真実の解体

「誰もお前に生きていいとは言っていない。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

芳醇濃密なれど二次元

​その程度ではわたくしどもには勝てません。
あなた方の言う破滅とは、せいぜい地表の形が変わる程度の事なのでしょう?
もっと理想を高くお持ちなさい。

地球を一つの生物として考える理論が存在する。
地球環境全体を一個の生命とし、人類を含む地表全ての生物をその構成物として捉える考え方だ。
如何にも偉大でスケールの大きなことだ、と考えただろうか?
地球という惑星一つが生命とはなんと大きなことだと。
だが、イメージされる生命としての地球とは、実は地表だけのことだ。球体ではなく球面。
たかだか球面を世界と呼び、その変動を世界の破滅と呼ぶ。
このわたくしは球体ごと微塵にしたことが幾万回あるというのに。

目覚めるとそこは里の和室だった。
鍛錬で打ち倒されたときはいつもこの部屋に運ばれていた。
パトリシア・バラン・瀬田は倒された時の光景を思い返す。
忍者の里の首領、筧・小鳩との幾十度目の立ち合い。
いつも通り技はいずれも綺麗に決まり、いつも通りそれらは全く意味をなさなかった。
拳を打っても地に投げても首を絞めても手ごたえがない。
虚空を相手に戦うような正に虚しい時が過ぎ、最後は飽いたとばかりに気だるげに放たれた首領の手刀一撃で幕が下りた。

斜めに切り離された肉体は既に繋がっていた。これはケルベロスの異能でもなければ首領が治癒したのでもない。単に彼女の死を決定する権利が誰にもなかったというだけだ。
里で如何なる傷を負ったところで、パトリシアの死は決定されない。

ふとサンパウロの裏路地を思う。
その頃、自分は死と隣り合わせの諜報活動を続けていた。マフィアと寝て、事情通に金を払い、商売敵を唆し、自らの手で始末もした。
全ては『パパ』の為。
その頃の自分は、いつ死ぬかわからない恐怖と緊張の中で生きていた。いつ殺されても不思議ではない、綱渡りの毎日。

今の自分は、『登録』されてしまった。
自分の命はもう誰にも奪われない。自分の命が自分のものでなくなった。死のうとしない限り決して死なない。死のうとさせられない限り決して死なない。あの首領を以てしても、自分の命は自由にならない。

ああ、そうか。
幹部連中が宇宙だの何だの言い出すのも当然のことなのだ。
彼らは誰にも殺されないのだから。誰も彼らを死なせることが出来ないのだから。彼ら自身にすら。
時間と空間を抉じ開ける為に、彼らも抗い続けたのだ。そして、それは未だ何の実も結んでいない。

終わってしまった物語は引き裂かれた永劫だと師は言った。
しかし物語に組み込まれたワタシもまた、既に無限に廻るものなのだ。

顔を押さえる。涙が流れる。
生きることを制限されたならまだ抗いようもあろうが、死を奪われたなら一体どう抵抗すればいい?
いや、いや。違うのだ。死を奪われたのではない。命を奪われたのだ。

『死せざるはただ生命無きもののみ』

わたしは生きていない。だから死ぬこともない。わたしには形がない。だから滅びることはない。
まだ望みは。まだ一応はある。物語が私を殺してくれるという望みが。
殺してくれることが望み?神が願えばそのようにしてくれるだろうよ。

わたしは理解した。わたしは理解した。
わたしはそれを

納得はしていない。

サンパウロの路地で引き金を引いた記憶。
額を撃たれた少年は死んだ。脳を散らす彼をあの時のわたしはただ汚いとだけ思ったけれど。

わたしは理解した。
わたしはそれを納得はしていない。

 

以上……。」

アイコン

広告

kiwivege について

nothing
カテゴリー: ケルベロスブレイド パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中