みんなはどぅ?

「カッポジレ。そして聞けこのゴミ羊。

こんばんは、鳩です……。

 

クリックするとサイズアップ!

 

こっちはどうかな?サイズアップするかな?しないかも!

イラストが完成しました!
下記より完成原稿をご確認ください。
===================
完成原稿
●アトリエページ
http://tw5.jp/gallery/?id=178810

●直接リンク
http://tw5.jp/i/tw5/origin/0379/764796_e03793_2pinup_f.jpg

===================
●商品確認
作家:カス
商品:2人ピンナップ

●発注オプション
・大きな画像(横1920×縦1080)

●発注文章
【お店で困っている】
概要:ガレージキット即売会イベントにて、自分のフィギュアが出品されているのを見て驚愕しているパトリシア・バランと、その売り子をやっている宿敵氏のイラストです。

詳細:長机の上に、パトリシア・バランの参照画像全身図をモデルにしたフィギュアが置かれています。
売り子は宿敵。場をわきまえて、炎は出していない状態です。無表情。モブ的な扱いでも構いません。ぶちまけた話、パトリシア本人とフィギュアが確実に画面内に収まるように2人ピンナップの大きさが欲しかっただけです。
ツーテールは宿敵イラストより高い位置で結んでいます。

売り子の足元や背後にはダンボールが積まれており、思ったほど売れていない様子。
パトリシアは驚愕顔。ディフォルメギャグ顔かそうでないかはお任せします。

見た人を笑わせたい、という気持ちでお願いする内容ですので、より面白くなるアイディアがあれば遠慮なく詰め込んでください。

以上、どうぞよろしくお願いします。

●メッセージ
『マジで売ってるもんよ~!?』
===================

カス様、ありがとうございました……。

参照画像として使ったのは


です。

エロで戦うことをあきらめて、豊かな表情を生かして笑える絵を作ってもらう方向にしようという試み第一弾。

元ネタはG-ヒコロウ先生のみんなはどぅ?またワンフェスだよ まませんせいの巻で、ヒコロウ先生とREY’S先生が自分たちのフィギュアを見つけて驚いている一コマ。
分かる人には伝われ、わからなくても面白がれ、という気持ちを発注文に乗せました。
箱を積むことで売無的雰囲気も出してみましたよ。

片方だけ四白目というある意味古典的な漫画表現で驚くパトリシアは乳首もめいっぱい下に傾いています。参照画像の胸当ての素材についてはいろいろな解釈ができるのですが、カス氏は布のような柔らかい素材であると判断した模様。

中野七緒氏は硬質な素材と解釈しておりました。

重力に従わない乳なんてあるわけが無い!+布地なら支えきれずこうなる!という理屈による答えだと理解しました。両腕を上げると筋肉で引っ張られてぐっと上がってくれるのかもしれません。今度頼んでみましょう。

おフィギュアは実におフィギュアという感じ。小道具として主張しすぎず、パッと見て人形だと確実にわかる、でも造形は間違いなく精緻だともわかる描き方ですね。

そして宿敵です。

宿敵については完全に発注ミス。今見ると確かにこれ、ツーテールには見えません。
このイラストを貰った当時は発注者の贔屓目もあって後ろ側に二つに結んでいるのだな、と解釈していましたが、前提知識なしでこれを見るとストレートヘアですね。
そりゃ高い位置で結んでいますと言われても困るわな。

しかしかなり出来がいい。何だそのほほえみは!簡単な目は!髪の毛が光っていますがよく見ると所謂天使の輪じゃなくて熱されて溶けた金属のそれだ!
この金属的な輝きを見ただけでもカス氏に頼んでよかったと思います。こういう、独特勝つ魅力を放つ個性的な解釈が見たかったのですよ。

鳩は発注文を書いた立場なので驚きはありませんでしたが、このイラストをみたほかの方が楽しんでいただけたならば幸いです。今後パトリシアはこういうコントな方向でピンナップを作っていくつもりでいます。
カス様、ありがとうございました……。

