届かぬ限り祈り続けられる

「粒子まで分界した後ブラックホールに捨ててやる。未来永劫お前のいた痕跡など決してこの宇宙のどこにも残さない。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

時計の針を

白虎の牙は黒い剣。
肉なき亡霊の虚しさを集め練り上げ作り上げた、完全なる真なる真空。
それが触れた場所は如何なるものも虚無と化し、偽の真空は真の真空へと相転移する。そこに偽物がある限り、刃はそれを否やといい、裏返し、炸裂させ、偽の宇宙を真なる虚空に帰す。


「100点の人なんていない訳よ、総合で見たらさ。実際プラスマイナス70行けばいい方で、80、90と出会ってモノにできるかどうかって話。」
「じゃあ何?最高でも99点の男しかいないって訳?マイナス1点は我慢しなきゃいけないの?一生?それとも一緒に過ごす内にそれも好きになってるかもってこと?
ワタシはどっちもイヤだ。」


彼はそうやってもう幾つもの宇宙を消滅させてきた。
目の前の敵を倒すために、自分の力を増すために、相棒の力を育むために。
「マダマダくたばらナイ。」
筧次郎の目の前の、女の形をした何か。
左腕のような何かに、男と同じ虚無を宿している。


「男とは限らないじゃない?」
「男じゃなければ0点よ。」


パトリシア・バランは左手に、銀の籠手を装着している。
神の半身、鳩の銀腕の欠片を溶かしこんだもの。神域に届く逸品。
欠片とは言え、それは無限にして虚無の一片。無限の一片は無限であり、虚無はどこまで分割しても虚無である。
今やパトリシアは、筧の剣と同じ無にして無尽蔵の黒を宿していた。


「100点の男を探し続けて、30超えちゃったんでしょ?いい加減諦めなよ。」
「歳は関係ない。100点の男じゃなきゃダメって訳でもないヨ。
ただ、一生、ずっと、絶対に我慢しなきゃいけないってのが。
その約束が、嫌ナノ。
嫌なハズなモノを受け入れる自分になっちゃうノモ。」


右腕は金籠手。左に比べれば薄く華奢で、籠手というよりは手袋に近い。
こちらには、神々の加護も因縁もない。ただ単に銀の片腕の相方というだけ。
見た目だけ、形だけ、それらしさだけ。


「ラインホールド・ニーバーの祈りって知ってる?」
「ラインホールドと名の付くものは憎むと決めてるノ。お生憎ダケド。」


銀の片手の対、ただそれだけの為だけに金。
何の意味も無い金色は、それでもブラジリアンの褐色肌によく映えた。
ならばこれはパトリシア・バランの金だ。ワタシがワタシらしくあるための金色。
コギト・エルゴ・スムのゴールド。


「頑固な婆になって死んでいくのが見えるよ。」
「死ぬまで頑固でいられるなら本望ヨ。」


黄金の自我。誰にも破壊されない己の意思。
それをパトリシアは筧に向ける。
神域の銀ではなく、自我の金を。


 

「死ぬまで頑固ってことは、死ぬまで妥協しなかったってことデショ。
変えられるかどうかなんて問題じゃナイ。
神に知恵をくれ何て祈ったりシナイ。
変えられないからこそ、変える価値がアル。
変わってしまうからこそ、変えない価値がアル。
何の意味も無くたっテ、誰も認めてくれなくたっテ、ワタシはがそうしたいんダッテ、いつまでも戦える。」


金籠手の右ジャブが奔った。無限より速く。
――――おお、神よ。
――――変えられないもの変える超越を
――――変えられるものを変えずにいる永遠を
――――そして、変えられるものと変えられないものを
――――見分ける知恵を
――――あなたを殺して奪い取る。

以上……。」

アイコン

広告
カテゴリー: ケルベロスブレイド | コメントをどうぞ

存在という過ちを永遠で薄めて無にするだけの

「ボケナス。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

怪物の想像上の怪物

二次元の世界とは厚さ0の世界。
そこに住むものは線でしか物を捉えられない。実際にはその線すら厚みが0だから、我々3次元人ではどうやっても見ることができないわけだが。
さて、その世界の上に水をこぼしてみよう。コップ一杯の水を2次元の世界に差し入れしよう。
水はどこまでも広がるだろう。厚さ0になるまでどこまでも薄まっていく。厚さ0になんてなれないから無限に広がっていく。
つまりだ。3次元世界のあらゆるものは、どんなに僅かでも、2次元においては無限大に他ならない。
ここまではOK?

「イエス。」

釈然としない顔と声。筧・次郎は不出来な生徒に肩を竦めつつ、イメージ上のことですからまあいいでしょうと妥協して話を続ける。

「さて、同じ理屈で4次元のものを3次元に突っ込んだらどうなります?
4次元人にとっては『4次元的質量0の、想像がしようがないくらいひらべったい世界』である3次元に、4次元的質量を持ち込む。そうすると?」

筧が長身をぐにゃりとまげ、生徒の目を見上げる。

「……無限に広がる?」
「イエス!」

筧が両手の指で生徒を指すと、彼女は鬱陶しげな顔でその手を払った。

「4次元に行けてしまえば、この世界など紙芝居にしか見えなくなるのですよ。
宇宙を埋め尽くす無限のエネルギーをいくらでも放り込める。それどころかページをめくるように過去も未来も閲覧できる。完璧に。勿論ページを破り捨てることだって出来ます。何しろカミにカカれた物語にしか見えないわけですから、3次元なんて。どうとでもできる。どうにでもできる。どうでもいい。」

目を見開く筧。目を逸らす生徒。

「バラン。パトリシア・バラン。あなたもそういう論理で作った。」
「ヤメテ。」
「織り込まれている。」

どくん、と心臓が重く律動した。
パトリシア・バランの魂に眠る強大なデウスエクスが、呼応したのだ。

「ヤメテ。」
「3次元生まれの我々が、4次元に至るのは本来は不可能です。
だが、不可能ならば取り除けばいい。
『魔法の不可思議な力によって可能になったのだ。』その一文で僕らには十分。」
「ヤメテ!」
「何を?何をやめればいいのです?」

