Pain and Suffering

「お前を形容できるほど愚かな生物の名を思いつかない。

こんばんは鳩です……。

またもや妄想バロックナイトイクリプス……。

 

Crime and Punishment

 粉々にされた肉体が何事もなく再生していく様に、ああ、ここはそういう場所なのだと彼女は理解した。
身を翻し着地したときには衣服にすら焼け焦げた跡は無く。拳を構える敵を正確にその目に捉えていた。​

「来ませい。」​

胸が高鳴る。ほんとうに。本当に。本当に本当に本当に本当に。祈って罰していいのか!両手の銃が嬉しがるように光り震える。ああ、だめですよそれじゃあ狙いがブレるではありませんか。しっかりしてください。
銃口の先には女が一人。
灰色の髪を二つに結い、二つの腕が銀の籠手で出来た魔神、凝縮された質量と放出された熱量に足元のアスファルトは溶け歪み陥没している。その両目には瞳は無く、代わりに薄く青いガラス玉が世界を映し返す。
あれはもう人間じゃない。
そうだとも人間じゃない、彼女も自分でそう言っていたではないか、「わたしは人間ではない」と。自分が嫌いだと。罪を自覚している子羊。罰するべき罪深き子羊。

「お祈りを始めます。」

思考が藍色に染まっていく。纏う異端の修道服のように。脳内演算より速く手が動き目の前の仇敵を撃つ。
ほぼ同時、敵は正拳を突き出した。
しまった、あれだ。ほとんど膝を曲げず足首だけで跳躍すると、その下の道路を巨大な暗黒の腕が通り過ぎた。燃え盛る邪念妄念タールの拳。先程はあれにやられた。だがもう見切った。
第二波を構える敵に、それより速く届くよう弾幕を撃ちこむ。

『敵は10人。』

引き金を引く前にそっと意識する。一瞬に全ての敵を穿つ早撃ちを、1人の敵を10人と認識しなおすことで10倍の威力に凝縮する。
頭、喉、右目、左目、右腕、左腕、右足、左足、心臓、肝臓。
認識されなおした『10人』に過たず魔導の力線が着弾する。額を穿たれ両目を撃たれ両腕両足を貫かれ内臓を攻撃された敵はしかし、怯まずに跳ぶ。
感情が脅威、期待、敵意に等分され、しかし銃口は外さない。今の私は罪深き罰の執行者。次の弾丸は灼熱の雷霆。思えば既に引き金は引かれているしかし指がない。
投げナイフが通過したと気づくには時間を要したし、それは当然敵の接近を許す程度には致命的な隙であった。
落ちる銃を無い指で取り落とすより速く敵は頭上に出現し。
銀の腕を振り下ろした。


—-


「あんなものが本質だというのですか。」
「覗くのが悪い。」
「面目無く。」

ベッドに横たわるリリ・シュヴァイヤーの肉体には、傷の痛みは無かった。
頭蓋を割られる感覚が確かにあったが、頭に触れると実在を感じられたのでどうやらなんとかなったようだ。ぼやける記憶を何とか繋ぎ止める。
街中で見かけた鳩目・ラプラース・あばたの姿。何か嫌な予感を感じ、持ち前の魔術知識で『覗きこんだ』のが運の尽き。彼女の深淵に触れる羽目になってしまった。
それはすなわち妄想の場所。どこでもない彼女だけの真実。警戒する間もなく堕ち、本質をぶつけ合うこととなった。
狙撃手として知られる鳩目の本質はしかし、そのイメージにそむいて鉄火と拳であった。主の敵を敵を圧倒的な力と熱量でねじ伏せる、焦熱地獄生まれの機械悪鬼。
それが一体何をどうこじらせればガンナーになるのか。マジマジと横顔を見つめるリリの額に鳩目はタオルを叩きつけた。

「痛っ!冷たっ!」
「大変迷惑でした。」
「はい、申し訳なく……。」
「次はちゃんと飼い猫を連れて来てください。」
「はい……?」

リリは猫など飼っていない。飼っていないが、しかし、脳裏によぎったのは黒と灰色の縞模様のチェシャ猫であった。

以上……。」

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