Adult Children of Alcoholics

「社員スパーク!

こんばんは鳩です……。

こちらの方を、許可を得て借り上げます……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

ARMORED CORE

「肉ウメー!」
「中ジョッキおかわりお願いシマース!」

ショッピングモールで鉢合わせた彼女らは、あら久しぶりー!元気してた?そっちはどう?あらあらまあまあそれじゃあ一杯飲みましょうそこによさげな店もあるし、ときゃあきゃあ黄色い声を揚げながらバルへと吶喊したのであった。


「土手焼きがしみじみ旨いですね……。」
「オッサンオッサン!」

雨宮・ノヴェム(レプリカント)が牛スジをむぐむぐ噛んで感嘆の声を漏らすと、パトリシア・バラン(サキュバス)がゲラゲラとジョッキ片手に笑う。

「クリのステーキのお客様。」
「ハイ!ワタシワタシ。きゃークリの花の香り!」
「バーカバーカこのサキュバスバーカ!」

香りを楽しんだ後はちくちくと油を泡立てる音に耳を澄ませ、ナイフで刻んで口に運ぶ。

「ンー!デリシャス!!」
「デリシャスはブラジル語で?」
「ケ・デリィシャエシ・クリ!(クリまじうまし)」
「クリ!!」

「ラムシンのステーキのお客様。」
「わたしです。」
「ラムリン!」
「ラムリンじゃありませんね。らむりんなんでリストラされたんでしょう(しましまとらのしまじろう)?」
「サア?」

雨宮も自分のステーキの香りをたっぷりと鼻で味わい、油のはじける音に耳を澄ませ、いざ。ナイフで切った肉を口に入れる。

「味ハ?!味ハ!?」
「むぐむぐ。」
「機械語で言って!!」
「んむん!?」

バカ二人、買い物袋の中のビールがぬるむことも忘れて(忘れたふりをして)、肉の美味しさにIQがそぎ落とされていく様を存分に味わった。

本当は積もる話をするつもりだったのだが、過ぎた美食は会話に向かない。
店を出ても肉の味とアルコールで脳味噌がふわふわと機嫌がよすぎる。
再会の喜びを美食でうやむやにしたまま別れるのを惜しんだパトリシアは、結社に泊っていけ、何もしないから、と雨宮を誘い、パトリシアの結社『ホテル53X』へ二人して入っていった。千鳥足で。
5階の505号室に入り、部屋の冷蔵庫に買い物袋の中身を移すと、眠気が限界を迎えた二人はそのままベッドに寄り掛かるように眠ってしまった。

「んうー……。」

眠りから緩く醒めた雨宮がなんとなく首を動かす。

「んむ!?」

間髪を入れず、掌が彼女の顔を掴み、心地よい魔力を吹き込んだ。綿が詰まったようだった頭も胃もすっきりと健全に。思わず飛び起きて拳法の構えを取るほど。

「オハヨウアメミヤ。」
「おはようございますパトリシア殿。ありがとうございます。魔力にはそんな使い方もあるのですね。」
「アルコール如きの毒でいちいち倒れてられないからネ。」

このくらい出来なきゃ、ケルベロス(化け物)とは言えないワァ。
パトリシアの言葉にうなずくと、彼女に促され雨宮はシャワーを浴びに行った。

「これはいわゆる、先にシャワー浴びて来いよというヤツでありますか?」
「アリマセン。」

シャワーを浴びて戻ってきたアメミヤは、部屋の奥においてある像に目を向けた。
金メッキが施された、男の像。どの宗教のものとも違う、見たことのない像だ。

「キニナル?」
「見ても?」
「ドウゾ。」

接近して観察する。やはり見たことのない男。美形とは言えないし、神々しさもない。ただ突っ立っているだけのメッセージ性もないポーズ。だが、横や上を見つめているうちになんとなくおかしな気分になってきた。意識しないまま手を伸ばし、触れる。

「あっ!」

瞬間、様々なイメージが頭の中にフラッシュした。ここではないいくつもの別の地球の景色。人外どもの忍者の里。闇の獣が目を光らせる密林。何かが極限の寒波を噴き散らす北極点。燃え盛るタールが半径数10キロに渡って広がる砂漠。パソコンのモニタの中に見えるパトリシア。パソコンのモニタの中にみえる雨宮。いつか自分を打ち倒した地球人の男女。そしてそれ以外の全て。