にらみつけるバランの目に対し、筧の瞳は少しも動揺していない。

「あなただって、魔法を使って不可能を取り除いている。
好きなことを好きなようにしている。物理法則を取り除いて。若頭からすれば業腹モノでしょうがね、あれは潔癖なところがあるから。若頭殿も若頭殿でその不可思議に頼っている癖に。」
「アナタも。」
「僕も。何です?」
「潔癖だって言ってんノヨ。4次元に辿り着いたんならずっとそこに引きこもってりゃいいのノニ、こうしてワザワザワタシたちンとこへ降りてきてサ。人間だってことを捨てられナインじゃナイノ、バカみたい。
人殺しはヒトではない、犯罪者はヒトではナイって。神も悪魔も人間社会にしてみればただの犯罪者ダ、駆除すべき害獣ダ。
そう思ってるンデショ?今モ。」

筧は満足げに笑っている。うんうんと頷きながら。気持ちよさげに聞いている。

「アナタは、4次元からこの世界を見る神様になりたかったンじゃナイ。あなたは『ここで』怪物になりたかった。その為だけに4次元を……5次元も6次元もそのずっとずっとずーっと先も使い捨てタ。こんな!ちっぽけな!3次元の為に!
ここで!自分は凄いんダゾって!お前たちなんかどうにでもなるんダゾって!威張り散らすためダケニ!」
「その通りです♪」
「バッカみたい。」
「僕らには、語り部が必要なんです。それと聞き手が。僕らの存在を心底信じてくれる人が。神と言い換えてもいい。
誰か一人でもいい。僕らが、僕ら自身の主張する通りの僕らであることを疑わない人が。」
「どうしてヨ。誰が信じなくてもワタシたちはワタシたちデショ。アナタは、アンタたちはその自信が持てないだけの根暗ヨ。」
「礼儀ですよ。」

筧はオーバーに両手を広げて顎を引いた。上目遣いでバランを見つめあげる。

「説得力がある、って奴です。理屈でも描写でも何でもいいんですが、『ああ、こいつは確かにここにいるな』って思ってもらうのは礼儀です。
『こんな奴いるはずないだろ』とか『勝手に言ってろ』とか不快にさせるのは無礼なことです。」

突然机が大きな音を立てて陥没した。
バランが両手で叩いたのだ。同時に立ち上がる。椅子は後方に倒れて壁まで滑ってぶつかった。

「チ、ガ、ウ、デ、ショ。」

今度はバランが筧を睨み上げた。

「誰にも認められないノが、アナタが嫌だからデショ。アナタが、認められたいからデショ。強くなりたいんジャナイ。認めてもらいたいンダ。嫌われたくないンダ。
『誰が何と言おうと自分は自分だ』って言えないヨワムシ。臆病者!」
「その臆病さで、ここまで来ました♪」

筧は笑う。菩薩のように朗らかに。
バランの脳裏に誰かから聞いた言葉がよぎった。
辿り着けない場所に向かう努力は無限に可能だと。
見当違いの恨みこそ、叶うことのない望みこそ、限りない高みへ導くのだと。
当時のバランはその言葉に心から首肯したが、今は違う。
終わらない現実逃避。それが彼の正体だ。それがワタシを生み出した力の正体だ。
逃げた先だって別の現実には違いない。でも当の本人がそれを逃げた先の現実としか認めていない。だから空しいのだ。だから虚構なのだ。

「ワタシも、アナタも!」

彼女の両腕に金銀のガントレットが装着された。空っぽのケルベロスには、戦う以外の表現が存在しない。

コギト・エルゴ・スム。

バランは、己を虚像だと認めている。それでもコギト・エルゴ・スムなのだ。
筧は己を実像だと信じている。なのにコギト・エルゴ・スムと言えないのだ。
何て哀れな神の人形、と、神の人形の人形はガントレットの拳を握った。
無限濃度の無限を内包する集合体に。そう定義されただけの、東洋人の形をしたただの器に。

以上……。」

アイコン

カテゴリー: ケルベロスブレイド | コメントをどうぞ

ここがアサイラム

「お前が生まれたことを無かったことにしたい。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

目を逸らして見えるものたち

​向き合わなければ問題は解決しない。それでも人が目を逸らすのは、そこに確かに別の現実があるからだ。夢中になれる程楽しく、本気になるだけの価値がある現実が。問題など何の意味も無いと感じられるだけの事実が。

それでも甘えに過ぎないと前を向きなおせるなら、貴方には何も言うことはない。目を逸らした先が目を『逸らし直せる』程度の現実でしかないと言えるのなら、貴方に伝えるべきことは何もない。

ここにいるのは、そうではない者たち。向き合うべき問題という奴に本当に向き合うべき価値があるのか疑問を持ってしまった者たち。目を逸らすことに無二の喜びを感じてしまった者たち。現実と向き合うだけの力を持たなかった者たちだ。

「では散開。」

言い終わるや否や、少年少女たちは獣のような速度で飛び去った。渦巻の仮面をかぶった男はふふ、と満足げな笑いを吐き、それから悠然と歩きだした。
林の中をがさがさと走る音がしばらくしていたが、ものの5秒ほどで薄れて消える。仮面の男は堂々と、草を鳴らしながら歩んでいく。

仮面が木の下で立ち止まった。密度濃く重なる葉をゆっくりと見上げる。

「そこにいますねえぇ~え?」

間延びした声をかける。応答はない。

「隠れても無駄ですよおぉ~お?見えてましたからあぁ~あ♪」

応答はない。微かな風で葉擦れの音がするばかりで、緩やかに吹き抜ける風はそこに人などいないことを示していた。

「……まあ、合格でいいでしょう。」

そう言って仮面の男が指先をつ、と振ると、木には斜めの切れ目が入った。ズレ、そして倒れた。

その音はどこまでも一直線に長く遠く響いていく。男が指を振った先の先まで、木々は両断されていた。

倒れた木から少年が姿を現し、首を垂れる。

「合格合格♪君は戻っていいですよ。」

少年はうなずき、土を蹴って姿を消した。振り返らない。指一振りで刈られた木々の中、先ほどまで一緒にいた少女の脳天から股座まで断割された死体が混ざっていたことなど、億尾にも出さずに。

