Blightspeaker

「たった一つの命を捨てろ。

こんばんは鳩です……。

またもや妄想バロックナイトイクリプス……。

Master of the Feast

どうやら技術提携と実戦データの提供で資金を得ていると考えるのが妥当であるようだ。
アークの任務とリベリスタの福利厚生においては、莫大な資金と人材が費やされる。
戦闘により破壊された建築物やインフラの再生、目撃者となった一般人の記憶操作、各リベリスタが求めるワンオフアーティファクトの作成・改造。『閉じないバグホール』の制御装置やカレイドスコープシステムの維持。
どれもこれも消費するばかりで金銭的利益の無い業務である。
時村財閥のバックアップがあるとしても――――そも財閥なる金銭に厳しい組織がバックアップすること自体――――不思議と言わざるを得ない。
ということは、リベリスタの任務は消費ばかり、という前提が間違っており、リベリスタの任務には金銭面でのメリットがある、と考えたとしたら。

「調べてみたら、当たりだったというわけです。」

机の上に広げるのはA4の紙を縦横に繋いで作られた地図。そこに簡素な箇条書きが為された一枚のメモ用紙を添える。

「……それを強奪するって訳?」

ロアン・シュヴァイヤーの言葉に鳩目・ラプラース・あばたは無言でうなずく。

「降ります。」
「待ってください。」

席を立つ犬束・うさぎを鳩目は引き留めた。

「わたしは、そもそもやってくれとは言っていない。」
「はい?」

振り返る犬束に鳩目は手で着席を促す。犬束はわざとらしく鼻息を鳴らし椅子に戻った。

「では、何故これをわたしたちに?」

ロアンの妹、リリ・シュヴァイヤーの視線は鋭い。
やや潔癖の気すらある彼女にとって、実現の可能性に関わらず悪事の画策など許容できぬ行いである。

「酒の肴にしたかったからです。」

鳩目は立ち上がり、照明を落としたキッチンに歩き入る。
冷蔵庫を戸を開ける特有の音、暗闇にオレンジの光、缶と瓶がぶつかる音、冷蔵庫の戸を閉める音。
続けて冷凍庫の戸を開ける音、暗闇にオレンジの光、グラスのぶつかる音、冷凍庫の戸を閉める音。
スリッパの足音が近づいて、凍てついたグラスをまず各人の前に配り、横手に抱えた日本酒の小瓶と缶ビールを置く。

「『リベリスタとは何ぞや』って考えたくなるでしょう?」
「趣味悪いなあ。」
「同感です。」

上目遣いで嘲笑を見せる鳩目に、ロアンと犬束が白い目を向ける。

「エリューションの力を使って、不当な利益を稼ぐ者。それがフィクサードだと定義されています。」
「少し違います。フィクサードは私利私欲の為に神秘を振るう者。
リベリスタの活動は人を守る為のものです。アークは……利益を求める面もあるでしょうが、わたしはフィクサードとは違うと思います。」
「では何です?人を守り利益も求めるE能力者集団というのは一体。」
「……。」
「あまり苛めないでくれないか。」

黙り込んだリリにロアンが割って入る。

「すみません、とてもかわいらしい反応をされるものですから。」
「人を守る以上、リベリスタと呼んでいいんじゃないか?その結果として利益があったとしても、それは問題じゃないだろう。」
「順序が逆です。我々は国家権力ではない。財閥の道楽で作られた秘密結社にすぎない。
根本は、E能力による利益獲得だ。」

犬束が応じる。

「それは違います。フィクサードやエリューションが人の安全や命や利益を不当に奪い去るからそれを止める。
それがアークでありリベリスタです。」
「何故止めるんです?」

鳩目の応答が場を凍らせる。鳩目はいつの間にか自分のグラスに注いでいたビールを飲む。

「国家の意思や国民の総意ならともかく。一財閥が義勇に駆られてアークを組織したと?
そんなものが正義であると?あなたは信じておいでで?」
「……フィクサードを止めるには十分な理由じゃないか?」
「わたしが言いたいのは、リベリスタとフィクサードは対立する概念ではない、ということです。」

手酌で日本酒を煽ったロアンが赤い目でねめつけると、鳩目は窮屈そうに首をぐりぐりと回した。

「神秘の力で金を稼ぐのがフィクサード。神秘の力による被害を止めるのがリベリスタ。
そもそも、対極にはいない。
もしわたしたちがアークの依頼を受けることでアークが何らかの利益を得ているなら、それはフィクサードでもあるだろうって言いたいんです。」
「でも、」

リリが抗議の声を上げるが、鳩目は止まらない。

「この際一般人の被害とかどうでもいいんですよ。『個々人の被害程度はどうでもいい』。
人間というシステムに不当に干渉しているか否かだ。
リベリスタは仕事でフィクサードは生き様だ。わたしはそう思っている。
警備する仕事がリベリスタなら、E能力で金を稼ぐ生き様はフィクサードだ。」
「それはいくらなんでも極論だろう。」
「そうでしょうか?わたしたちE能力者は一般人に出来ないことがたくさんできますし、何より力が強い。
警察につかまろうと自衛隊を敵に回そうと、割と何とでもなってしまう。
手錠は引き千切れますし銃で撃たれた程度では傷にもならない。刑務所に入ったってコンクリートぐらい体当たりでぶち破れる。
国家権力で統制できないんですよ、わたしたち。みぃんな地上最強の生物みたいなもんだ。でなきゃアンチェイン?」
「背中に鬼を宿したりヘリコプターと綱引きするトレーニングしたりした記憶はありませんけど。」
「うふふ、ありがとうございます。」

犬束の言葉に鳩目が笑う。ロアンとリリは首をかしげたまま。

「だからその。
アークがわたしたちの活動で利益を得てるってのは十分にフィクサード的な行いだろって話です。
そして、フィクサードが許せないなら当然この話に乗るべきだ。『わたしはやらないけどな』、という。そういうお話♪」

言い終えてクツクツと笑う鳩目にリリは鋭い視線を向けたまま。ロアンは日本酒をグラスいっぱいに入れて煽り、犬束は地図とメモに視線を落とした。

「あ、漏れがありますよ。
北向きのルートを攻めるならこの時間帯はやめた方がいいです。この辺りで訓練してるリベリスタを見たことがある。」
「おっと、それはリサーチ不足でした。ありがとうございます。」

犬束の指摘を受け地図にペンを入れる鳩目をリリは更に強い視線で睨む。ロアンは「酔っ払いの戯言だ」と嗜めたが表情の険しさは変わらず、神の教えをほんの少しだけ呪った。

以上……。」

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