人類は物語を必要とするように進化した

「五感のいずれにおいてもお前を感じたくない。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

断末魔は聞こえない

​全ての物語は終わってもなくならない。
全ての物語は終わってもなくならない。
全ての物語は終わってもなくならない。
全ての物語は終わってもなくならない。

そんなのは嘘だ。あるのは、その物語を放置したくない誰かがいるだけだ。

知性は、否定を手に入れた。どんなに受け入れがたい事実があったとしても、「それ以外の全て」と唱えることで無限の可能性を維持できる。

生まれついての性質がどうしようもなく今の自分を規定している。ならば「このように生まれつかなかった可能性の全て」。
自分は地球上にしか存在せず一生そこから飛び立つこともない。ならば「自分が生涯行動する空間以外の全て」。
物理学者が数千年をかけて見つけ出した法則が宇宙全域にて保たれる。ならば「物理法則に従う宇宙以外の全て」。
自分が頭に思い浮かべた何かは存在しない。ならば「自分が頭に思い浮かべた何かが存在しない現実以外の全て」。

否定は、否定を更に否定することで肯定を生み出すこともできる。
肯定しか存在しない本能に対し、ブレーキという否定、ハンドリングというブレーキングの否定でコーナリングが出来る。

否定は知性が生み出した最初にして最も偉大な発明だ。
否定は知性が生み出した原初にして最も偉大な詐欺だ。

物語は否定から生み出される。

「こう」ではない現実があるはずだ、という発想から。
「こう」ではない全ての可能性の吟味から。

魔法は現実には存在しない。「だからこそ」魔法があったなら。
ユートピアは現実には存在しない。「だからこそ」ユートピアがあったなら。
死後の世界は現実には存在しない。「だからこそ」死後にも生きることができたなら。

現実を全て肯定しそれで満足ならば、物語は必要ない。
だが人は死ぬ。理不尽に死ぬ。経年劣化で死ぬ。苦しんで死ぬ。死を恐れる。死の苦痛を恐れる。他者の死による離別さえ恐れる。
「それがなかったなら」。「あのときああでなかったなら」。「ああならない人類がいたなら」。

物語とは祈りだ。ありもしないものを願う祈りだ。
「それ以外の全て」とは、「それ」無くしてありえない。
魔法使いの物語は魔法の無い現実の鏡映しであり、
放埓な物語は放埓さの乏しい現実の鏡映しであり、
合理的な物語は合理が及びかねる現実の鏡映しである。

物語は、現実を映す。角度を変えて色味を変えて世界の有様を見せつける。それが物語の役目だ。そして物語は物語である限り現実には決してなりえない。

「ワタシはそのことに納得なんてしてイナイ。」

パトリシア・バラン・瀬田はグラスの中身を飲み干して、吠えた。

「ここが鏡の中のワンダーランドだって言うナラ、この世界が映し出す元の世界ってのは何なのヨ。 鏡は入ってきた光しか反射しない。それ以外の世界だってあるはずなのニ、ここにはそれは映し出されない、あるかどうかも知ることが出来ナイ。」

グラスを持ち上げて見せると、バーテンはそろそろとウイスキーを注ぎ、音もなく氷を追加した。待ちかねたようにパトリシアがそれを煽る。

「死せざるは命無きもののみ、物語は終わってもなくならないんじゃない。
物語の終わりは、書き手じゃなく読み手が決めるからヨ。
誰か一人が、まだ終わるなと信じる限り物語は終わらないしなくならない。
ワタシは、そう信じた誰かの物語の続きの登場人物が書いた物語の……。」

テーブルに肘をついて、手に顔の重みを預けてそのまま彼女は眠ってしまった。

「納得なんてしてナイ……。」

お前が登場人物でない全てを。

 

以上……。」

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