、あなたはよくご存知の筈だ。」
 「……。」
 「構えないでください。そんなに大した事じゃありません。
  ただ本当に、世間話がしたいだけです。」
 「あなたとわたしの世間は違います。
  意味のある会話をするのは困難かと。」
 「んー、嫌われてますねえ、こんなに誠実で正直なのに。」
 「どの口が。」
 「試してみます?」
 「セクハラですね。訴えます。」
 
 唇を突き出す筧に、山道が冷たく言い放つ。
 
 「おお怖い怖い。」
 「正直、話す事などありません。
  敵意でも悪意でもなく、単に、わたしには『現実』が不足している。」
 「さにあらば、これにて満足と致しましょうか。
  まずは、縁が繋がった、と。」
 「ぶった切ります。」
 「残念ながら、『ディスコミュニケーションもコミュニケーション』。
  拒絶も許容も、コミュニケーションの一環に過ぎません。」
 「では、あなたの呼びかけにはもう二度と応じません。」
 「好きな食べ物は何ですか?」
 「……奢って頂けるなら食事はしますが、会話はしません。」
 「それでも結構♪
  年頃の女の子が健やかに食べているさまを眺めるだけでも、眼福というもの♪」
 「セクハラですね。訴えます。」
 「おお、怖い怖い♪」
 
 ではまた、と、筧は屋上から飛び降りた。
 山道が下を覗き見たときにはもう影も形も無く。
 
 そのとき、背後から扉の開く音がした。
 
 「山道親分?」
 「親分ではありません。」
 
 現れたのは件の丘・敬次郎。
 この後丘は、彼女に豪勢な夕食を奢らされる羽目になる。
 
 以上。」
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