エリ・エリ・レマ・サバクタニ

「生ゴミとして捨てられろ。
こんばんは鳩です……。

妄想バロックナイトイクリプス……。

本日はこちらの方をゲストにお呼びしました。造物主には許可取ってますので。

キリングミーソフトリィ、ラヴィングミーフェイタリィ

「神の存在を信じマースカ?」
「両手を上げて、ください。」

警告はこれで二度目であった。
鳩目・ラプラース・あばたがこんなふうにヘラヘラと笑うところを、リリ・シュヴァイヤーは見たことがなかった。見たことがなかった、などと言えるほど接触があったわけではないが、少なくともリリが知り想像しうる鳩目・ラプラース・あばたの有様とは、大きく異なっていた。
『祈り』と『裁き』を意味づけられた二丁の短銃を突き付け、殺気を増す。
どうかこれで観念してください、と願いながら。

あばたは困ったように眉根を顰め、ゆっくりと両手を上げる。
不意に左手の指を軽く動かすと、背後に止まっていたバンが急加速して走り出した。

「待ちなさ、」

踏み出したリリの足が何かに絡みとられ、転倒する。両手が銃でふさがっているため、咄嗟に身を転がして衝撃を流す。
絡んでいるのは糸状の何か――――トラップネストだとすぐにわかった。リリが顔を上げると、あばたは既に二丁の銃をこちらに向けていた。

互いに二丁拳銃使い。
しかしコンパクトにまとめられ神秘の力を練りこまれたリリの双銃とは対照的に、あばたのそれは大きく長く無骨であった。『祈り』や『裁き』などと言う殊勝さはまるで感じられない、エリューションを殺すためだけの銃。

「あなたは神を信じマースカ?」

そういうあばたの顔はもう笑っていない。リリもよく知る、「仕事をする時の」あばたの顔だ。
もう、退いてはくれない。
それはそうだろう。恐らくは、人を攫うあばたの姿をリリが発見してしまったときから決まっていた。彼女に何の言い訳が出来る。どんな申し開きが可能だと言うのだ。
『投降を勧めただけで素直にアークに逮捕されてくれるような奴がフィクサード稼業に手を出すか?』
甘い期待を抱いていた過去の自分に溜息を一つ。思考を切り替え、返答する。

「……お祈りを始めます。」

既に拘束糸は解いている。
立ち上がると同時撃ち出すは『弾幕世界』。両の手に力を込めあばたの周囲ごと撃ち滅ぼすように意識する。

「!」

あばたが踏み込んで来ていた。撃ち合いになると無意識に思考していた脳は距離感の補正に戸惑う。その隙に前蹴りがリリの下腹部にめり込んだ。
後ろに押し倒されながらも引き金を引く。集中を欠いたとは言え十八番の技、連続で打ち出された神秘の弾丸はあばたの肉体を幾度も抉った。

転がり再度起き上がるリリの前には、しかししっかりと銃口を構えたあばたの姿。
今度はこちらの番だとばかり、引き金に神秘のオーラが漲る。
放たれたのは『サイレントデス』。単体制圧に特化した物理射撃攻撃。
音速の壁を破らない静かな弾丸が、しかし埒外の重さでリリの身体に突き刺さる。
リリは呻きをこらえつつ立ち上がり、引き金にかける指に力を込める。
急所は外れた、先ほどの『弾幕世界』が効いているのだ。
鈍重な装備に身を固めるあばたに対して身軽なリリは先手を取れる。
選択したスキルは『インドラの矢』。
双銃から吐き出された無数の炎があばたに襲いかかる。
全身を炎に包まれたあばたが撃ち返すが、狙いはまるで出鱈目だ。炎が目くらましになったことが知れた。リリは流れ弾をくぐりながらあばたに駆け寄り、腕の関節を捉えた。
己の手も服も焼けているが知ったことではない。半ば無理やりにひねって地面に押し倒す。

「あなたの負けです。鳩目様。」
「……祈りは届きましたか?」
「……ご同行願います。」

しかし、鳩目・ラプラース・あばたは「証拠不十分」ということですぐに解放された。
リリが攫ったと主張した人物は「家に送り届けられた」だけだったし、被害者本人を問い詰めても「何もなかった」「さらわれてなどいない」とにべもない。

リリには思い当たるところが一つある。
「イリーガルパイプ……。」
非合法な者たちとのコネクション。
大方、鳩目とつながりのある魔眼使いか何かが記憶を操作したのだろう。
誰も不幸にはなっていない。被害者がいない以上は。
バンを走らせたのは依頼を遂行するためではなく、失敗した依頼の後処理を迅速に行う為。
あばたは初めから足止めをする為だけにその場に残った。
だが受けた殺意は本物だ。つまりは。「殺してしまっても構わない」ということでもあった、と。

「問わなければ。」

何を?『起こらなかった事件の真意』を尋ねて、果たして有益な答えが返ってくるのか?
よしんば彼女が事件の真意を語り、正義の敵であると判明したところで。
撃てるのか。わたしに。

――――祈りは届きましたか?

あばたの嘲笑うような声が、風の中から聞こえた気がした。

以上……。」

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