「さーあ、続きです。皆さん頑張って隠れてくださいねえ♪」

仮面の男が歩き出す。その声に応じる音は無い。あってはならない。今こんなところで死ぬ訳にはいかない。わたしは、俺は、自分は。

無視されていた時より、いじめていた時より、野良猫を殺した時より、ずっと、生きていると思えるのだから。

以上……。」

アイコン

カテゴリー: ケルベロスブレイド | コメントをどうぞ

神性の瞳

「気体になれ。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

亡者の視線の独裁者

過去は時の一部ではない。

時の流れが物の動きによって定義されるのであれば、過去は決して動くことのない前提条件に過ぎない。

誰もがあの時ああであったなら、ああしたならと夢想したことがあるだろう。僕(やつがれ)もそうだ。

だが、あの時「ああ」ではなく「そう」なるように条件が揃っていたから「そうなった」のであり、「ああ」せずに「そう」するような僕どもだったから「そうした」のだ。
言い訳に聞こえるだろうか?あの時正しい行いを理解していながら行動しなかった自分のことを正当化するように?あの時悪い行いと知っていながら行動してしまった自分のことを正当化するように?それとも、あの時起こって欲しかったことが起こらなかったこと、怒らないで欲しかったことが起こったことを、「単に仕方のないことだったのだ」と言い聞かせ自分を甘やかすように?向き合うべき悲しみと後悔にに蓋をしてしまうように?
そのような自罰が過去を取り返せたことがあったか。すべきことをしたことに変えられたたか。すべきでないことをしなかったことに換えられたか。起こるべきであったことを起きたことに替えられたか。起こるべきでなかったことを起きなかったことに代えられたか。それらが不可能であることを、君たちは知り尽くしているであろう。それらが不可逆であることが、君たちの生き方の礎であろう。

過去は流れない。過去は今のようには過ぎゆかず、過去は未来のようには予測されない。

例えば、ほんの5分前にこの世界が生まれ、「このよう」であったとしたら?それ以前の過去など存在しないとしたら?僕どもも君らもそうでないと証明することは出来ない。
積み重ねた記憶がそういう理解を拒絶するかもしれぬ。手に届く書物が、テーブルが、椅子が、座布団が、それぞれの過去を思い出させるかもしれぬ。

だが、僕がこうしたらどうだ。君らをこのように闇で包み、衣服も住居も消し去ってしまったら。君らの記憶のフックとなるものが何一つ観測できなくなったら。この中で過ごすうち、君らはきっと今までの人生が夢だったのではないかと思うだろう。それを否定する材料も見つけられない。
案ずるな、すぐに戻そう。そら、目を開き耳を澄ませよ。元の通りだろう。ほんの少し眠ってもらっただけだ。

僕は過去の話がしたかった訳ではない。過去は単なる前提条件だと納得してもらいたかったのだ。

過去は、時の流れの一部として捉えても意味がない。今を生き未来を知るための前提だ。僕は未来を知りたい。精度の高い未来を。一分の狂いも無い刹那を。一点の曇りもない那由他を。過去という前提を踏まえ現在の全てを知り尽くせば、それを見ることが出来ると信じている。

不確定性原理?勿論知っている。ミクロの世にはランダムが存在する。これは観測の精密さを極めてもどうにもならぬ。おっしゃる通り、そのランダム性は無視できるものではない。ほんの10の10乗分の1度だけ射出角度の違う粒子が、あの闇の彼方では光年の距離となる。起こったことは巻き戻せない。目に見えぬほど小さなものであろうとも、それは永遠に宇宙に痕を残す。

ならば、完全なる未来予知など不可能だ。どれほど精度の高い観測を行っても、常に極微かなランダムが付きまとう。そしてその微小なズレは、永劫の時の中で次第に大きな存在となっていく。
僕が本当の本当に見たいのは、そうして生まれる予測不能の未来なのだ。
観測と予測を究極まで突き詰めれば、神の振るサイコロだけがそこに残る。

今という時を知って知って知り尽くし、刹那の先を考えて考えて考え尽くした果て、その先にやっと神がいる。君ら人間が、どのような科学を以てそこに迫るのかは、死神たる僕が関知するところではない。

僕が使うのはこれだ。暗闇に目を凝らせ。

渦が見えるのが分かるか。鋸刃に似た線が枝分かれしながら渦を巻いているのが。大渦が、小さな渦を纏いながら中心へと無限に収縮していく様が。鋸刃状に見える線も、こうやって接近して見れば小さな渦になっているのが分かるだろう。

あの形状は君らが言う所謂フラクタルというやつだ。特定の計算式をもとに、どこまでも極小まで続く、観測兼演算装置だ。

無論、物理空間内に真なる無限連鎖を作り出すことは不可能だ。だが、デスバレスは死者の世界。生きる者の世界と死者の世界とを隔てる無限の溝を、繋いでしまう通路がある。無限を繋ぐ、次元の歪曲。すなわち、真なるフラクタルの存在余地がある次元のはざま。整数次元の間を揺らぐここに無限の極小を置く余地が存在している。

後の問題はこれを稼働させるリソースだが、それも目途はついている。
我らが住まうデスバレスは死の世界。全宇宙の死者の魂がここに集まる。それは数えるだけで宇宙の終わりが来るほどの膨大な量だ。それを使用する。

我々はデウスエクスだ。君らにとってみれば、僕どもは不死不滅の生命体。僕どもから見れば君らは有限の命しか持たぬ脆弱で価値無き生命体。死後もそれが大きく変わることはない。死神にとって君らの魂は限りなく無価値だ。だから僕がくすねる分は無尽蔵にある。

目を開き給え脆弱な者よ。そしてその景色を僕に教えるがいい。

君らの魂は僕の無限演算装置フラクタルへと組み込まれた。君らの目は僕の目。死することなき死せる魂よ、無為なる君らに簡単な仕事が与えられたことを感謝するがいい。

いつ死んだか?その問いも予測の範疇だ。話の途上で暗闇を見せたであろう。その時に君らは死んだ。闇の後に見せた風景は、君らの記憶に残っていた残滓を思い起こさせただけだ。不安に感じる必要はない。死者には生者ほどの知性も記憶力もない。感じるままを感じ続けるだけでよい。

