Monster Hunter

 「全ての病魔をお前に捧げても尚足りない。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 妄想シルバーレイン……。
 
 酔わない奴らを蹴り出せ
 
 「またダメだったんですか?」
 
 屋外にて、筧・小鳩が男の死体から衣服を剥ぎ取っていると、背後から声が聞こえた。
 振り返ると、筧・次郎がその様子を見下ろしていた。
 
 「いらしていたのですか。」
 「僕の仕事を奪うつもりだと聞いたので♪」
 「そんなつもりはございません。」
 
 小鳩は顔を戻すと、再び衣服を剥ぎ取り始めた。
 
 「軍人さん。」
 「はい。」
 
 小鳩は振り返りもせず、死体を裸に剥いた。
 
 「言う事を聞いてくれなかったと。」
 「家族を質(かた)にとったのですが、国賊の為には働けない、と。」
 「人でなしで素晴らしい軍人さんですねぇ。」
 「そんな目をしていたので。」
 「目ですか。」
 
 死体には、胸と頭に一箇所ずつ、弾痕に似た穴が開いていた。
 
 「その傷は水刃手裏剣ですか。棒手裏剣型ですね?」
 「……やはり、本気で従事してくれる方でなければ後々争いの種になりますので。」
 
 小鳩が苦無を取り出し、肉を剥ぎ取り始める。
 
 「家族には?」
 「何もしていません。」
 「結構。」
 
 肩の関節が露出する。半ばまで削いだ腕の肉を、小鳩は力任せに引き剥がした。
 
 「一家揃って行方不明となると、事件の価値が全然変わりますからな。」
 「なれど、最善ではなかったかもしれませぬ。
  家族ごと里に取り込めていれば、或いは。」
 「それが適わぬから、こんなザマになっているのでしょう?」
 「言い訳次第もございませぬ。」
 
 死体の右腕から瞬く間に肉が切り取られる。
 白い骨から肉をこそげとる小鳩の銀の手は、赤黒い血に染まっていた。
 
 「別のアプローチをした方が良いのではありませんか?」
 「なれど、効率の良い制圧方法を知る師は、必要です。
  わたくしも、主(あるじ)も、忍者ではなかったのだから。」
 「逆に考えてみたら如何です?
  軍人を里に招くのではなく、里の人間を自衛隊員にするとか。」
 「……次善の策としては、ありました。」
 
 肩の関節を切り落とす。
 
 「わたくしとしては、焦りがあったのも確かでございます。
  今すぐに、自分の知らぬ知識を手に入れたかった。」
 「向上心と好奇心は大いに買いますが……。」
 「この里が独自に持っていた忍者としての伝統など、たかが知れています。
  それに、外の人を頼る、というケースについて早く学んでおきたかった。」
 「経験から言えば、よほどでないかぎりよそ者はトラブルしか持ち込みません。」
 「……。」
 
 ではどうしろと。
 沈黙に念を含めながら、小鳩は死体の胸の肉を剥がした。
 
 「瑠璃の里のやり方では、平和的に外部の経験者を取り入れることはまず不可能でしょう。
  よっぽどダーティで割り切った人材でもない限り、ヤクザの為に全力を尽くす事なんてありえない。
  これは、悪党の最大の欠点でもあります。」
 「諦めろと。」
 「やり方を改めろと言っている。
  僕は師範ではあるが、ご指摘のとおり忍者の師としては不十分です。
  忍者の師の能力を持ちつつ、里にある程度の忠誠を誓ってくれる人材……。
  これは、里の人間に知識を持たせる方が早いに決まっている。」
 「……。」
 
 割った腹から臓物を引っかき出す。
 
 「銃声すらも事件になるのがこの日本です。
  平和ボケといわれているが、平和にボケているからこそ、皆、異常事態に敏感。
  皆してガッツリ酒を煽ってるから、現実的な事を言い出すシラフの野郎が怖くて仕方が無いんです。
  行方不明者を連続で何人も出す事だって、危険極まりない行為なのですから。」
 「……ご最もで。」
 「ご不満なご様子。」
 「そんなことは。」
 「いや、わかりますよ。声に出さなくても、態度で。
  あなたも僕に反抗的な態度を取れるようになったのですねぇ?」
 「……。」
 「幾許かの人間性を手に入れて、ようやっと分かったでしょう?
  僕、結構嫌な人間だって♪」
 「……。」
 
 小鳩は黙って、死体から首を引っこ抜いた。
 
 「ま、外から誘拐するのはやめた方がいいですよ。
  金で平和的に懐柔するか、内にいる人間に合法的に技術をつけさせるか。
  ……焦る気持ちは、僕も分かっているつもりです。
  僕だって、できるなら今すぐに始末をつけたいんだ。」
 「……はい。」
 「ま、時間をかけてもいいんじゃないですか?
  こちらの切り札は、丘・敬次郎一枚だけなのだから。」
 「……時間をかけたら、ゲームが終わってしまうのですが。」
 「もし時間が足りないなら、その努力はそもそもそのゲームにそぐわない努力だったということです。
  見切りは肝心ですよ、鳩?」
 「……心得ます。」
 「ところで、それが終わったら時間あります?
  心の洗濯をしたいんですけど?」
 
 次郎はそう言って、人差し指と中指の間から親指を覗かせた。
 小鳩が振り向いてそれを確認すると、彼女は嬉しそうに笑った。
 
 
 鳩はセックス大好きです……。
 
 セックス!セックス!!
 
 ……。
 
 以上。」
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