先細りの収益

「シナリオの成功を妨害するプレイングについては『意味が分からない』とよく言われますが、わたくしはある程度意味は理解できてしまうのです。
しかし理解したらしたでそれはそれで無為な行いであると猶更噛み締めずには居られない。
シナリオを破壊するプレイングは、物語を大きくコントロールしてしまえるんです。戦闘員というワンオブゼムではなく、シナリオを破壊するオンリーワンに。
そして、それが意味を持つ舞台も確かに実在したのです。
わたくしどもも実は似たようなことをやったことがあります。
テロを止めろ、という依頼がありまして。
敵勢力が参列する式典にテロリストが現れる。敵の要人をぶっ殺すチャンスというのは分からなくはないが一般人に被害が出まくるし停戦の流れになった直後でもあるし今はとにかく止めてほしい、という内容でした。
いろんな人の思惑が入り乱れた中、わたくしどもが選んだ選択は、『静観』でした。
テロを止めるつもりの参加者が何組か確実に存在したので、間違いなくテロは止まると踏んだからです。事前に情報だけ共有しておけば、後は式典の警備員が勝手に頑張ってくれるのでテロ失敗は確定するのです。それに、敵の要人というのはいわば幹部です。それも大幹部。参加者全員がテロを成功させるつもりで襲い掛かっても勝てるかどうか、というレベルの強敵。だから我々の心配事は、単に一般人への被害だけだったのです。
我々自身は、もし万が一テロが成功して敵幹部が死んだなら、それはそれでいい、という考え方でもありました。
依頼の成功にも失敗にも積極的に加担しない。その結果どうなったか。
……わたくしは報告書の最後のセンテンスを頂いたのです。
……機を見た裏切りには、多大な報酬が伴う、ということでございます。

あなた方の住まうこのケルベロスブレイドの世界では、このような裏切りが極めて成功しにくい作りになっています。裏切りが実る確率は限りなく低く、合理的に考えるのであれば、もっと個人の自由な行動が許される舞台を選ぶべきだとわたくしも思います。
しかし、そのシナリオブレイカーはケルベロスブレイドを気に入ったのです。
そして、個人の自由な行動が大きく許される舞台では、個性的な行動も別の個性にかき消されるでしょう。その他いろいろ思うところもあるのでしょう。
そうした個人の中の様々なペルソナの考慮、打算がかみ合い、『ケルベロスブレイドのシナリオで仲間を裏切る』という結論に至ったわけです。
『わからない』とは、非合理を呼ぶ言葉ではない。不明瞭な合理性が存在するという不安を、『わからない』という。」
「ヘイ、ヘイヘイ!ノリノリで語ってるところ悪いケドお屋形様!?」

カタカタとよく喋る口に顔を近づけ、パトリシア・バラン・瀬田は怒りの感情を見せつける。

「お買い上げですか?」
「買いませんヨ!?」
「あなたナルシストでしょう?」
「仮にそうだとしても買いまセン!」
「こんなに作ったのに。」
「その箱全部ワタシなの?」
「売れ残ったらあなたもいやでしょう。」
「そんなに作ったらそりゃ売れ残るワヨ!」
「売れ残ることによってあなたにいやな思いをさせることができれば十分です。」
「ひっでえ!」

後日パトリシアの給料からフィギュア製作費が天引きされていたという。

「ワタシ何にも悪くナイジャナイノー!!??」

以上……。

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リアルリアリティ

「人間のクソ!

こんばんは、鳩です……。

そういえばケルベロスカードを3次元に召喚していたので貼ります。

裏。

 

表。

スレイヤーカード……?

以上……」

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完成された失敗作

「生きているお前よりお前の死体の方が役に立つ。

こんばんは鳩です……。

女性が負けるエロが好きなのです。
強気なのも嫌いではありませんが、快楽にはできれば負けてほしい。そしてそれがハッピーエンドであってほしい。
元々我が造物主はエロに関しては「性器に修正をいれる必要などなく、年齢制限もする必要がない」と主張する超超タカ派であります。
D.N.A.2で女の子のノーパンホットパンツが脱がされる寸前で助けられたシーンに対し、「自分が乱入して悪漢をひねりつぶした後女の子は裸にひん剥いてずこずこ犯す」と小学校の通学路で妄想反逆(リベンジポルノ)していたほどの本番主義者であり、書店売りエロ漫画誌のほぼ丸見えおまんこおちんぽ描写(具体的に言うと東京Hの玉置勉強氏の作品)で性器の生々しいエロさを好むようになった粘膜信奉者でもあります。
どんなにエロく感じようとも、チンポを突っ込んでおらず粘膜の描写すらない画像はエロ画像ではないとみなし、それを使って性的絶頂に達することは間違っていると考えている奴です。狂ってんな。

一方で、あるいはだからこそ、我が造物主はPBWの世界で割と露骨な性描写があると心のチンポを膨らませつつもどこかで苦い感情を覚えています。
「エロは本番をガツガツやることが真っ当に許されているエロ媒体でのみやるべき」
「エロは嫌う人がいる、自分がそれに関わって嫌われたくない」
そんな気持ちがあります。
「エロは本来は全年齢に完全無修正が公開されてしかるべき」だが、今はそうなってはいないのでせめて「全年齢という粘膜も乳首も表示されないことが保証されたぬるい土俵ではされたくない」、そういう「自分がされて嫌なことは自分でやりたくない」、そんな理屈があります。もうマジややこしいし鳩の名前でこんなもの書かせないでほしいのですがPBWに関してプレイヤーをやっているのは鳩なので鳩が言わざるを得ないのです。

