Sanity’s Eclipse

「全ての暴力の的になれ。ゴミよりは意義深く散らかれるだろ。

こんばんは鳩です……。

……妄想バロックナイトイクリプス。

Spirit of the Night
捻り潰そうと思った。
暴力のタガを外すには、相手を生きてると思わないのが一番だ。
鳩目・ラプラース・あばたの目は周囲を忙しく動く的を捕捉し、両腕にそれを撃ち抜けと命じる。
迫る戦士の胸を撃ち、詠唱する魔術師の口を貫く。危ない的を撃った次は、優先度の低い的を撃つ。
劃して鳩目に殺到したリベリスタ共が1秒の内に銃創を刻まれることとなる。
それでも彼らは何やらやかましく喋ってくる。
お前のやっていることはくだらないことだ、わからない、ふざけるな、逃げるな。
或いは、「俺が受け止めてやる」なんて殊勝な言葉も聞こえてくる。
返す言葉などないのだけれど。お前たち化物ごときに。わたしと同じ化物風情に。
—-
「たかが一人の女の八つ当たりで世界を滅ぼされてたまるか」というのが、最終決戦に臨んだ正義の味方たちのおおよその総意であった。
魔女・アシュレイ・ヘーゼル・ブラックモアは予測されたとおりに裏切り、推測されたとおりに最後の障壁となり、希望されたとおりに倒された。
世界を滅ぼさんとする絶望が、世界にまだ生きたいという希望に退けられた。悲しい犠牲を伴って。
何て美しい奇跡。
—-
そうじゃないだろう!
魔女を倒して満足か?
世界の危機を救って満足か?
戦いだけが正義の味方の生き甲斐ならば、もっと素晴らしい正義を執行してみたくはないか!

恐るべき強敵!
進行形で世界を脅かす災い!
どうやったって無理難題、けど此処で倒さなければ後がない!
そんな相手を!
つまるところ、極上のカタルシスを!!

わたしごとき凡庸が飽き呆れたのだから、飽き呆れたのはわたしだけじゃないだろう。
素敵なエンディングへ。余力の残らない戦いへ。
誰も用意しないならわたしがやる。
わたしにはちょうど、正義の味方の敵となる理由があるから。
鳩目は、透明な小瓶に詰められた透明な液体を舌に垂らした。

—-

『エヴェレット』。
自分自身のあり得た可能性の姿を引き寄せるアーティファクト。
自分でありながら自分でない。
けれどまぎれもない自分自身。
「爆発的に強くなった鳩目・ラプラース・あばた」なんてものも、可能性さえあれば呼び出せるのだ。

—-

『変身』した鳩目あばたは、数年にわたって神秘界隈を脅かし続けた。
ノーフェイスを殺し、リベリスタを殺し、フィクサードを殺し、そしてその数百倍の一般人を殺した。
様々な姿で殺した。鳩目であると気づかれぬよう変身して殺した。鳩目・ラプラース・あばたには疑いがかからぬよう慎重に標的を選んで殺した。
予知能力などで阻止されそうになったら、寧ろ本気を出し、あり得る全ての可能性を引き出してそれらを退けた。
最悪の敵となるために。

—-

「そして今!あなたがたは辿り着いた!」

6対12本の腕を持ち、バグホールを自在に操って攻防を行う鳩目は、最早彼女自身の原形をとどめてはいなかった。
黒髪は色が抜け灰色になり、背からは絶えまなく黒いタールがあふれ出て燃え盛っている。
視線には魔が宿り絶えず青く光る。移動はたやすく光速を超え、故に地球上すら彼女の戦いの舞台には不足していた。

「たかが宇宙の一つや二つ、守れなくてどうします!」

虚空を背景に弾丸を放つ彼女は、今のその姿がまだ成れの果てではないと宣言した。
この世界は出来の悪いパンケーキみたいなもので、いくつも上に世界が重ねられている。
世界とは?世界がヒトの認識し得る物理の範囲内であるなら、すなわち宇宙そのものであろう。
上位世界からの侵略を阻むのがアークの役割ならば、

「当然、宇宙を守れて然るべき!!」

鳩目だったものは吠えたける。
宇宙空間に用意された真っ白な床。都合よく活動できる空気と重力。
おまけにエリューションの力を増強する力場まで付けてやった。
地球上のすべてのエリューション(ばけもの)どもを全部この場に引きずり出した。

共通の敵。
強大な敵。
手加減も和解も予知のない敵。

「わたしに不足があるならどうぞ申し上げてください。
今一度地上に諸共戻し、年月を重ねましょう。」

リベリスタ達の温度が上がる。
そうとも。此処で逃げる選択肢はない。この『敵』に見逃してもらって地上に戻してもらうなんて、プライドが許さないだろう。
不足どころじゃねえ、とっととすっこんでろという罵声も聞こえるが、意味するところは同じだ。

「結構。」

超光速の手刀が銀河を飲み込むほどの波濤を生みだす。それでも歯を食いしばって耐えきって見せるエリューション(バケモノ)達に、鳩目はこれ以上なく満足そうな笑みを浮かべた。

「もう我らは地球には戻れない。戻るべきではない。居場所などない。」

鳩目の数年にわたる暴虐に付き合ううち、リベリスタもまた途方もなく鍛え上げられた。
一挙手一投足が星を破壊するほどに。
ヒトの間に生きる人間として無理がある、と自覚できる程に。

ああ、それさえ。その自覚さえ叶ったなら。

「勝敗などもはや、」

その言葉を戒めたのは胸に刺さった黒い槍。エリューションの異能。

「唯の余興!」

その目はもう、敵を的とみなせないほどに熱くたぎっていた。

以上……。」

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