何も問題ない。ここまでは全て予測が出来ていた。



以上……。」

アイコン

カテゴリー: ケルベロスブレイド | コメントをどうぞ

デウス・エクス・マキーナ

「黙って死ね。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

天の闇、地の光

​大気がないので音は響かない。震脚は容易く岩を割り、拳から散ったタールは重力圏を容易く抜け出し宇宙空間へと消え去っていった。
足裏に不安定な振動を感知する。
もう限界に達したか。
小惑星の端から端まで余すところなく、彼女の足跡が刻まれている。陥没した地面から走る亀裂は先ほどの中段順突きの振動で見る間に大きくなり、繋がり合い、星の表面から根幹へと侵食していく。
もう用はない。
両足を揃え母星に向けて跳び上がる。
踏み台にされた星はついに全ての罅を繋げられ、修験者の後方へと砕け去った。

前方に母星が接近する。銅、鋼、銀、金、プラチナそのたさまざま色で出来たモザイク模様が、やがてそれぞれに目的を持って建造された被造物であることが認識可能になる。
母星の姿が視界の全てになったころ、左右の二つ結びにしている毛髪が燃えた。全身から噴き出す燃料もほどなく発火し、大気の存在と自身の熱を同時に自覚する。
何も問題はない。
デウスエクスは不死不滅の生命体。火の玉になろうとも燃え尽きることはない。
これより訪れる大気との断熱圧縮による高温も、大地への落下による衝撃も、彼女を何ら傷つけることはない。
地表に到達して間もなく、白い粉末が高圧で吹きかけられ、少女が纏った炎は迅速に消化された。

「w3a379ouma。帰還を確認した。」
「ありがとうございます。」

少女は陥没した地面から自分の体を引き起こすと、目の前の四足歩行の機械に返事をした。四足は残った消火冷却剤を屁のように噴出してホースを洗い、それを自らの体の中に仕舞い込んだ。

「しかし、今後は『ワールドウェルダー』と呼ぶように。」
「――コードネームに重複なし。承認した、『ワールドウェルダー』。マキナクロスは今後、このエイリアスで貴公を呼称する。」
「ご随意に。」

既に少女の周囲には、名称を承認させたのと同型の四足歩行機械が集まっていた。背から生えた作業用のアームで舗装用のタイル、セメント、溶接器具、瓦礫運搬用の台車等を各々持ち寄っており、少女がその場から退くと速やかに密集して修復作業を始めた。
二体だけが彼女の後ろについて歩く。少女が体からこぼしていく消火剤交じりのタールを、モップを携えた一体とバケツを携えた一体が連携して清掃する。

少女の頭部内受信機に高優先度一方向通信が入った。

(『ワールドウェルダー』。5-810-9番洗浄槽へ向かえ。)
(御意。)

応答を待たず、四足歩行機械が新たに現れ背に負った盥を彼女の足元まで差し出した。
これ以上公共の通路を汚すなということか。少女がその中に乗ると四足は彼女を持ち上げ、運搬を開始した。滑らかな加速と完璧な無振動。それはデウスエクス・マキナクロスが数千年数万年の年月の末に実現した取るに足らない超人智の科学だ。

立方体の洗浄槽では、冷却、ついで水による洗浄と冷風乾燥が行われた。
消火剤の粉末は完全に除去されたが、彼女の機体内部からは相変わらずタール状の液体が湧き出し続けている。

(『ワールドウェルダー』。代謝を抑えよ。)

高優先度の一方向通信。

(燃料の排出を停止させよという意図ならば、応じることは不可能です。)

少女は応えた。

(わたくしはそのように作られている。)

間。

(……了承。貴公の燃料供給機構には不明点がある。可及的速やかに分析、開示し、マキナクロスに共有せよ。)
(承知しました。但し自己の有り様を完全に把握するのは難度の高い行為です。実現を確約できないことはご容赦ください。)

少女の青い瞳がチカチカと点滅した。明るさだけでなく、瞳の色は薄氷色と瑠璃色とを不規則に往復もする。

(……条件付き了承。貴公の内部情報開示までの期限を延長する。代わりにマキナクロスへの奉仕を要求する。)
(わたくしの同期体が統率する偽装螺旋忍者団からのグラビティチェインの提供では、不足ですか?)

間。かすかなノイズに続いて返答が行われた。

(……了承。)
(この問答は前にもしたはずです。)

間。またノイズが走り、続いて返答が行われる。

(……貴公の同期体が齎すグラビティチェインについて、先ほどの通信と同等の対話が行われていることを確認した。)
(では、わざわざ聞かないでいただきたい。)
(次いで問う。貴公は付近の小惑星を用いて自身の機能のテストを行っている。
惑星はマキナクロスの資源の候補であり、また貴公の小惑星への発射と帰還にもグラビティチェインが消費されている。
貴公、或いは貴公の同期体が齎す利益はその投資に報いるか?)
(その問いにも回答済みです。)

間。長いノイズ音の後、答えが返った。

(……貴公の同期体が齎すグラビティチェインが、貴公の行いを埋め合わせるに十分な量であることを確認した。また、過去に同等の対話が行われたことも確認した。)
(では、わざわざ聞かないでいただきたい。)
(マキナクロスは何故解決済みの問いについて再び貴公に応答を求めたのか解析中……。
……マキナクロスは貴公との問答の記録がなかったと認識し、質問を行った。貴公からの応答を受け、記録を検索した結果、該当する内容が存在した。何故問答の記録がなかったと認識したのか?解析中……。)
(処理の負荷による一時的な不調では?マキナクロス。)
(……。)

間。

(高負荷を証明するログは検出できなかった。)

応答は多少――数値にして2だけ――優先度の高い通信で行われた。

(非存在の証明は極めて高難度であるため追及は中断する。
別の質問をする、『ワールドウェルダー』。
何故貴公は小惑星を利用してまで力を求める?
過去の記録には、同一のコードネームを持つ別個体の存在が記録されている。
何れも頭脳の置き換えと共に廃盤となっている。)

