認められぬならオンリーゼロ

 「何故交渉人を殺したか?生かしておいたら、交渉されてしまうじゃないか。
 
 こんばんは、鳩です……。
 
 不信が紡ぐ強固な自信もあるのです……。
 
 妄想シルバーレイン。
 
 箱舟
 
―――もう随分と人間から遠ざかってしまいましたけれど。
―――好きに生きた結果がこうなのですから、仕方ありません。
―――そんなに愛されると照れますねぇ♪
―――これも僕の日頃の行いの成果かな?
 
 その男、筧次郎は悪魔の血を引いていた。
 だが、『悪魔の血を引いた人間など珍しくも無い』。
 魔皇とは、『遥か古の時代に神に反逆した原始の魔皇の子孫たち』の中で、
 力を目覚めさせるきっかけに出会えた者の事なのだから。
 
 「もう少し、ですかね。」
 
 ゴーストタウンはみしりみしりと軋んでいた。
 辺りには急所を貫かれたゴースト達の死骸が転がっている。
 『無意識に急所を避ける』筈の、超常たるゴーストたちが、目立たぬ外傷に命を奪われていた。
 
 黒く冷たい思念が彼を包み、空気を凍て付かせている。
 今まで彼が殺してきた魂が、悪霊となって彼に憑いているのだ。
 
 彼は、悪魔となるずっと前から悪行を生業としてきた。
 躊躇せず、容赦せず、露呈せず。
 命に値段を付け、他人の価値を奪い去る。
 そんな生き方を。
 
 もっと。もっと。
 
 悪魔になり、神に反逆し、志を折られ逃げ込んだこの世界。
 本来あるべきではない時空に置かれたことで、彼は寧ろ力を増した。
 曖昧なアイデンティティを補強し、別世界の住人として名と根を下ろすことで、
 彼はおぼろげな無限に手を伸ばそうとしていた。
 
 冷たい亡霊を集め、魂の絶対零度へ。
 限りなく停止に近いスローモーションの世界で、あらゆる有限を暴戻(ぼうれい)しつくせ。
 
 廃墟が崩れ落ちる。
 
 虚しき永遠を圧縮し、零の閾値を越えよう。
 
 「これだ。」
 
 条件1:空気抵抗をモノともしない速度と、それに耐えうる肉体。
 条件2:『それ』が『それ』として存在しえなくなる極めて高い密度。
 条件3:不可能を可能にする確固たるイメージ。
 
 時間軸を捻じ曲げる。
 理屈など関係ない。
 俺が目指したあの場所を夢想するだけ。
 全て凍て付け。
 そして。
 
 氷の世界で、俺だけが、殺し続ける。
 
 
 廃墟は奇妙に消えた。
 先ほどまで轟音を立てて折れひび割れていた壁や柱は、
 突如として細かな粉塵に砕かれ、雪崩のような煙を挙げて崩れ去った。
 
 煙が空へ向かって一条の長い尾。
 次郎は超超音速の勢いのまま、夜空に流星となり飛んでいた。
 
―――その力の源は時間そのものだ。それは使われざる時や刻を吸い尽くし、世界の終焉をどんどん近づけている。
―――《永劫の中軸/Eon Hub》
  以上。」
 
 
 
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