怒り狂うゴブリン

「お前より脳の小さい生物の方がお前よりはるかに有益だ。その事実を噛み締めろ。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

ありえぬことこそ誉れなり

油膜の張った肉体は両断されてなおその悍ましい油を水晶の大地に塗り付けていたが、程なくしてそれらは布づくりのようにほつれてほどけ、繋がり、再生し、立ち上がった。

「斯様に。滅ぼすことができ、そして滅ぼすことはできないとそういうわけです。」

向かい合った男の手にしたナイフから、光の刃が消えた。
再生した肉はその醜悪な相貌に即席の発声器官を作り出す。

「ワタシの内から湧き上がるモノが、ワタシの死を拒んでいる。」

それは外国人のようなカタコトの日本語だった。その肉はそう定義されていた。サキュバス、パトリシア・バラン・瀬田。頭部の角と腰の翼、豊かな乳房と臀部にそれらを引き立てるべくくびれた腰が、彼女を決定している。たとえ青い肌が油に光り、骨格が表皮を突き破り、両目と口が底なしの暗闇の呑まれてあろうともだ。

「僕はあなたを殺すことはできない。今のところは。しかし、あなたでは僕にはかなわない。」

黒髪に白づくめの長身。そのぐらいしかわからない。なぜならば男もまた異形であるからだ。
その全身はモザイクのかかった映像であり、この場に姿を晒すことを禁じられた怪物である。

「何故僕がこんなに強いのか、教えてさしあげましょうか。」

パトリシアの口が少し動いたが、音声を発することなく止まった。男はそれを了承と解釈して言葉を続ける。

「望んだからです。そしてまだ僕の望みは叶っていないからです。」

手にしたナイフを放り投げる。水晶の小島を放逐され、ナイフは宇宙へと落ちていった。

「神を殺すために。神と呼ばれうるすべてのものを殺せるようになるために。
僕は造物主を殺したい。この宇宙のどこにもいない、超越的な何者かを。
その方法を探すためには、人間の寿命では足りません。不老不死が必要だ。だからまずは不滅となった。
神が高次元の存在であるなら、そこに至る方法が必要だ。だから四次元存在になった。それでもそこには神がいなかったので、五次元になった。そこにもいなかったので六次元に七次元に……もしやと思い無限次元の彼方まで力を拡張した。
高次元から来る力は、三次元においては正しく無限です。僕らが宇宙を容易く作ったり壊したりできるのは、無限を扱うにおいて当然に通過した、単なる副産物です。」

水晶の小島が震えた。暗黒に浮かぶ無数の小島が一斉に震える。星の光を反射して、キラキラとさざめく。

「あなたにはたどり着きたい目標はありますか?
辿り着けるはずのない目標が。
決して叶わぬ望みこそが、力という空しく限りない徒花を咲かせる。
あなたにはありますか?無尽蔵に歩き続けるための、ばかげた目標が。」

小島の震えはどんどんと大きくなっていった。やがて振動とともに形が崩れ歪んでいき、一つ一つの小島が、大小のパトリシア・バランとなった。

「「「「「「無い。」」」」」」

バラン達は唱和した。モザイク男はにっこりと笑いナイフを振るうと、無数のバランはさらに無数の肉片となって、空虚の中へと散っていった。

「では、次は不死者を殺す方法論をレクチャーしましょう。聞く気があれば、再生なさい。」

 


以上……。」

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