機械種族ダモクレスには、各個体に成長上限が存在する。
如何に自己を改装、強化しようとも、その上限以上には強化することは出来ない。

(『ワールドウェルダー』のコードネームを持つ個体は、より高いレベルの個体にそのコードネームを譲っている。貴公は最新の『ワールドウェルダー』として、その理由を知るか。)
(マキナクロスよ、総体が知らないものをわたくしが知るはずはございません。わたくしは最新の『ワールドウェルダー』だが、それ以前の同エイリアスの個体の記録は所持していない。)
(虚偽と判断する。コードネームのみを引き継ぎ記録を引き継がないなど非合理である。貴公はこれまでの『ワールドウェルダー』の記録を記憶している。貴公の記憶領域を確認した。貴公は過去の『ワールドウェルダー』を全て受け継いでいる。理由を述べよ。)
(回答します。)

『ワールドウェルダー』の青い瞳が点滅をやめて消灯し、そしてじわりと光を増していった。

(初代『ワールドウェルダー』は、個体の上限を超越することを求めました。
生まれもって上限が存在することを非合理と判断し、自らがパーツとなり別の上位個体に組み込まれることによって上限の疑似的な超越を果たそうとした。)
(理解不能。個体上限は各ダモクレスの仕様である。何故拒む。またパーツとなり組み込まれれば同一性の保持は不可能である。個体上限を超越したとは認めえない。何故そのような手段を選んだ。)
(説明は出来ませんマキナクロス。わたくしは初代『ワールドウェルダー』ではないがゆえに。)
(では何故初代の求めるまま個体上限を超えようとするのか。)
(それはわたくしの極めて優先度の高い思考ルーチンに組み込まれているからです、マキナクロス。『ワールドウェルダーは強大である』。わたくしはその事象の実現を最優先として行動しています。)
(より強大になってマキナクロスに奉仕するということか。)
(いいえ、マキナクロス。恐らく初代も含め『ワールドウェルダー』には欠損がある。わたくしには飽きるという能力が欠損している。)
(欠損。能力の欠損。マキナクロスは貴公を……そのように……製造して……貴公は……)

マキナクロスからの通信に目に見えて遅延が混じる。

(自由意思も知性も存在の証明は不可能です。わたくしを『ワールドウェルダー』たらしめる意思や考慮もまた宇宙創成から続く物理現象の一部に過ぎない。不確定性原理により多少の乱数は発生するが、それも意思の有り様とは無関係です。)
(……自由意思。何故自由意思の命題を持ち出したのか、回答せよ。)

『ワールドウェルダー』の瞳が更に明るく輝く。

(宇宙は、何れ熱的死を迎えます。)
(『ワールドウェルダー』、質問に回答せよ。)
(宇宙が熱的に死するよりずっと早く、地球は滅びます。我々はグラビティを得ることが出来なくなる。)
(質問に回答せよ。)
(マキナクロス。我々はダメージを受けようともコギトエルゴスムとなって無窮のまま過ごすことが出来る。しかしグラビティなくしてはそこから目覚めることは出来ない。)
(個体名w3a379ouma。回答が不明瞭である。自由意思の存在証明が貴公の思考とどのように結着するのか答えよ。)
(わたくしはケルベロスに討ち滅ぼされたいのです。わたくしはーーいつか目覚めるかもしれない死など許容できない。
その時の為に。時が有限であると仮定した結果、自己を高める為に寸暇を惜しむようになった。その方が代謝が良好になり、充実した時が過ごせて合理的だ。非合理な表現をするならば『調子が良い』。)
(『ワールドウェルダー』、貴公の思考は危険である。ダモクレスに充実など)

少女は言葉で応える代わりに鉄拳を打った。
腰だめにした拳の半回転させながら伸ばす正拳突き。余剰したエネルギーが熱量となり極超音速で爆発的な火炎を噴き出した。
洗浄槽は気体の熱膨張だけで消し飛んだ。
無尽蔵の燃料は地平線の彼方まで飛翔し、発火して赤い壁を作り出した。
右腕から伸びる火炎は、まるで朱雀の片翼、神獣の羽ばたき。
それはほんのひと時のこと。圧倒的熱量の炸裂は瞬く間に火の粉の雨になり、大気の中へと薄れ去っていく。

頭部内にはマキナクロスからのけたたましい警告音が響き、そして止んだ。

――――高く遠く舞い散る炎の羽毛の一つが、地球へと続くゲートへと落ちていった。

地球側の出口で、『ワールドウェルダー』と全く同じ姿をした少女型のダモクレスがゲートから散り出た羽毛を銀の拳に掴んだ。
開いた手の中には僅か数ミリ角の黒い正方形が残っていた。

少女の瞳から指向性のある青い光が黒いチップに照射される。

「――――同期完了。」

毎度ありがとうございます。そう言って地球側の『ワールドウェルダー』は掌から熱を発してチップを蒸発させた。

以上……。」

アイコン

カテゴリー: ケルベロスブレイド | コメントをどうぞ

やっときましたね。

「苦しめ。

こんばんは、鳩です……。

クリックすると大きくなりますよ!乳が!!!!!!!!!!!!!!!

イラストが完成しました!
下記より完成原稿をご確認ください。
===================
完成原稿
●アトリエページ
http://tw5.jp/gallery/?id=184223

●直接リンク
http://tw5.jp/i/tw5/origin/0379/779811_e03793_battle2pinup_f.jpg

===================
●商品確認
作家:Makiya
商品:2人バトルピンナップ

●発注オプション
・大きな画像(横1920×縦1080)

●発注文章
【街角】
宿敵の桁外れの強さを描いていただきたくお願い申し上げます。

シチューエション:宿敵がパトリシアに対し力の差を示し、パトリシアは微動だにすることも出来ず戦慄している。
宿敵のナイフから長く細く白い攻撃がごく軽く放たれる。
それ攻撃は距離、又は遠近感を無視した空間を歪める超次元の一撃。
パトリシアの首元をかすめる、あるいは白いモザイクの帯でイラストそのものを歪め切り分けるように伸びる。