何の話かと言いますと、
パトリシア・バランは失敗作だな、ということなのです。

彼女は、元々はエロ画像を発注するために作られました。
設定だの合理性だの全部うっちゃって、エロいイラストを作って自分でうはうはすること。それが彼女の存在理由でした。
その為、彼女は深刻なことを考えない人格になっています。
世界を憎みもしないし、生涯かけて叶えたい望みもない。正義感も信念もなく、ただ単に嫌われにくい明るい性格をしている、それだけの内面を持つように調整しました。

当初は明るく楽しく快活な、チチシリフトモモー!な少年誌的エロさを目指していました。ですが、他人の納品物を見て、明らかに膣に陰茎やバイブが入っているだろ!というイラストを見たとき、気づいたのです。
造物主は臆面もない猥雑さ、エロさ、性器こそ最もエロいと感じること、そして造物主自分はそもそも少年誌的な「乳首もまんこも出ないことが確定している」エロが大嫌いだったじゃないか、ということに。

しかも造物主は負けず嫌いです。女性がちんぽに負けるエロが好きだが、一方で自分の作ったキャラクターは誰にも負けさせられたくない。それに、ちんぽに負けるとはハッピーエンドであり終着点です。もしもパトリシアがチンポに負けたら、そこで彼女の物語は終わります。負け続ける物語をいくつも描き続けることは可能ですが、そんな連作を負けず嫌いの神が許すはずがありません。

パトリシア・バランはコミュニケーションツールとしては優れた出来に仕上がりましたが、エロイラストを作るという最大にして原初の目的においては全く向いていなかったのです。

気づいた時には遅い。そんな言葉を我々は噛み締めています。

彼女は、元々実験的な目的で作られました。エロイラストを作るためのキャラを運用することは我々に可能なのか?人格ではなくエロくあることそのものを軸としてキャラクターを運用することは可能なのか?

その結果は、最悪の形で出ました。「我々にはその能力はない。よって不可能である。」

目的を果たすためにはパトリシア・バランにチンポを入れる必要があります。しかしチンポを入れられてよがっているパトリシア・バランを想定することは我々には困難なのです。鳩や我が主、筧・次郎の最終目的は、3次元において勝利すること。我々を放逐したアクスディアの物語を否定し破壊し消滅させ、我々自身をアクスディアの物語から解放し、正しく死ぬことです。あるいは、我々が敵わなかった「ラスボスを倒してすべて元通りになってハッピーエンド」を迎え、味わい、溜飲を下げることです。
その目的を完全に捨て去ることができなかったのです。チンポに負ける奴は我が配下には要らない!他人に負けるなんて格好悪いことさせている暇などないのだ!

我々は今、頭を抱えています。アトリエにて露骨で猥雑で素敵なエロ画像を見るたびに、敗北感を感じている。それは誰のせいでもなく自分のせいだが、そういうイラストに対抗することは別の敗北を招くのです。

あるいは快楽に負けた姿を「只一時の姿」とする方法もあるかもしれません。
しかし彼女には、敗北から戻ってくる場所がないのです。

彼女の人格は、ガワしかありません。明るく表情豊かでバトルジャンキー。その性格を作り出した根っこの部分がない。敢えてそう作ったのだ、ただの着せ替え人形にするために。人格ではなくエロを軸にキャラクターを作るために。

造物主はいつぞや別の造物主との会話でこのように言いました。
「人格でブレることをブレるとは言わないのがエロキャラなんでしょうね。そこはそもそも背骨じゃない。」と。そして、人格を背骨にしないキャラとしてパトリシア作ったつもりだったのだが、その目的は結局果たせていない。

いや、「目的を果たさなければならない」などと理屈で考えている時点で既に袋小路に陥っている。誰に嫌われようと、芯がないように見えようと、レベルを高く維持できなかろうと、そんなことは二の次三の次でパトリシアにちんぽをぶち込むことを考えなければいけなかった。やるべきことを彼女が生まれてから一度もやっていない。

