未練だけが

「倒れて死ね。理由などいらん。

こんばんは鳩です……。

……妄想……。

愚か者の為に祈れ
――――おお、神よ。
――――変えられないものを受け入れる寛容を
――――変えられるものを変える勇気を
――――そして、変えられるものと変えられないものを
――――見分ける知恵を
――――どうか授けてくださいますよう。

――――――――ラインホールド・ニーバーの祈りより

肉体的な致命傷であろうと、世界に祝福されている限り存命できる。
それがバロックナイトイクリプスに目覚めた能力者たちの特性だ。
鳩目・ラプラース・あばたは、ワゴン車の圧縮された天井を押し上げつつ自身の有様に感謝し同時に呪った。
両手に抱えた重火器も無事だ。世界の祝福、すなわち運命(フェイト)は彼らが身に帯びる物品にもおよぶ。戦場で命だけが助かっても無意味だから。ゲームの蘇生呪文と同じく、装備品が失われることは無い。
だが、鳩目にとってのゲームは終わった。
悪の頂点を打ち倒し、憂いをもたらす混沌の坩堝は封じられた。人界の危機は去った。そのトゥルーエンドは彼女を満足させるものではなかった。
でもそれはトゥルーエンドだったのだ。それ以上は望めず、それ以外はあり得ない。大御神が定めた最後のルール。抗う手段など鳩目個人にありはしない。

物語は終わってしまった。
だからこそ、できることがある。
大御神の手から離れた物語なら、好き勝手にしたって問題無いだろう?

両手に搭載された銃の重みを確認する。
半メーターを超える銃身を持つ右手の拳銃。
給弾ベルトが背嚢に続く左手の機銃。
いずれも無傷で歪んでもいない。

そう決めた。だからそうなのだ。
わたしはもう、大御神から解き放たれた。だから自分の物語を自分でつむげる。それがどんなに冒涜的でも、誰に文句も言われない。
そう、もうわたしはわたしの神なのだ。
終わってしまった物語は変えられない。だからこそ、その先がどうあれ終わってしまった物語に何を言われる筋合いもない。
天空めがけて銃弾を撃ち放つ。
撃ち破られた夜空が薄皮のようにはがれおち、世界が姿を現す。
水晶で出来た床が浮かび、上にも下にも無数の星が広がる次元の狭間。
ラストフロア。

あの星は世界からこぼれる光だ。
様々な世界に繋がる扉だ。

死を超越した者(エクスデス)どもが最後に到達する物語の後日談(エクソダス)。

天の光に向かって両手の銃を抜き放ち撃ち尽くす。
扉の向こう側に、一筋の傷を入れるため。
鳩目・ラプラース・あばたは物語の中で死ぬだけの存在ではなかったと吠えるため。

木の上で眠っていたパトリアンナ・ケイジは目覚めた。「何故人里をわざわざ避ける必要がある。」
ベッドの上でミカエラ・バラン・瀬田は覚醒した。「ナイトウォーカーを生かしておく必要などないじゃない?」
丘・敬次郎は押し倒した少女の首筋にナイフを差しこんだ。「此処まで来て何をためらう必要がある?」

鳥越・九はワゴン車に押し込まれながら想った。「殺してやる。」
パトリック・ケイジバランズは決意した。「妻を殺そう。」
ハティ・ガントバランズは言った。「契約する。」
パトリシア・バランは自分がサキュバスであることを受け入れた。「もう、これでいい。」

暴力を肯定する。
殺戮を正義と認める。
されど人間を愛し。

それでも人を食わずにいられない。
そうあれかし。

――――おお、神よ。
――――変えられないもの変える超越を
――――変えられるものを変えずにいる永遠を
――――そして、変えられるものと変えられないものを
――――見分ける知恵を
――――あなたを殺して奪い取る。

以上……。」

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