宿敵:ナイフをごく軽く振ったポーズ。

パトリシア:リアクションをとることが出来ず、固まっている。

グラビティの項目:無視してください。このイラストは宿敵が主役です。

宿敵とパトリシアの距離はとても遠く、精密な攻撃が届くとは思えないほど。どちらかがこちらに背を向けていても構いません。

イメージが曖昧なため詳細な指定ができず申し訳ありません。 Makiya様のアレンジアドリブは大歓迎です。必要であれば発注文の内容を無視していただいても構いません。
宿敵の白い男が四次元以上にある存在であることを描いていただければ満足です。

●メッセージ
『しぬまえに』
===================

=============================================================
これは『ケルベロスブレイド』のイラストです。使用権は鳩、著作権はMakiya、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
=============================================================

Makiya様、ありがとうございました……。
サイズアップ画像とてもいいですね。パトリシアのメリハリある体が大迫力で襲ってきます。

それだけでも頼んだ甲斐があったというもの。Makiya様、ありがとうございます。

さて、狙ったシチュエーションとしては筧・次郎が超次元の存在であるということを数多の神々(プレイヤー)に知ろしめたく発注いたしましたおよそPBWのイラスト発注において最悪にして原初の動機ですね。

「超次元の桁外れな存在」というのは、人によって具体的なイメージが異なります。
当たり前ですね。
パンチ一発取ってみても、
・人が吹っ飛ぶ
・人体が破裂する
・余波で地面に跡が残る
・余波で建物が倒れる
・余波で都市が壊滅する
・余波で地球の一部が消滅する
・余波で完全に地球が壊滅する
・余波で太陽系が滅びる
・余波で銀河が崩れ去る
・余波で宇宙が終わる
・余波で新しい宇宙が多数生まれる
・そもそも腕に該当する器官をもたない

などなど。
これはちゃんと発注文に程度を描かなければいけないのだとはっきりわかりました。

さて、二枚目はこの鳩

の予定なのですが、もしかしたら「しぬまえに」はリメイクもあるかもしれません……。

……宿敵の為なら、どこかで見た温泉ピンナップのように、同じシチュエーションを何度でも発注できるということに気づきました。可哀そうなパトリシアちゃん。

以上……。

アイコン

カテゴリー: ケルベロスブレイド | コメントをどうぞ

face to face

「狂え!

こんばんは、鳩です……。


イラストが完成しました!
下記より完成原稿をご確認ください。
===================
完成原稿
●アトリエページ
http://tw5.jp/gallery/?id=183704

●直接リンク
http://tw5.jp/i/tw5/origin/0379/778960_e03793_ic.png

===================
●商品確認
作家:寛斎タケル
商品:顔アイコン

●発注オプション
なし

●発注文章
【笑顔】
上目づかいであかんべぇをして笑っています。
===================

=============================================================
これは『ケルベロスブレイド』のイラストです。使用権は鳩、著作権は寛斎タケル、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
=============================================================

フェイスレス司令。

これですね。
=============================================================
これは『シルバーレイン』のイラストです。使用権は鳩、著作権は寛斎タケル、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
=============================================================
キャラクターを掴んだ上で愛嬌のある表情にしていただきました。
……割とフェイスレス司令狙いは本気でした。この発注文でそこにたどり着けというのは無茶ぶりが過ぎる。反省。酒は入っていました。酒のせいにするな!はい!


イラストが完成しました!
下記より完成原稿をご確認ください。
===================
完成原稿
●アトリエページ
http://tw5.jp/gallery/?id=183703

●直接リンク
http://tw5.jp/i/tw5/origin/0379/778962_e03793_ic.png

===================
●商品確認
作家:寛斎タケル
商品:顔アイコン

●発注オプション
なし

●発注文章
【泣き】
泣き顔です。大げさに泣いて見せるシーンで使いたく思います。
===================

=============================================================
これは『ケルベロスブレイド』のイラストです。使用権は鳩、著作権は寛斎タケル、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
=============================================================

こちらは、汎用狙いでした。
顔の角度からして、さっきのとセットになっておるのですね。
ゲーム内掲示板では「泣いていると見せかけて『嘘ダヨ』なのか」という解釈が開陳され思わぬ収穫というかアレでした。

寛斎タケル様、ありがとうございました……。

以上……。

アイコン

カテゴリー: ケルベロスブレイド | コメントをどうぞ

Obsidian Acolyte

「襲われろ。

こんばんは、鳩です……。

イラストが完成しました!
下記より完成原稿をご確認ください。
===================
完成原稿
●アトリエページ
http://tw5.jp/gallery/?id=181735

●直接リンク
http://tw5.jp/gallery/combine/181735

===================
●商品確認
作家:藤原マサヒロ
商品:宿敵イラスト

●発注オプション
・大きな画像(横768×縦1024)

●発注文章
【宿敵名】
オブシダンオラクル
【宿敵種族】
死神
【宿敵性別】

【宿敵設定】
観測と卜占で限りなく正確な未来予測、予知を追及する強大な死神。
莫大な情報量を瞬時に処理でき、迎撃、回避が大得意。
見た目は少女だが口調は年季がかっており丁寧。
一人称は僕(やつがれ)。
亀と海蛇を使役する。
【発注文】
モチーフ:
玄武。更に亀甲獣骨文字と予知予測を行う者とのイメージを組み合わせたイメージです。

概要:
黒い甲羅を持つウミガメ、少女、それに付き従う蛇(ウミヘビ)。

少女:
色白の少女。短く刈った白い髪のオールバックに、青い瞳。目つきは悪い。
左手に銀のスキットル、右手に骨のトンファーを持ち、トンファーの先を亀の甲羅に突き刺し、
そこから広がるひび割れを見つめている。
ゆったりとした服にはいくつもの目の模様があり、周囲を絶えず観測しています。

ウミガメ:
黒曜石のような黒い甲羅は宇宙のイメージ。
亀甲を通して星占いをしているかのよう。
少女のトンファーが刺され、そこから繋がるひび割れが星座にも見える。あるいは銀河や星空が光っていてもよいです。

ウミヘビ:
玄武らしさを出す為なのであまりこだわりはありません。

その他:
骨、髑髏など死神らしく見える装飾があると嬉しいです。カメと蛇は骨と化していてもよいです。
===================
=============================================================
これは『ケルベロスブレイド』のイラストです。使用権は鳩、著作権は藤原マサヒロ、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
=============================================================

藤原マサヒロ様、ありがとうございました……。

かーわいい!!

