牙城の空隙

「お前が空気中の水分で溶けて死ぬ生き物だったらどんなに地球の為になったか。はぁ。

こんばんは、鳩です……。

妄想エンドブレイカー……。

 牙城の空隙

 倫理に意味などなかったし、お互いそれはよくわかっていた。

「せやっ!」

躊躇なく振られる斧剣の切っ先を交わし、パトリック・ケイジバランズは、
魔道書から毒霧を放つ。
斧剣の女は一声吠えると意を決し、緑の霧に突貫した。

パトリックは魔道書から呪を紡ぎ迎撃する。
武装を解除する衝撃が女の斧剣を弾く。女が得物の震えに足を止める。
その隙に、パトリックは大柄な体を女の横に滑り込ませる。
女の視界の端へ消える。
同時、パトリックは杖を強く握り、振った。
高く響く金属音。

「防ぐかよ。」

パトリックの杖から放たれた仕込みの刃が、女の斧剣に阻まれていた。

「魔術師を騙るなら、その肉を落としなさい!」

押し出された斧剣がパトリックの刃を弾き返す。

「その勘の良さなら、俺らの世界でもやっていけるぜ?」
「戯言を!!」

斧剣を振りながら迫る女に、刀で受け流しながら後退する。
重量のある肉厚な刃を逸らし、弾き、のらりくらり。

ぎりり。

それは女の歯ぎしり、或いは斧剣の柄に両手を添えた渾身の握り。
一際強く振られた斧剣の一打に、仕込みの刀はパトリックの手から飛んだ。

魔道書を使う前に蹴りを打ちこみパトリックの体を押し倒す。
女はそのまま馬乗りになりギロチンよろしくパトリックの首に刃を構えた。

「覚悟はいい?『モグラ』。」
「……。」

パトリックの虚しげな眼を、女の目が見据えた。

「一つだけ、訊いてもいいか。」
「何?」
「お前、誰だ。」
「あんたに母さんを殺された女だよ。」
あんたは覚えちゃいないだろうがね。
あんたにとっちゃ、母さんはただの獲物に過ぎなかったんだから。

だが意外にも、女の言葉にパトリックの顔は僅かに困惑の色を見せた。

「……?」
「……お前、名前は何ていう。」
「そんなこと訊いてどうするの。」
「思い出すかもしれん。」
「思い出して謝ったって、許さない。」
「じゃあせめて俺の名を聞け。
俺の名前は、
パトリック・ケイジバランズ。」

今度は女が困惑する番だった。

手にした魔道書で女の顔が張り飛ばされる。
続いて起こった衝撃が女の斧剣を再び揺らした。

「くっ!!」

パトリックは女を跳ね除け起き上がっていた。
オーラを纏った『刀』が宙を舞い、彼が手にした仕込み杖の『鞘』に収まる。

「名前、訊いておこうか。」

女が振り向いた時には男の姿はすでに遠く、一息で飛びかかれる距離ではなかった。
見れば斧剣も罅割れ、次の攻防に耐えられそうもなかった。

「……ハティ・ガントバランズ。」

はははははははははは!

「こいつは凄い巡り合わせだぜ!
天に感謝、いやいや。
悪魔を呪わなきゃなあ……!!」

直後パトリックの書から膨大な毒霧が撒かれ……。

「また会おうぜ『ヘンリエッタ』。
娘は別に、殺さなくていいらしいからよ。」

声は霧と共に消え、そこには、女……ハティが残されているばかりだった。

以上……。」

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