それでいて彼女は非常に動かしやすく心地いい性格をしています。彼女は完成度が高い。そしてそんな彼女を失敗作に貶めているのは、偏に造物主と我らの性根なのだ。

悪いのは我々です。ですが、何が正しいのか、答えが出ていません……。

以上……。」

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消耗品に注ぐ程度の愛情

「喋るな。言語が汚れる。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

軽蔑的な寛容

​「拳を振り切ったポーズをとってください。そう、イメージして。理想的なフックが命中して、打ち切った時点のポーズです。
では、自然な姿勢に戻ってください。
そこから、もう一度先ほどの振り切ったポーズをとってください。ポーズだけで結構です。
はい。自然な姿勢に戻して。振り切ったポーズをとって。
では、これから手拍子をします。それに合わせて、自然な姿勢と振り切ったフォームを交互にとってください。行きますよ?
一回一回しっかりポーズをとってください。そう、そうです。足も拳も、打ち切った後の理想の姿勢を忘れないで。……だんだん早くしますよ。
……オーケー、やめ。フォームが崩れてきましたね。
このリズムが、あなたの肉体で出来る最速のフックです。そのテンポ、その早さを忘れないでください。
最後に、自然な姿勢に戻して。さっきのテンポで、今度はポーズではなく腰を回してきちんとフックを打ち切ってください。……そう。それがあなたの一拍子のフックです。」

筧・小鳩はにっこりと笑うと、道場の弟子たちを見回した。

「皆さんも、自分の一拍子を把握してみてください。相手の挙動に自分の一拍子で間に合うかどうか、考えてみてください。間に合うならば先に攻撃を当てることができますし、相手の方が早いのなら防御するか虚をつくかする必要があります。
自分の能力は大事な物差しです。どれだけの力で殴れるか、蹴れるか。どれだけの速さでそれができるか。わかっているつもりでも、時々意識してください。
できないことをやろうとしたりできることをやらなかったりするのは、危険なことです。」

弟子たちが一斉に頷くのを見て、小鳩は満足そうに目を細める。

「では、各自稽古を続けてください。ご清聴ありがとうございました。」

その声に弟子たちは一礼し、銘々自己の鍛錬の続きを始める。
ある者は空手の型稽古、ある者はシャドウボクシング、ある者は中国拳法、またある者はクラブ・マガの組手と、弟子たちの動きはてんでバラバラだった。小鳩はその中を横切り道場を出ていく。

「精が出ますネ、お屋形様♪」

外では褐色肌のメスのサキュバスが手を振っていた。小鳩は銀の腕を軽く上げて応じる。

「そちらこそ、こんな山奥に毎度いらっしゃって、ご苦労様です。」
「アナタが来いって言うカラデショー?」

片言の日本語を話しながら、サキュバスは小鳩に並んで歩きだす。背丈相応に歩幅の小さい小鳩に合わせて、幾分ゆっくりとしたペースで。

「一拍子ネー。ワタシもよく言われたワ。でもフックを一拍子で打てはドウなんでしょうカ?」
「適当に言いましたからね。」
「適当ナノ?!」

サキュバスが身をかがめて小鳩の顔を覗き込んだ。翡翠色の瞳に、小鳩はまっすぐ自分の青い瞳を向け返す。

「一拍子で出来ないパンチはテレフォンパンチですから。」

小鳩がぐっ、ぐっと肩をいからせ、パンチの前のモーションをやって見せる。

「ボクサーの世界では、これがフェイントとして機能するのは知っています。
しかしフェイントとして成立するということは、このモーションを見て相手は何らかの反応が出来るということですよね。通常のパンチを打つときも同じように、相手は反応出来る。その程度の早さでしかないということです。
そう考えたのでああ教えたのですけど。」
「お屋形様がそうおっしゃられるのでアレバ。」
「でも今にして思えば、一拍子分溜めて打つことにも合理性はあるかもしれません。溜めることでガードの上から効かせられるなら反応されてもリターンはある。ワンツーのツーなら一拍子分の隙も消える訳で。そうですね、次回にはそういう話をしましょう。」
「大変ダワ、アナタの気まぐれに付き合わされるニンジャのカタガタは。」
「わたくしもまた、日々勉強です。」

小鳩が石畳に沿って進路を変えると、サキュバスの女も続く。その先には大きな門戸が見え、里で一番大きい屋敷へと繋がっている。

「イキアタリバッタリの間違いデショ?」
「大きな口を叩くようになりましたねバラン。まあおっしゃる通りです。
彼らに大して期待もしていませんし、正面から殴り合うような仕事を割り当てるつもりもありません。
五分の勝負など、忍びの仕事ではない。」
「『五分の勝負は五分負けている』デスカ。マスターオカにもよく言われマシタ。」
「ジムに陸上競技者を連れて行ったところ、ジムの格闘家が軒並み倒されてしまったという逸話を聞いたことがあります。剛よく柔を断つ、と言えば聞こえはいいかもしれませんが、要するに膂力は技術に勝り得る訳です。
増してや、わたくしやあなたのような異能の者にとって、力の差は絶対の基準です。膂力や魔力の差は、鍛えれば追いつけるとか技量で埋められるとかそんな僅かなものではない。虫けらと恐竜ほどに差がつくのもザラだ。」
「なら何故鍛えてあげてるんデス?」
「虫けらなりの努力は、いじらしいものです。」