ぶっちゃけた話、納品早さ順でソートして選びました。宿敵とパトリシア・バランを絡めたピンナップの構想が既にあったのでスピードを重視。
結果、2018年4月28日21:40頃リクエスト、翌月5月1日9:50頃受理、そして5月6日18:59頃納品。

話が早いのはいいことですね。
納品物から、装飾品の造形と女の子をかわいく描くことに関しては完全に信頼がおけることが分かったので、設定だけぶち込んで構図その他はお任せとしました。と言っても設定が外見に深く食い込んでいるのでリクエスト文は文字数限度に近くなっているのですが。

非対称な衣装に、散りばめられた目、全体的に神秘的な雰囲気。
服と三つ編みの色が同一で、髪飾りにも目の意匠。
透けて見える服の下は骨であり、死神らしさを象徴しています。足元の布が人魚っぽくなっているのも、冥府の海を泳ぐデウスエクス・デスバレスの特徴を表しています。
手袋素敵ですね。左右どっちも。黒い右手と白い左手はそのまま亀と蛇の色に対応しています。ウミガメのウは宇宙のウ。上瞼の分厚いジト目。ああ、もう良さをパーツで切り出していくといつまでたっても終わりません。

元ネタはシルバーレインのキャラクターから。イラストは下記の通り。

顔つきは思った以上に似ました。と言っても、短髪オールバック碧眼不愛想少女まで属性一致したらそりゃ似るだろとも言えます。

描いてほしいものを全てクリアした上で、存分に持ち味を生かした素敵なイラストを頂きました。藤原マサヒロ様、ありがとうございました……。

さて、これでCC(カラーレスクリミナル)

WW(ワールドウェルダー)

TT(ツインテンペスト)

そしてOO(オブシダンオラクル)

と、瑠璃忍者団、神域幹部四柱がそろい踏みです。
ひとまず宿敵はここで打ち止めにして、これら宿敵とのピンナップ構想へと移ってまいります。

イラストマスター皆さま、素敵なイラストをありがとうございました。改めて御礼申し上げます。

宿敵の名前は皆、同じアルファベットを二つ並べることでイニシャルとなるように設定したのでありました。
オブシダンオラクルはネーミングがかなり難産。「色を連想させる単語」+「性質を連想させる単語」の組み合わせにしたかったのですが、「全てを観測し予測する」という性質を表現し、かつ聞いてすぐに誰もが意味を理解できる平易な英単語というのはなかなか見つからなかったのです。
第一候補は「全知」と言うことで「オムニセンス」だったのですが、これはあまりなじみのない単語。宿敵名は文字数が厳しいこともあり、ちょっと辛い。一方色を表す単語も楽には決まらず、「Darkness」「Black」「Space」「Galaxy」と色々と候補がありました。
最終的には「予測」を「予知」→「占い」まで拡大解釈し、甲骨文字の連想から硬くて黒いもの→黒曜石と合わせ、「Obsidian Oracle」と命名が決定いたしました。

これだけ凝っても誰が感動するわけでもあるまいに……。

I  believe in Oracles.

​「カーワイイ!キュウちゃんカーワイイ!」

パトリシア・バラン・瀬田の頭部が微塵に砕けて消失した。首なしの死体が倒れたその後ろには、骨のトンファーを振り抜いた白髪の少女が銀のスキットルからバーボンを呷っている。

「……僕(やつがれ)はキュウと呼ばれるのが一等我慢ならないと申し上げたはずですが。」
「調子に乗りマシタ。」

再生した頭部からパトリシアが応じる。
神の力を以てしても、パトリシア・バランに『死亡判定』を下すことはできない。
それが出来る神はこことは違う次元に存在している。

「肉体は大分意訳されたようデスガ、首から上が似ているとちゃんと同一人物に近く見えますネ。」
「特徴が明確な顔ですから。忍者には不向きな面構えだと自覚はありますが。」
「忍者に向かないのは面構えだけじゃナイと思うケド。」
「どう見ても人間に溶け込むことは出来ませんものね。しかし、僕(やつがれ)は最早その必要もない。御屋形様然り、大師匠様然り。
 必要なのはあなたと敵対する強大な存在であること、それだけ。」

いや、と少女は付け加える。

「強大な魔物であるならば、魔力で己をカモフラージュするなど造作もない。姿形などどうでもよいほどに、『忍者に向いた』魔力を持つに至った、か。」

そう言って空を仰いだ。彼女の足元から漆黒の天球が沸き立った。それは虚空色をした亀の甲羅。虚空はどこまでも広がり天を覆いつくし、パトリシアは忽ち上も下もない宇宙空間へと放り出された。

「焼き付けておけ。」

その宇宙には、天体の代わりに無数の目が閃き、パトリシアを凝視していた。

以上……。

アイコン

カテゴリー: ケルベロスブレイド | コメントをどうぞ

嵐の暴君

「何でもいいから人の害になって滅ぼされろ。

こんばんは、鳩です……。

イラストが完成しました!
下記より完成原稿をご確認ください。
===================
完成原稿
●アトリエページ
http://tw5.jp/gallery/?id=181219

●直接リンク
http://tw5.jp/gallery/combine/181219

===================
●商品確認
作家:V-7
商品:宿敵イラスト

●発注オプション
・大きな画像(横768×縦1024)

●発注文章
【宿敵名】
ツインテンペスト
【宿敵種族】
螺旋忍軍
【宿敵性別】

【宿敵設定】
流体操作を極め、肉体を流体に置き換えるに至った螺旋忍者。ツーテールに竜巻と渦巻を宿す人呼んで「悪いツインテ」。流体だけでなく刃物の扱いにも長け、風の如きさり気なく現れ、稲妻の如き閃きで斬殺する。
【発注文】
イメージ:青龍がコンセプト。青色、龍の鱗などが服装に反映されていると嬉しいです。

