dragonic

 「泣け。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 妄想シルバーレイン……。
 
 幼き魔龍、小さき悪人
 
 「差別を一番長く根に持つのは、いつだって差別されてきた側です。」
 
 拳銃を構えながら、感情の篭らない声で丘・敬次郎が言った。
 パン、パン、と乾いた音が二つ。
 目の前の細い木の左右が小さく削れた。
 
 「当たりませんねぇ。」
 
 溜息を吐いてからもう一度銃を上げる。
 
 「使ってるんですか?それ?」
 「使ってないんですか?」
 
 眉を顰める龍臥崎・まきなと、さも不思議そうに首を傾げる丘。
 
 「最近は本職がお忙しいみたいですし、こういうことをされている最中だと思っているのですが。」
 「してませン。」
 「へぇ。」
 
 今度は三つ、パンパン、パン。
 
 「おお、当たった当たった♪」
 「丘さんは、そういうことをされてるんですか?」
 「え?」
 
 振り向いた笑顔は、『何故していないと思うんですか?』と問うていた。
 
 「……そうですか。」
 「そう、ですか♪」
 
 互いの忍者としての生き様に、少なからず失望した模様だった。
 
 「どんな……いえ。」
 「ふふ。」
 
 どんな仕事をしているので、とは聞かない。
 それを漏らすほどお互い抜けた忍者じゃない。
 
 「話って、何ですか?」
 「んー?」
 
 じれた龍臥崎に、丘は、結社では見せないような間延びした声を返した。
 
 「最近お忙しそうだなあ、って。」
 「それだけ?」
 「それだけ。」
 
 パンパンパンパン。
 
 フルオートで4発。2発は外れ、2発は木に穴を空けた。
 
 「だぁって、一時期はこちらのブログにも顔を出しててくださってたお嬢さんが、
  最近は全然音沙汰もないのですもの?」
 「申し訳ありませン……。」
 「我等が神にも覚えはあります。
  繰り糸が緩むのは、他に人形を見つけた時。」
 「……。」
 
 丘は銃をホルスターに収めると、目にも留まらぬ速さで手を振り出した。
 ばきりと音がして、木が折れた。
 
 「やはり水の方が手に馴染みますね♪」
 「あの、」
 「いつだって。
  被差別階級だけが差別を気にする。
  最低の位置にいるのはとても気持ちがいいから。
  ああ、多くの人に責められる自分は最低なんだ。
  そんな最低な自分を責め立てて自己満足してる奴らは、こんな俺より最低だ。
  つまり俺は誰よりも最高だ。
  そんな歪な自尊心。
  自分以外に興味が無くなる思考回路。
  他人との関係を上下でしか見られない貧しさ。
  差別されているんだ、特別な同情をもらって当たり前だろう、という浅ましさ。
  味を占めれば、平等すら求めもしない。
  何のことはない、被差別階級こそが、その地位を一番欲しがっている。」
 「……。」
 「僕もそうならないように、とは思っていますが。
  難しい。
  何しろ、僕の根源は同属嫌悪ですから。」
 「あう……。」
 
 丘の目線が、龍臥崎にはとても冷たく感じられた。
 顔は笑っているのに。
 
 「気をつけてくださいね。」
 「はい?」
 「神は、ばさりとは切り捨てない。
  少しずつ薄めていってしまう。」
 「??」
 「飽きというのは突然に来るんです。
  そして、それからすーっとその趣味は薄れて消えて行く。
  九の投入は、やはり僕にとっても悪影響がありました。」
 「え、あ、ああ?」
 
 丘の姿が幻のように薄れて消え、龍臥崎は辺りを見回したが。
 
 以上。」
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