バランの眉がぴくぴくと動いた。眉間に入る力を意識して抑え込んでいる。三十台を迎えた肌にこれ以上無駄な皺が刻まれないように。

「虫ケラ、ネ。」
「勿論あなたは特別ですよ?ちゃんと異能者として対等に扱っているつもりです。」
「よく言うワ。ワタシが何度あなたにぶちのめされてると思ってるノ?」
「あなたにはそれが必要な鍛錬なのですから、仕方ありません。」

小鳩の声は悪びれない。

「正面切って相手をしてあげているのも、それが必要だからです。
ケルベロスとデウスエクスの戦いにおいて、不意打ちなど期待できない。そして、喉を切ろうが心臓を打とうが脳を砕こうが、死ぬとは限らない。
一撃で殺し切れる保障がなく、背後を取ろうとしても第六感とか何とか言われて無効化されるのなら、殺す手段は格闘術しかなくなる。
あなたの格闘能力を鍛えるのは、必要なことです。」
「ぶちのめされたくない、と言ってるんですケド。」
「おかげで、デウスエクスとの戦闘の際には怯まなくなったでしょう?わたくしと立ち会い、打ち倒され、起き上がった経験がある。暴力に直面しても面喰らって動けなくなることはなくなったはずだ。」

今度は小鳩がバランへと首を向けた。バランは睨み返すが、小鳩は動じない。

「これは先ほどの忍者たちにも言えることですね。暴力に慣れていれば、いざ襲われても慌てない。ぶちまけたことを言えば、彼らに武術を教えている理由はそれがすべてです。暴力に慣れさせる。殴られても立ち向かえるのだと覚えこませる。それ以上には期待していない。」

憮然とした表情に、小鳩は満足げに笑った。
二人は門を潜り、玄関へと辿り着く。バランが先に立ち戸を開けて頭を下げると、小鳩はその横を通って屋敷へと入った。

「では、茶菓子でも食いながら報告を聞かせてもらうとしましょう。」
「お言葉デスガお屋形様、お屋形様はワタシの動向も世間の様子も、全部ご存知のハズでは?」
「わたくしに小まめに報告に来てくれるか、報告内容に間違いがないか。それが肝要です。それ以上のことは、あなたには期待していません。」

顔面を殴りつけてやろうかと思ったが、小鳩の一拍子が自分よりはるかに早いことを思い返し、すんでのところで思いとどまった。おかげで顔の皺が少し深くなるだけで済んだ。

 

以上……。」

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水刃手裏剣

「お前は今すぐ死んだ方がいいがお前の肉体を焼くことになる火葬場があまりにも可哀そうだから悩ましいな。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

誰も殺せない殺人鬼

​回転する水の刃が見えた瞬間、意識は肉体ごと左右に断割された。
パトリシア・バランの生死は丘・敬次郎には決定できないから、彼女の肉体は速やかに修復される。

「憂さ晴らしに殺すのはやめてクレマスカ?」
「死なないでしょ?」

うんざりそうなパトリシアに目線も向けず、丘もつまらなそうに応えた。

「死ななくても死ぬほど痛いンデス。」
「防げないあなたが悪いんです。」

そっけない声。丘の不服そうな顔は晴れない。

「……ワタシ何か機嫌を損ねること、シマシタ?」
「別にぃ?」

殺したくても殺せない。その権利がない。資格がない。力がない。
それは別に、パトリシアのせいではない。

「でも、機嫌が悪いのは確かです。」
「どうしろっテノ!」
「どうもしなくてよろしい。」

ただ、僕の苛立ちに付き合える程度には頑丈であれよ!

 

以上……。」

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わたしのためだけの英雄譚

「握りつぶされろ!