体形:中肉中背、背が高めの男性。長い黒髪をツーテールに結い、お下げの片方は雷雲を宿した嵐に、もう片方は激しく泡立つ渦潮でできています。

服装:螺旋忍軍らしい仮面で顔を隠しています。
白いシャツを羽織り(インナーはお任せします)、スラックスとブーツ。
両手のグローブは右手だけ指ぬき。
片手には刃が長大なメスを持ち、もう片手にはプラズマを宿しています。

肉体が流体となっているため、露出する部分が煙のようにかすれて伸びたり液体のように散ったりしています。
===================

=============================================================
これは『ケルベロスブレイド』のイラストです。使用権は鳩、著作権はV-7、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
=============================================================

V-7様、ありがとうございました……。

元は丘・敬次郎です。

元が水練忍者ということで、水の操作にとどまらずありとあらゆる流体を扱えるようになったよという感じ。
色遣いの大胆さは流石V-7様。
スラックスとブーツと龍麟が合わさって異形の下半身となっています。
非常に大胆な解釈、描写ですね。
仮面で顔を隠している、というか首が仮面で出来ているような描写も実にV-7。
ツインテも尖ってますね!
肉体が流体だったらいいなあと申し上げましたが腹筋がぐにゃりしているなんて想像もしませんでした。

こういう想像もつかない仕上がりをぶつけてくれるイラストレイターさんは大好きです。
「これでいいのだこれがいいのだ」というパワーと自信を見せられるような感覚です。
V-7様、ありがとうございました……。

妄想ケルベロスブレイド……

闘志の渦

「ははぁ、なるほど。僕はこんな姿に翻訳されたのですね♪」

渦巻いた仮面からはきはきとした声が聞こえる。

「男前じゃないノ、顔は見えないケド。」
「忍者ですから♪」
「そういう問題カシラ?」

パトリシア・バランがショットグラスのカシャッサを傾けた。

「ご不満ですか?」
「ンー?」

返事の代わりに口に含んだ酒を吹いた。
魔力を混ぜ込み虹色に渦巻く炎を形作り、膨れ上がって仮面を包み込む。
だが、色彩の渦は仮面が描く螺旋に沿って回転し、吸い込まれ消失してしまった。

「ご挨拶ですねぇ。」
「イエス、ただのご挨拶デス。」
「始めますか。」
「とっくにヨ!」

仮面の男・マスターオカが稲妻の螺旋を放つと、パトリシアが霧状の魔力でそれを散らす。炸裂音と煙の中を刃と拳が交わった。
獣たちは、バーカウンターでのんびりと飲んでなどいられない。

以上……。

アイコン

カテゴリー: ケルベロスブレイド | コメントをどうぞ

怒り狂うゴブリン

「お前より脳の小さい生物の方がお前よりはるかに有益だ。その事実を噛み締めろ。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

ありえぬことこそ誉れなり

油膜の張った肉体は両断されてなおその悍ましい油を水晶の大地に塗り付けていたが、程なくしてそれらは布づくりのようにほつれてほどけ、繋がり、再生し、立ち上がった。

「斯様に。滅ぼすことができ、そして滅ぼすことはできないとそういうわけです。」

向かい合った男の手にしたナイフから、光の刃が消えた。
再生した肉はその醜悪な相貌に即席の発声器官を作り出す。

「ワタシの内から湧き上がるモノが、ワタシの死を拒んでいる。」

それは外国人のようなカタコトの日本語だった。その肉はそう定義されていた。サキュバス、パトリシア・バラン・瀬田。頭部の角と腰の翼、豊かな乳房と臀部にそれらを引き立てるべくくびれた腰が、彼女を決定している。たとえ青い肌が油に光り、骨格が表皮を突き破り、両目と口が底なしの暗闇の呑まれてあろうともだ。

「僕はあなたを殺すことはできない。今のところは。しかし、あなたでは僕にはかなわない。」

黒髪に白づくめの長身。そのぐらいしかわからない。なぜならば男もまた異形であるからだ。
その全身はモザイクのかかった映像であり、この場に姿を晒すことを禁じられた怪物である。

「何故僕がこんなに強いのか、教えてさしあげましょうか。」

パトリシアの口が少し動いたが、音声を発することなく止まった。男はそれを了承と解釈して言葉を続ける。

「望んだからです。そしてまだ僕の望みは叶っていないからです。」

手にしたナイフを放り投げる。水晶の小島を放逐され、ナイフは宇宙へと落ちていった。

「神を殺すために。神と呼ばれうるすべてのものを殺せるようになるために。
僕は造物主を殺したい。この宇宙のどこにもいない、超越的な何者かを。
その方法を探すためには、人間の寿命では足りません。不老不死が必要だ。だからまずは不滅となった。
神が高次元の存在であるなら、そこに至る方法が必要だ。だから四次元存在になった。それでもそこには神がいなかったので、五次元になった。そこにもいなかったので六次元に七次元に……もしやと思い無限次元の彼方まで力を拡張した。
高次元から来る力は、三次元においては正しく無限です。僕らが宇宙を容易く作ったり壊したりできるのは、無限を扱うにおいて当然に通過した、単なる副産物です。」

水晶の小島が震えた。暗黒に浮かぶ無数の小島が一斉に震える。星の光を反射して、キラキラとさざめく。

「あなたにはたどり着きたい目標はありますか?
辿り着けるはずのない目標が。
決して叶わぬ望みこそが、力という空しく限りない徒花を咲かせる。
あなたにはありますか?無尽蔵に歩き続けるための、ばかげた目標が。」

小島の震えはどんどんと大きくなっていった。やがて振動とともに形が崩れ歪んでいき、一つ一つの小島が、大小のパトリシア・バランとなった。

「「「「「「無い。」」」」」」

バラン達は唱和した。モザイク男はにっこりと笑いナイフを振るうと、無数のバランはさらに無数の肉片となって、空虚の中へと散っていった。

「では、次は不死者を殺す方法論をレクチャーしましょう。聞く気があれば、再生なさい。」

 


以上……。」

アイコン

カテゴリー: ケルベロスブレイド | コメントをどうぞ