「……なるほどそういうことだったのですね。いいえ、私は知っていました。あなたはあなたで、私は私だと。」
「マニマニの悪魔にはあまり触れすぎない方がいいワヨ。」
「知っています。でも折角ですから挨拶をしておきたい。是非。」

伸ばした手をパトリシアがとると、雨宮は像をぐっと握りしめた。マニマニの黄金像は時空を破断し結びつけ、神の住まう505号室は歪んで散って、その後には奈良の山里があった。
奈良の忍者の里だと二人ともわかっていた。

「アラ、コッチ?」
「では、行ってきます。」
「ワタシもイキマス。」

二人は迷うことなく広い道を歩き、奥にある一際大きな屋敷へと向かっていった。

雨宮が入り口に差し掛かると使用人らしき男が怪訝な目で睨んだが、パトリシアの姿を認めてすぐに目つきを和らげ立ち去って行った。

「団長殿のルーツもここなんですか?」
「ルーツっちゅうカ……。
寧ろ何であなたがここを知ってるのカシラ。」

玄関で丁寧に履物を脱ぎ、雨宮、続いてパトリシアが廊下を歩く。曲がり角も迷わず、障子戸も躊躇なく、いくつかの部屋を横断して辿り着いた部屋の奥には御簾に隠された何者かが鎮座していた。

「お久しぶりでございます。鳩殿。」
「ご無沙汰してオリマス、御屋形様。」

パトリシアが跪いたのを見て、雨宮も慌ててそれに倣う。
御簾の奥からは少女のような高い声が、しかし重く通る響きで聞こえてきた。

「これはこれは。いつぞやの機械式不死敵性生物(ダモクレス)。その様子ではマキナクロスからは解き放たれたようですね。」
「その節は大変お世話になりました。ただいまはしがないレプリカントをやっております。」
「それは重畳。バラン、お前は何をしに?」
「付き添いデッス。」
「去ね。」
「オオセノママニ。」

パトリシアは立ち上がり、雨宮にウインクして手をひらひらを振りながら障子戸を閉めた。雨宮は少しだけ名残惜しそうな顔を向けたが、ほどなく御簾に向き直り、『積もる話』を始めた。

—-

パトリシアが縁側に寝そべって陽光を味わう。盆地にあるこの里で心地よく日向ぼっこができるのは春先の今だけだ。
風の吹かないこの地は、夏はフライパン、冬は氷結地獄と化し、心地よく過ごせる時期が非常に少ない。

「知り合いだったとはネー。知らなかったワー。」
「本当は知ってたんでしょう?」
「ひゃあ!」

モザイクの塊がのぞき込んで来て、パトリシアは心臓が口から出るかと思うほど驚愕した。

「ンモー、脅かさないでクダサリマセマセダワ、オシショー。」
「油断しているあなたが悪いのです。」

オシショーと呼ばれたモザイクの塊は男性であるらしい声で言うと、彼女の足先に座った。

「セックスします?」
「シマセンヨ!どこがチンポだかわかりゃしないワ!」

『オシショー』はモザイク人間(ドリームイーター)である。コンプレックスや感情などの欠けた部分がモザイク模様で認識される敵性不死生物(デウスエクス)である。
ドリームイーターはその欠損を埋めるために行動し、そして欠損が埋まるほどにモザイクの範囲は小さくなりその力は増大すると言われている。
全身がモザイクにしか見えない『オシショー』は、欠けているというよりは何一つ満たされていないということのようなのだが、それでもパトリシアの『オシショー』たる力がある。

「雨宮、ノヴェムと名乗っているのですか。」
「何?マスターカケイも知り合い?」
「いえ、ええ。僕ではなく地球人として翻訳された僕が知り合いのようです。」
「ナンダカよくわからナイケド、深く聞かナイデス。」
「Novemはラテン語で9。」
「ああ、九号機って意味だったのネ。」
「9は漢字で。」

マスターカケイと呼ばれた『オシショー』は地面をなぞって『九』の字を書いた。

「ハイ?」
「ところでうちの忍者団の幹部には鳥越・九(いちじく)というのがいます。」
「マスタートリゴエネ。それがどうしたノ?」

『オシショー』は九の隣に続いて鳥越と書いた。
九鳥越

九鳥

「……ふざけた名前にもほどがあるワ。」

鳩ニ困ッタラ

以上……。」

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