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

ホットスタート一時停止

​「おめでとうございます。
「オメデトウ、ゴザイマス?」

掲げられるワイングラスに、パトリシア・バランは自分のグラスを合わせる。

「快挙ですよ。僅かなりとも物語に関わり合うことができた。喜ばしいことです。」
「それは……ワタシにとって?それともアナタにとって?」

男はにんまりと笑うと、グラスを傾ける。

「勿論、お互いにとって♪」

パトリシアは浮かない顔でグラスの中身を飲み干すと、バーテンにお代わりを要求して盛り合わせのチーズを一つ口に頬張った。

「是非、きっちりと打ち倒して来てください。ハッピーエンドを、僕に。」
「アナタの為に戦う訳じゃないワ、マスターカケイ。」
「それでもです。悪党として打ち倒されることは、僕らの宿願だった。」
「メンドクサイ人ダワ。」

二杯目のワインを半分ほど飲み、チーズをもう一つかじる。

「そもそも、アレはアナタなの?」
「ええ、アレも僕です。アレも僕も、まぎれもなく『筧・次郎』。」
「アレを倒してもあなたを倒したコトにはならないのよネ、イヤ、ナルのカナ?」
「なりますともなりますとも♪筧次郎を倒せば筧次郎を倒せる。実に簡単です♪」
「ンンー?」
「よその例え話を拝借しますと……。
水面に手を突っ込みます。水中の魚からは、五つ首の化け物に見える。
もう一方の手を突っ込むと、2体現れたように見える。
だが、それにつながる本体は一人の人間。まあそんな感じです。」
「ナァニ、じゃあワタシはお魚?気に食わないのダワ。」
「そう捨てたもんじゃありませんよ?
だいたい、あなたは今まさに『僕』に襲われているはずでしょう?
……じゃあ、今ここで僕と飲んでいるあなたは、一体どこの誰なんでしょうね?」

パトリシアがハッと男の方を振り向く。
オールバックの短い髪、東洋人の肌。にこやかにほほ笑む唇。白いジャケットに白いシャツ。はっきりと見える。モザイクに隠れなどせずに。
細められた茶色い瞳の中に映るパトリシア自身の姿もくっきりと。
それは青く赤く光り、うねりうごく怪物で――――



http://tw5.jp/adventure/opening/?scenario_id=16187

●カラーレスクリミナル
早朝。
なんとなく目が覚めてしまったパトリシア・バラン(ヴァンプ不撓・e03793)は、二度寝するのもどうかと思い、早朝ランニングにでることにした。
その豊満なバストを揺らしながら、人の少ない都市を走る。
少し行けば、大きな公園があったはずだ。息を弾ませ爽やかな朝の匂いを満喫する。
「ん~~、結構走ったネ」
公園につくとベンチで一休み。朝露に濡れたベンチが少し冷たいけれど、熱を持った身体にはひんやりと気持ち良かった。
「折角の早起きデス。今日は一日楽しまないとソンデスネ」
声にだしながら、今日の予定を考えるパトリシア。やりたい事は色々あった。
そこで、ふと気づく。
早朝とはいえ、人気がなさすぎる。この公園は早朝ランニングや犬の散歩をする一般人がよく利用する場所だ。こんなにも人が少ないことは珍しい。
どこか違和感を感じながら、ベンチから立とうとしたとき、その違和感は危機感となって全身を駆け巡った。
直感とも言える感覚で『何か』を回避しようと地面に転がるパトリシア。振り向きながら背後を見れば、そこにその男(?)は居た。
「おや、逃げられてしまった」
明るい声色で話す白ずくめの男。チラチラとモザイクが動く。
「――アナタは」
首筋から流れる血を気にもとめずに、パトリシアは口を開く。全身がモザイクに覆われた白ずくめの夢喰い。カラーレスクリミナル――その名にパトリシアには覚えがあった。
「殺気だった目だ。怖い怖い」
どこか笑うように言う男――夢喰いはその優しさ溢れる顔をパトリシアに向け慈愛に満ちた表情で冷たく言い放った。
「さぁ、覚悟を決めて。私の為に死んで貰おうか」
「冗談はホドホドにデース。誰がアンタの為に死ぬデスカ」
逃げられないことはわかっていた。ならば、少しでも時間を稼いで救援を待つ。
覚悟を決めたパトリシアが構える。それを見て夢喰いが笑う。
「ふふふ、せいぜい無駄に足掻いて見せるんだね――ではいくよ?」
無色の殺意が広がると同時、夢喰いがパトリシアに襲いかかった――。

以上……。」

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神の力

「気体になって消え失せろ。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

スクリーン破り

 粒子と粒子の間の遍く虚無に神はおわすと聞いた。
神は観測できないものであり、観測できない全てのものは神である。
ある時代には災厄が神の仕業と呼ばれ、恵みは神の御業と伝えられた。
あるいは出会いが神の御心とされ、不幸は神の試練とされた。

