Dream Halls

「失われてすらいない。存在しない。貴様ごときの望むものなど未来永劫。

こんばんは鳩です……。

さてさて妄想バロックナイトイクリプス……。

Mind Over Matter

――――このアーティファクトの名前は、エヴェレットと言います。

透明な瓶をかざして、鳩目はそう言った。『ガモフ』と名付けられた度数の高いビールに瓶の中身を数滴たらして飲み干すと、鳩目の身体を構成する金属が淡く光り、パイプが震えアンテナがきしんだ。

そして御厨にこう言ったのだ。

「わたしはあなたの戦闘能力しか知らない。だから、それで会話をしましょう。」

劃して御厨は酔いどれ狂戦士を荒々しく介抱するに至る。
トンファーを鳩尾に叩きこむと鳩目は激しく嘔吐した。下がった顔面にもう片方のトンファーで更に追撃。鼻血が弧を描き折れた歯が散る。
それでも尚闘志は折れない。鳩目の赤熱した銀腕が御厨の腕を掴んだ。肉の焦げる匂いと共に煙が噴き出す。
振りほどく間もなく、御厨は宙に放り上げられた。

落ちてくるのを鳩目は待たない。地を蹴り愛しき敵に追いすがる。悪意と敵意で抱きすくめるため、両の拳を引き絞る。破裂しそうな激情に張りつめた胸の真ん中を貫いたのは、御厨の放った無色の閃光、虚ロ仇花。

――――

「楽しかったかい?あばた。」

倒れた鳩目の顔をしゃがんで覗きこむ。

「ええ、とても♪」

割れた両目からは血があふれ、鼻は潰れ前歯も欠けている。血が喉に詰まり呼吸のたびに咳き込む。それでも鳩目は笑っていた。

「……御厨様は?」

血まみれの喉から絞るような声で、鳩目が問うた。御厨は苦笑いし、それから溜息をついて、「ああ、僕も楽しかったよ」と応えた。

「でも何故?」

何故僕で、何故こんなやり方でなきゃならなかった。
明確な答えなどないとなんとなく分かってはいたけれど、疑問が口を突いて出てくるのを止められなかった。

「……時間がない。ないのです。」

あばたが上半身を起こし、アクセスファンタズマから取り出したビールでうがいをして喉を洗った。

「本当は100年でも200年でも諦めない気持ちがあるのですが、気持ちだけではどうにもならない。」

吐き出された血混じりのビールがアスファルトの上で発泡して小さく鳴っている。

「これだと思った方には兎に角関係を持とうと思ったのです。わたしにとっては他人などどうでもいいが、他人がわたしのことをどうでもいいと思うのは我慢ならないので。
その機会を一つでも増やしたかった。
あなたなのは、たまたまだ。アークのタッグだかチームだかで誘ってくれたことがあったではありませんか。それを思い出した、それだけです。
そしてそれ以外に共通の話題は無かったので、バケモノらしく殴り合い。何をどうしようと、我々エリューションの共通言語などこれ以外にないので。
ちょっとおまけして、わたしは本性を見せてあげた。付き合わせたお礼ってところでしょうか。」

御厨はまた苦笑いして、ポケットのハンカチで鳩目の鼻血をぬぐう。

「ありがとうございます。」
「手加減出来なくて悪かった。」
「よかった、やはり手加減はせずにいてくれたのですね。」

鳩目が心底安心した笑みを浮かべる。

「毎日毎日、型稽古だけは欠かさなかったのです。依頼ではついぞ使う機会はなかったが。
あなたを追い詰める程度には甲斐があった。それがとてもうれしい。」
「組手ならまたいつでも付き合うよ。」
「いえ、暫くは大丈夫。……だいぶすっきりしましたから。」

鳩目が立ちあがる。

Segmentation fault:リベリスタは『踏み止まっている存在』なので現代兵器や物理法則を完全に無効化する事は出来ないのです。
Segmentation fault:『バロックナイトイクリプス』本編におけるプレイヤーキャラクターはリベリスタである為、度を越えた悪人を作成する事は望ましくありません。
Segmentation fault:例えば、意味の無い殺人に喜びを感じるシリアルキラー、現実世界で映画のような爆発を起こす事が生きがいの爆弾魔、等は『行き過ぎ』です。
Segmentation fault:ただし、リベリスタとして体を為す程度の理性があり、世界の崩壊(崩界)を防ぐ為に戦うという大前提を満たす限りは、バトルマニア、ごろつき、適度に狂気、自分だけが大事、他人の痛みを理解出来ない、必要とあれば殺しを厭わない、サディスト、特殊性癖等の人格を設定する事は自由です。

赤い文字が踊り、鳩目の欠損を埋めて行く。

「それ……!?」
「本日はありがとうございました。わたしはまだ酩酊していますが、あなたはもう覚醒しているでしょう。」

鳩目に指先を向けられると、御厨の意識は銀色の光の中に薄れ消えてしまった。

――――

「夢落ちー!!」

掛け布団を蹴飛ばすようなはきっとした目覚めは初めてかもしれない。
気絶して倒れる風景に三半規管がびくついて、御厨を眠りの淵から追い出した。

鼓動が速い。ただの錯覚なのに。現実には殴り合ってもいなければ倒れてもいないのに。
そう、殴り合っていた。
御厨は夢の中で鳩目と殴り合った。普段の彼女からは想像もできないような燃え盛る獣のごとき有様。自分は本当は、鳩目のことをそんな人間だと思っていたのだろうか。心当たりはないのだけれど。

右腕に宿る幽かな焼けつく痛みに気付き、思考が寸断される。
目を向けると、両手で掴まれたような形に皮膚が赤くはれていた。

これもきっと錯覚に違いない。思い込みは時に自らの身に傷を残すことすらあるという。だからこれは、僕の勝手な思い込みで出来た脳の誤作動に違いない。いや、単なる皮膚炎か日焼け後が、たまたまそういう風に見えるだけなのかも。その痛みを感じたからこそ焼けた手で掴まれる夢を見たのかもしれない。

あれは夢だ。夢にすぎない。
けれどそれは、僕が確かに見た夢なのだ。

充電器に刺さった携帯電話が鳴った。知らない番号。手にとって、もしもし?と応答する。

『先程はどうも。』

鳩目・ラプラース・あばたの、声。

以上……。」
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