Heart beat synchronization2

「あなたたちみんなを愛してる。神に、神に。神に誓ってもいい。

こんばんは、鳩です……。

妄想シルバーレイン……。

愛歌の虐殺

遥か暗黒広がる宇宙空間。
青く輝くセフィロトの樹がどこへと知れず飛んでゆく。
巨大な背には、千人ほどの人が載っていた。

「♪~」

鼻歌が聞こえた気がして、一人の少女が虚空を振り返る。
何もない。ただの真っ暗闇。少女は首をかしげる。
セフィロトの樹が微かに揺れた。

「何?どうしたのディアボロスランサー?」
『来ます。』

クルーの問いに、セフィロトの樹が応える。
少女はまた鼻歌を聴く。見つめてもそこにはただの暗黒。
真っ暗で、丸い。

「何これ。」

星の光を遮断する黒い丸が宇宙をくりぬいていた。

「構えろ!」
「何かが来る!!」

仲間はすぐに集まり、丸に向かって武器を向けていた。
剣、銃、ナイフ、棒、諸々。
誰も彼も年端のいかぬ少年少女だが、戦に躊躇うものは誰も居ない。

そして、丸の中から一頭の龍が現れた。

「おおおおっ!!」
「何だこいつはぁ!」

『それ』は、明確に敵であった。
彼らを凝視し、開いた口から透明な礫を放ったから。
悲鳴。

「耐えられるか、ディアボロスランサー!」
『問題ありません。』
「あれは何だ!」
『わかりませんが、友好的な相手ではないようです。』
「だろうな!!」

首をもたげる龍に攻撃が撃ちこまれていく。
効いた様子は見えないが、彼らは全くひるまない。
格上の怪物と戦ったことは、一度や二度ではなく、彼らはそのすべてに勝ってきたから。

「It’s got to be your love……(貴方でなければならぬ)」
「?」

龍の吐く礫に紛れ、歌が聞こえる。
あの鼻歌と同じ歌声。

「The only love I fall(この愛のみ生涯ただ一つ)」
「誰?どこ?」

龍は問いに応えない。鱗がはがれ、回転する刃となって降り注ぐ。

「And oh! You are the angel of my life(ああ!貴方こそ我が為の神の御使い)」

龍が腕を伸ばし切り裂く。

「It’s got to be my heart.Beating besides you all night long
(これこそ我が心。貴方を永劫の宙に殺し続けよう)」

クルー達の激しい攻撃が連続で命中すると、龍の姿は崩れた。
そして渦巻き螺旋を描いてセフィロトの樹を穿つ。

「And oh! I wanna get closer to you my love.
(そしてああ!この愛をどうぞその喉元へ導いて)」

「君は……。」

龍の背に乗る人影に、クルーの一人が叫んだ。
その声に影は嬉しそうに笑い、続きを謡う。龍が吠え狂う。
「Until the day I die girl I’ll be your everything and… Woh! Woh!
(愛しき者よ、我が死の時まで貴方を我で満たそう。そして)

Won’t you take my hand
For I will be your man So tonight we gonna dance the night away
(この手にかかれよ!
我こそ貴方の運命です。現世の闇が尽きるまで、我と共に踊って死舞おう!)
One and one is two Don’t you be so cruel
Synchronize this love is what we’ve got to do
(一人きりではない、だからそんなに恐れないで。
行きつく終わりは同じ、愛に満ちた死。)
All the time we’ll be together `cause it’s yours and mine
Forever we’re in this love thing…
(我らは同じものであり、常に共にある。
永劫、神のこの憎しみに焼かれる者として)」

「丘・敬次郎。」
「どうも♪お久しぶりです。」

クルーの一人が呟くと、龍の攻撃がやんだ。

「……お前は、何だ。」
「成長されましたねー皆さん。
『何故』とは問わない、うーん、賢い。」
「どうして俺たちを襲った。」
「理由によっては、ただじゃおかないよ?」

凄む少年少女たちに、丘は困った顔をして見せる。

「言って理解してもらえると思えませんが。」
「ほざけ。」
「僕はねえ、人間を愛しているんです。」

龍が背を曲げ、丘を目立つ位置まで持ち上げる。

「単刀直入に申し上げて、不快なのです。
全ての生命が人の知らざる神秘から生まれた、なんて言う事実が。
まあ、世界結界が張られる千年以上前には人間は神秘と共存してた、
なんて話が出てきた辺りから不味いなと思っていたことですが。
人が神秘と共に生きてきたという歴史的証拠は、今のところ一つも見つかっていない。
だから、もし人が神秘と共に歩んできたのが本当なら、
人の歴史学者は無能もいいところということになる。
そんな事実は、人間の科学技術をバカにし過ぎています。」

龍が喉を鳴らして唸る。その口元は笑っているようにも見えた。

「まあそれでも、ゴーストが根絶されるエンドが見られればそれなりに満足出来た。
『戦って、勝って、全ての問題が終わり!』
僕が、僕らが最も恐れていたのは、
『これから先も人が感知できないゴーストは現れ続け僕らは戦い続けます。』
という終焉だけだったから。
でも、その最低のエンディングが現実になってしまった。
最早我慢ならない。
僕らは最後の計画を実行しました。
即ち、『世界観を破壊する』こと。
シルバーレインという物語を、初めから無かったことにする。
全ての生命は神秘から生まれたなどと言う、
ましてやその神秘に銀誓館学園の者だけが都合良く触れられ、
特別扱いされ、それは全て人間の預かり知らぬところの物語と言う、
人の叡智をどこまでも愚弄したこの物語を、初めから無かったことにします。」
「バカな。」
「お前らも本当は気付いてるんだろうが!
『ここ』は都合のいいだけの場所だと!
その都合のよさの為だけに、どれだけの事実を捻じ曲げ踏みにじり冒涜したと思っている!俺たちのような、法でも裁けぬ歩く銃刀法違反が、一丁前に人間面して生きてていいと思ってんのか!!

恥を知れ!!」

セフィロトの樹が大きく揺れる。
振りかえり見ると、巨大な亀と蛇がセフィロトの樹に噛みついていた。
その背には、白髪の少女。

「お前らをぶち殺すことは、この世をリセットすることと何のかかわりもない。
お前らは俺の八つ当たりで死ぬ。」

龍が散り、数多の丘・敬次郎の幻影となる。
亀と蛇が散り、無数の獣となる。

「落ち穂の如く。」
「踏みにじられよ。」

以上……。」

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