唾と傷を

「滅びろ。

こんばんは、鳩です……。

妄想バロックナイトイクリプス……。

夢見るための

暴発すると怖いから、などと言われたら、気合いの入りようも違ってくるというものだ。
持ちこんだ機材で鳩目・ラプラース・あばたの部屋に即席の工房を作ると、
鹿毛(かけ)・E(イージィ)・ロウは腕まくりをして見せる。

「持ってたんだ、こういうの。」
「嗜みですから♪」

鳩目の問いに笑って答える。

「じゃ、お願い。」

鳩目が机に薬莢を転がすと、ロウはそれをつまんで指で転がした。

「ええ、まずはこのピンが付いてる方のダイスを使います。
これぐらいならネックサイザーだけでもいいんですが、
それだけだと歪みが取れなくなっちゃうので、今回はこれで♪」

女に、それも自分のご主人様に頼られて奮わない男などいない。
いつにもまして軽妙に言葉を吐きながら、油をしみこませたスポンジに薬莢を転がす。

――――

「これにて終了です。」
「一発直すのに30分か。割に合わないな。」
「慣れれば早くなりますよ。実際には何個かまとめて作業しますし。」
「ありがと。
ちょっと考え直した方がいいかもナー。」

鳩目が出来たての弾薬を矯めつ眇めつ漏らした。

「既製品を買うのが当然楽ではあります。はい。」
「数撃ってカバーした方が現実的かもしれない。」
「一理あります。」
「とりあえず、撃ってみる。」
「正直、余り変わらないと思います。」
「うん。」

拳銃から外したマガジンにその一発を込め、ホルスターに戻す。
小銃ほどの精度が見込めない拳銃では、弾薬をハンドロードしたところで、余り大きな意味は無い。それは鳩目も分かっている。

だが、彼女が撃つ相手の事を考えれば、ほんの僅かでも威力が上がるならそれだけで縋る意味があるようにも思えた。
世界の異物、「エリューション」とは、そういう相手だ。

「効果があるかどうかは、わたしが判断する。」
「はい、仰せのままに。」

効果が出なければ、別のアプローチをするだけだ。無用な選択肢を消去できるだけでも有意義なのだから、ロウの教えを蔑ろにする理由は無い。

「主(あるじ)ならば、すぐにでも身に付きますよ♪
ああ、何となれば『用途に合わせた弾丸を即座に作る』なんて異能も身につくかもしれませんし、」
「それは、あいつらと同じように、って意味か?」

ロウは困ったように眉をひそめて、わざとらしく首をかしげる。

「わたしは違う。『Legend』や『Inferno』や『Nightmare』や『Veteran』のような化け物どもとは違うやりかたでミラーミスを倒して見せる。あんなものにならなくても、人間の知恵と勇気で勝てるって、証明するんだ。」
「人間の?」

ロウの笑顔が、嘲笑に変わる。

「……不満か?」
「……いえ♪」

頭を使うのは、人間の専売特許じゃない。
寧ろ悪魔こそ、その悪魔的な知恵と策略で有象無象を絶望に陥れるのだから。

「人語を解し、人間の文明に頼っている時点で、完全なケダモノを名乗る資格も無い。」
「そうですとも♪」
「……。」

リベリスタの由来は、所詮人間。
『Legend』どもだって、最初はただの人間だったのだ。
わたしはそれを忘れない。
人間でも怪物でもなく、リベリスタとして、野望を全うして見せる。

マガジンを銃に叩き込み窓の外に向かって引き金を引く。

向かいのビルの屋上に置かれたパラボラアンテナが砕け散った。

「悪くないな。」
「あーあーあ、ですね♪」
 

以上……。

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