ボス・オン・パレード

 「首つり用の木ぐらいなら、探してあげますよ?貴方が生きているこの世が本当に不憫で。
 こんばんは、鳩です……。

妄想シルバーレイン・エンドブレイカー……。

 それと大腕の悪魔

 幻覚を見るほど酔いつぶれたのは本当に久しぶりだったから、忘れていたのだ。

パトリック・ケイジバランズを構成する悪魔は、この世に出でる方法が無いが、いつだってその手段を探している。
痛む頭、むかつく胃袋、頭を巡る無為な言葉。その中におぼろげに、そのインフェルノはあった。

溶けて燃える黒い津波が、少年少女たちを呑みこんだ。
沸騰するは溶鉄溶岩溶魂。泡立ち続ける黒い小山の頂点に彼女は居る。
左右に結われた灰色の髪は翼の形、白く見える肌は実は罅割れた玻璃で、両の腕は赤く燃え盛る銀のガントレット。
目から口から黒煙白煙を吐き、幼き勇者たちを見降ろしていた。

「……。」

悪魔『バスティンアムズ』は生来無口であったという。その本性に返ったように、焦げついた目が冷たく足元を眺めている。
少年少女たちは手に手に武器をとり、少しずつ闇の粘体を押し返していた。

バスティンアムズは腕を引き打ちおろす。
その動きにシンクロして、宙から現れた黒く巨大な腕が勇者たちを押しつぶした。
『竜子通心拳』。

彼女は殺戮でも隠匿でもなく、ただただ破壊に長けていた。

「やめろ。」

パトリックが無意識に発する。
揺らめく意識の中でぼんやりと口を衝いて出た言葉。大して強い意思もない。

「やめるんだ。」

幻の中で、黒い溶鉄に若者たちが焼かれていく。呑まれていく。

「……。」

エンディングが、見えるんだ。

「嫌なんだよ。」

エンドブレイカーには、バッドエンドを許せないという因果な気性がある。
例え悪魔憑きであろうと、卑しい稼業に身をやつしていようと、嫌だと思ったらもう我慢が出来ないのだ。
幻の中の悪魔は平気で人を焼き尽くす。
彼らだってただの人ではなく、エンドブレイカーのように、理不尽に立ち向かう運命を背負った超人の筈なのに。

「……やめろ。やめろ。」

悲鳴。怒号。絶望。
だが如何にエンドブレイカーでも、幻の中には立ち入れない。

「……ちっくしょう。」

悪魔バスティンアムズは能力者達に幾多の犠牲を出した。大気を焼き大地を溶かし。
そして、倒された。

悲鳴を上げ、怒号を放ち、絶望にまみれて。
人の力の前に、叩き伏せられた。溶鉄は固められ、量子の腕は秘宝に無力化され、翼を斬り落とされ、彼女は散った。
本来心中するはずだった世界中の能力者共を、一割も巻き込めずに。
本来ぶち壊すはずだった地球を、欠片ほども削り取れずに。
高い不死性のせいで、強い意志力のせいで、バラバラに砕かれるまで死に切れぬまま。

「……。」

だから嫌なんだ。悪魔の悲しみは、俺の悲しみ。
俺に憑いた悪魔どもは、まともな形でこの世に現れることができないから、まともでない形ででも出ようとする。

それはデモニスタのアビリティとしてでもあり、俺の記憶としてでもあり、俺の見る幻としてでもある。
俺は断じて彼らとは違うし、前世何ぞ信じていないが、そんなことは悪魔にはお構いの無いことなのだ。

「ざけんな。くそ。」

危険な力を持った若造が、大手を振ってそこらを歩いてんじゃねえ!

アビリティは、別にエンドブレイカーでなくとも持っている。エンドブレイカー達は、この世界では、戦闘力に置いては特別ではない。

だが悪魔には、そんなことはお構いでないのだ。

大地の果てから星海の隅々まで、焼いて払わねば気が済まぬ。

「うえええええええ……。」

パトリック・ケイジバランズ、別名『モグラ』、または『殺人郵便野郎』。
不惑には程遠い、49歳の男である。

 以上。」

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