知りたいか お前の末路 身も凍る 悪夢

 「我が名にかけて ー 捌き ー 完了
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 買い叩く奴ら
 
――――土蜘蛛は恐ろしいものです。厳然とした事実として。
――――しかし相手の意を汲んでしまったら。僕らはそいつを倒せなくなる。

――――人間に害を及ぼすという一点を責められなくなる。

――――『生きる為ならしかたがないのかもしれない』と納得してしまう。
――――だがそれは間違いなんだ。『生きていてはいけない』。
――――仕方がないも何も、そのバケモノの生命を許しちゃいないんだから。
――――理解も納得も、手を出さない理由にもならないんです。
――――丘・敬次郎、2008年2月29日付けのブログエントリにて
 
 
 血の高ぶりを起こす。
 
 何やら雑務が重なり集中が出来ていなかったが、それは個人的なものだ。
 制圧指令は既に出て、明日にはそれを実行する。
 最早心も頭も準備しきっていなければならない。
 
 どこかで語られていたセオリーを思い出す。
 “歴戦の兵は寧ろ戦争に向かない、何故なら彼らは生き延びたがってしまうから。”
 
 兵は資源だ。死ねば装備は無駄になる。生きていればその分長く戦える。
 だが、それは生き残った兵と装備が再度役に立てばの話。
 二度目以降、尻込みして逃げるようなら資源として機能しない。
 正気に戻ってはいけない。
 
 能力者の戦争は、人のそれより尚酷い磨り潰し合いになる。
 一人ひとりが百人力。それが傷つき疲れ、五十人力になり二十五人力になり十二人力になりして、
 それでも魂の力で立ち上がり、前に進む。
 
 気持ちよく死ねる銃器などない。
 永劫苦しみの続く四肢の切断も無い。
 
 能力者の肉体を圧倒的に破壊する手段はこの世に無く、
 あらゆる怪我は時間さえあれば必ず治癒する。
 
 アインシュタインの唱えた第四次大戦のように、近代兵器なるものは一切存在せず、ただただ病院送りになるまで殴りあう。
 
 無論命はかかっている。
 けれど死者など、それこそ暴走族同士の抗争で死ぬような割合。
 
 そうだ。能力者集団というのは、暴走族なのだ。
 
 「ふふ。」
 
 足腰立たなくなるまで叩けば勝ち。
 殺すことに何の価値も置かない。
 何てオーソドックスなジュヴナイルだ。
 
 「はは。」
 
 死ぬ事はある。
 だがそれよりも痛い目に遭う事の方が恐しい。だって気をつけていればまず死なないもの。
 相手もまた殺戮に価値を置かないのだもの。そして、どんな怪我でも治ってしまうのだもの。
 
 「ひひ。」
 
 すっかりと闇を取り戻した。
 我々は正義などではない。純然たる悪だ。
 人間にこだわる、という旗印を掲げたチンピラの集まり。
 なら、“おあつらえ向き”じゃないか。悪党たるこの自分に。
 
 人を守るためとか、そんな緩やかな正義に反吐を吐きそうになる必要など初めから無かった。
 人死にを見たくないから。
 同属である能力者、来訪者、ゴーストが「我等の領分」に入るのが許せないから。
 つまり、人を守るという「悪」のために叩き潰そうというのだ。
 テリトリーに入って勝手を抜かす同属を追い出したいのだ。それも全く容赦の無い手段で、最も怒りを叩きつけられる方法で。
 
 「ふふはは。」
 
 彼の白い戦装束は、まるで特攻服のように長い。
 胸には「鳩」一文字、背には金色に輝く蛟。
 
 まるで。まるで暴走族だ。
 まるきり、同世代の不良の姿だ。
 
 凡百の英雄の一人に?おこがましい。
 
 俺は、ただのチンピラ。銀誓館の丘だ覚えておけ、と他校のチンピラに中指を立てるのがお似合い。
 チンピラらしく、小さな縄張りにこだわって大きな声で吼えるのが正しい。
 
 なぁんだ。皆喧嘩がしたいんじゃないか。
 冷徹に殺すのでもなく、残虐に攻めるのでもなく、皆殴りつけたいだけなんだ。
 戦争らしく工作なんかする方がおかしいのだ。
 
 忍者である自分を誇れる場面など、初めから用意されていない。お呼びじゃない。
 
 二年かかってやっと気づいた。ただ殴りつけるだけでいいなんて!
 
 俺は命ではなく、喧嘩を買ったのだ。
 とっとと終わらせて、命を買いに往こう。
 お祭り騒ぎの裏方気取りはもう止め。
 
 命にはまだ、ティッシュ五枚分ぐらいは価値があるから。
 
 
 命以下の価値しかない狐どもを、泥臭く力任せに殴りつけよう。気絶するまでボコっていい。丁寧に殺す必要は無い。
 とても簡単なお仕事です。
 
 
 「あははははは。」
 
 これが、僕らに許された、最低で最高のジュヴナイル活劇なんだ。少年漫画なんだ。
 俺はエキストラ。
 俺はエキストラ。
 とても簡単なお仕事です。
 とても簡単な。
 
 
 とても簡単に、俺の腹は決まってしまった。
 とても簡単に。
 
 
 以上。」
広告

kiwivege について

nothing
カテゴリー: シルバーレイン パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中