ドニー

「もう8月とか。

カルセドニーってなんだか内臓っぽいな、と思っていたらキドニーという単語の影響でした。

妄想シルバーレイン……。

骨髄の混ぜ合い

――――あらら、全然想像もしないところに地雷がありましたね。
――――そういう方とは、殺し合うしかありません
――――地雷の位置とパターンを理解するにはどうも時間がかかりますし。
――――貴方には、自分の地雷を踏みにじった相手を、理解する気があるとでも?

絶望を新たにした。
壁に打ちこまれた深いクレーターは、赤い文字列が流れ込んで補修される。

『一般人は、ゴースト事件などの「常識が歪められるような出来事」を目撃しても、世界結界の効果により、それを何かの間違いであると認識してしまいます。』

『詠唱銀によって発生するゴーストと戦い、怪異を取り除き、世界の常識を守る事こそ、現代の能力者達の使命なのです。』

またか。大御神のルールには逆らえない。
丘・敬次郎が校舎に霧影爆水掌を打ちこんだのは、単なる気まぐれだ。
絶望することを確認するため、とも言える。

「満足しましたか。」

「いいえ。」

背後からの女の声に振り向かず応えた。

灰色髪のその女は、そっと微笑む。

「忘れていません。」
「それならよろしい。」
「お咎めは無しで?」

女のため息が応えたのを聞き、丘は初めて向き直った。

「今となっては、貴方に余り期待もしていないのですが。」

左右に結った灰色髪が、傾げた首にふさりと揺れた。
銀の籠手で出来た手がきしきしと細かく音を立てている。

「どういうことですか?」
「何、別のゲームを見つけたのでね。
そこでハッピーエンドを見つければよいかな、と。」
「そうですか。」
「あら素っ気ない。」

女は澄まして口元を隠す。

「気が晴れていませんもの。」
「うふふ。」

丘が振りかぶって腕を振ると、二階の窓が割れた。
続けてどさりと人の倒れる音。悲鳴が響き、ざわめきが広がるが、
赤い文字列が殺到すると声はすぐに止んだ。

「僕は、確かにバラしたのに。」

だがそれは、あってはならぬことだ。
銀誓館学園に所属する能力者が、学園に反旗を翻すことはできない。
『そんな機能は実装されていない』、『定義されていない』。

「……何度か試しましたね?」
「まあ、思い当たる限りの抜け道は探したので。」

唐突に学園の生徒をぶち殺しても無かったことになると知っている。
幾多の実験の果てに出た結論の一つだ。

『俺はゲームのキャラクターなんかじゃない』

それは、『自分は人間じゃない』と叫ぶのと同等に意味の無い言葉だった。
丘・敬次郎はシルバーレインというゲームの中の登場人物。
彼はそれを自覚し、しかし良しとはしなかった。

「あなたは、我らの映し身でありながら、我らに似ないことをするのですね。」
「『そのようにお作りになられた』からでしょう?」

丘の顔には珍しく笑みが載っていなかった。
本性を隠す必要が無いからだ。
さもあらん、この女は、『自分を動かすプレイヤー』なのだから。
自分の一挙手一投足は愚か、心の機微の全てをあらかじめ作ってしまう神なのだから。
この自分の苛立ちすら、彼女に作られた物に他ならない。

「御心配なさらずとも、最後まで付き合います。」
「いつからそんな大きな口がきけるように?」

丘は眼を見張りその場を離れた。遅れて到達する地面の弾痕、遠い銃撃音。
キャラクターとプレイヤーの境を触れそうになった時に訪れる狙撃の弾丸。
もう飽きた。臓腑まで貫かれるのも、何もかも嘘になって再生するのも。
その丘の懐へ、音も無く女が飛びこむ。
丘は驚きつつ、両手を出し防御態勢に入るが。

「『馬形拳はな、』♪」

ガードをたやすくこじ開けて、白銀の籠手(アガートラーム)が丘の胸の前に構えられた。

「『こうやって打つのだ、ナルミ』♪」

両の拳が打たれると同時、丘の肉体が粉々に爆ぜた。

 『ありえぬことをありえぬように』

赤い文字列が集まり、丘の肉体を再生する。
血濡れた手を振るうと、女は踵を返して歩き去った。

『殺してやる。』

どこへとも知れぬ丘の怨嗟の呟きを、その背に聞きながら。

以上……。」

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