 今は。

「あなたには憎しみがありますか?」

 目の前の、動くモザイク模様が最も身近な神の顕現である。
 パトリシア・バランの前に立つこの不定形は、背の高い東洋人男性に見えた。白いシャツの上に白いコート、白いスラックスに白い靴。その全身が荒いモザイクで隠されている。
 それが、口と思われる部位をチカチカとさせながら話しかけてくる。

「どうなんです?パラン。」
「……特には、ゴザイマセン。」

片言交じりの日本語で応じる。この男----恐らくは男----は、パトリシアの所属する忍者の里の外部顧問として忍術の師範を務めている。パトリシアの師匠のさらに師匠、里長を里長たるまでに鍛え上げた人物であり、この忍者団の技術系統では最上位にあたる。

「あなたは直情径行だから、そうなのかもしれませんね。」

モザイクが小首を傾げた----ように見えた。

「憎しみとは、理屈が作り出すものですから。」

ワタシは理屈が通じない女と言いたいの?という言葉を言いかけて飲み込む。事実その通りだからだ。理屈ではわかっても敢えて感情に従って生きてきた。

「晴らせない怒りや悲しみを感じた時、人の脳はどうにかしてこれを解消しようと手段を探ります。そして、原因を排除すればよいと思いつく。
元を断てばこの不快は消え去る。
そうした思考回路は、人に特有なものです。
人は、理解するという爽快感や解放感を強く本能に刻んでいる生き物だ。だから憎む。理不尽を理解し、分析しようと試み、そして、原因を排除したいと思う。思うことから逃れられない。」

パトリシアが眉を顰める。

「ホントに?動物だってカタキを憎むンジャナイの?」
「多少はね。だがそれは怒りの衝動の範疇です。人ほど長くは持続しない。悲しみを思い出し怒りを思い出し、その度に憎悪を凝り固めていくのは動物では不可能です。それに、動物はそのような衝動をその場で発散してしまえる。だが人には住まいがあり生活があり法律がある。手当たり次第に物をぶっ壊したり仇のもとに駆け込んでぶっ殺したりは出来ない。ため込むほかない。」
「フーン?」

パトリシアは興味なさげにミュールのつま先で地面をつついた。

「そのために宗教の教えがあったり、我々のようなものに仕事があったりするわけですなあ。
宗教は憎むな許せといい、我々は憎しみの代理人として報復を実行する。
どっちも心安らかにする以上の意味はありません。」
「それが一番大事なんじゃナイノ。」
「流石直情径行。あなたはやはり僕らの跡継ぎにはなれませんね。」

モザイクに包まれた顔が朗らかに笑ったような気がした。

「あなたには憎しみがない。僕らの系譜とは異なる軸に生きている。」
「誉め言葉と受け取ってオキマス。」
「憎まないという点では、あなたは神に近いのかもしれません。」
「ワタシが?」
「本来、神に憎しみはありませんから。」
「……ソウナノ?」
「神の怒りに持続性はありません。
しかし、人の怒りは持続する。人は先延ばしにする生き物なんです。とりあえず今を生きなければいけないし、先延ばしにし続けていればいずれ自分の寿命が尽きる。負債が膨らんでも逃げ切れる。
神はそうはいかない。永遠に生きる限り、いつか必ず負債を支払う時が来る。先延ばしにして利子を膨らませるのは全く不合理です。
永遠を生きる者にとって、今と未来に区別はないのです。
だから神々は、定命の者の刹那的な行いを、その合理性を理解した上で軽蔑する。
実はそれは嫉妬です。死が救済となるのが疎ましく、羨ましい。」
「ワタシにだって憎い気持ちぐらいアリマス。」
「でも憎しみがなくたって生きていけるのでしょう?」

僕らはそれなしには、二本の足で立つことさえできない♪
歌うように軽やかに、モザイクは言葉を口にした。

「……師匠ハ、何が憎いノ?」
「世の中全て♪」
「ウワーオ。」

パトリシアが大仰に肩を竦めて見せる。応じてモザイクはケラケラと笑った。

「馬鹿らしいでしょう?でもそれが事実です。僕だけじゃない。僕から始まった眷属どもは皆、世界の在り方を憎んでいる。あーー、皆じゃあないな。でも少なくともあなたが師匠と呼んでいる里の連中は、なにがしかこの世の有り様そのものを憎んでいる奴らばかりですよ。
世界の在り方というか、世界を作った奴というか。」
「政治家トカ?」
「そういうのではありませんね。もっとこう……神のような。」
「ワーオ。」
「ふふ、説明が難しいんですよねえ、増してやあなたには僕らと同じような憎悪はない。
わかってもらえるように話をする自信がありません。」
「ワタシも神は憎いケド。あなたのヨウナ。」

