ここがアサイラム

「お前が生まれたことを無かったことにしたい。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

目を逸らして見えるものたち

​向き合わなければ問題は解決しない。それでも人が目を逸らすのは、そこに確かに別の現実があるからだ。夢中になれる程楽しく、本気になるだけの価値がある現実が。問題など何の意味も無いと感じられるだけの事実が。

それでも甘えに過ぎないと前を向きなおせるなら、貴方には何も言うことはない。目を逸らした先が目を『逸らし直せる』程度の現実でしかないと言えるのなら、貴方に伝えるべきことは何もない。

ここにいるのは、そうではない者たち。向き合うべき問題という奴に本当に向き合うべき価値があるのか疑問を持ってしまった者たち。目を逸らすことに無二の喜びを感じてしまった者たち。現実と向き合うだけの力を持たなかった者たちだ。

「では散開。」

言い終わるや否や、少年少女たちは獣のような速度で飛び去った。渦巻の仮面をかぶった男はふふ、と満足げな笑いを吐き、それから悠然と歩きだした。
林の中をがさがさと走る音がしばらくしていたが、ものの5秒ほどで薄れて消える。仮面の男は堂々と、草を鳴らしながら歩んでいく。

仮面が木の下で立ち止まった。密度濃く重なる葉をゆっくりと見上げる。

「そこにいますねえぇ~え?」

間延びした声をかける。応答はない。

「隠れても無駄ですよおぉ~お?見えてましたからあぁ~あ♪」

応答はない。微かな風で葉擦れの音がするばかりで、緩やかに吹き抜ける風はそこに人などいないことを示していた。

「……まあ、合格でいいでしょう。」

そう言って仮面の男が指先をつ、と振ると、木には斜めの切れ目が入った。ズレ、そして倒れた。

その音はどこまでも一直線に長く遠く響いていく。男が指を振った先の先まで、木々は両断されていた。

倒れた木から少年が姿を現し、首を垂れる。

「合格合格♪君は戻っていいですよ。」

少年はうなずき、土を蹴って姿を消した。振り返らない。指一振りで刈られた木々の中、先ほどまで一緒にいた少女の脳天から股座まで断割された死体が混ざっていたことなど、億尾にも出さずに。

「さーあ、続きです。皆さん頑張って隠れてくださいねえ♪」

仮面の男が歩き出す。その声に応じる音は無い。あってはならない。今こんなところで死ぬ訳にはいかない。わたしは、俺は、自分は。

無視されていた時より、いじめていた時より、野良猫を殺した時より、ずっと、生きていると思えるのだから。

以上……。」

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