上目遣いで睨む翡翠色の瞳は、モザイク顔の眼球らしき部分を捉えている。

「確かに、『ここでは』僕もまた永遠を生きるものではありますね。残念ながら神としては失格もいいところですが。不合理にも憎しみという負債を背負い続けていますから。」
「イインジャナイノ不合理デモ。神サマは不合理なものデース。」
「はははは、これは一本取られました♪」

神とは、理不尽に付けられる名である。時代とともに理合いに落とし込まれ、殺され続ける。
それでもなお、不合理を感じる人の心のある限り、神は変幻し不滅である。

以上……。」

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愛で救いたもう

「お前の親が可哀そうだ。

こんばんは鳩です……。

……妄想……。

誰が人間に敵うものか

​新たな天体が宇宙に刻まれるのを呆然と見ていた。月より二回りほど大きい光の円は実際のところ円柱形で、少し横からのぞき込むと地上から彼方まで伸びているのが分かる。

「たまには虫干しをしなければいけませんから♪技術も力も。」

丘・敬次郎が手首を捻るしぐさをすると、光の柱は細まり消え去った。丘は笑っていたが、表情に照れが混じっているのをパトリシア・バランは見逃さなかった。

「お見事な手際でゴザイマシタ。」
「ありがとうございます、が世辞は要りません。」

哀れにも光粒子へと分解されてしまった標的にパトリシアは多少の同情をした。だがほんの少しだ。マスター・オカの逆鱗をなでる言葉をそいつは口にしてしまった。望んで踏んだ地雷でなかったという点においては十分に理解する。

「ヒールをお願いできますか?」
「できなくはアリマセンが、これはガッツリ消滅させた方がいいのでは?」

ヒールグラビティによる物体の修復は、幻想が混じりこむ故に完全に元通りには出来ず証拠の隠滅には向かない。ビルの上半分が一夜で幻想建築に置き換わったなら、何かがあったことはすぐに知れる。

「それもそうですね。丸ごと整地してしまいましょう。」

丘を中心に風が渦巻き始めたのを見て、パトリシアは跳び退った。そのまま羽を広げて飛び、近くの建物の屋上に降りる。
丘の巻き起こす竜巻はしかし何の音も立てないままビルを風化させていく。そして液体気体となった成分を次々と宇宙へと放逐していく。
丘は流体支配のエキスパートだ。気圧を利用して物体を砕き液化し気化しプラズマ化させるなど朝飯前。それに伴う音響も気体操作で隠滅できる。先ほど発生した光の柱も、単にそれを高速で行ったに過ぎない。
丘の立つビルディングは音もなく崩れ去って塵となる。さらに細かく分解され、強制的に原子の結合を解かれ気体になる。体積の爆発的増加は上方へと偏向され、そしてその爆発音も外へは漏れることがない。
程なくしてビルは消滅し、更地だけが残った。

「じゃあ行きましょうか!」

パトリシアを振り返り丘が言う。

「ハアイ。」

返事をして、屋上から飛び降り翼で滑空して、丘の足元へ。

「オツカレサマデシタ。」

心にもない労いを口にしつつ、パトリシアは思い起こす。
アレさえ言わなければ、もっと尊厳の残存する死に方もできたろうに。

『お前も不死者ならわかるだろう。人間に配慮する必要などない。力で支配すればいい。我々には出来る。』
『人間同士ですら力を巡って争っていた。彼らに我々を非難する資格など、そもそもありはしない。』

「人間が暴力を忌避するのは、それがよくないことだと学んでいるからです。数千年の文化文明の歩みを経て、暴力が非合理だと答えを得て、今も平和を望んで歩み続けている。
お前にそれをどうこう言う権利があるのか。その『人間如き』が持つグラビティチェインを啜って生きて、人間の作ったインフラを利用して溶け込んで生きている癖に、敬意も持たないとは何事だ。僕と同じ悪党風情が真面目に生きている者を馬鹿にするな。謙虚さもなく自虐もしない奴が僕は嫌いだ。大嫌いだ。僕でさえ出来ていることを出来ない奴は僕以下だ。僕以下の奴などクズでしかない!クズ未満だ!!消えろ!!!」

劃して、丘が天球に穴を空けるに至る。
不死者『デウスエクス』は過剰なダメージを受けるとコギトエルゴスムと呼ばれる破壊不能の宝玉に姿を変えるが、あれほどの光の奔流に飲まれては最早復活の目は無いであろう。死ぬことも出来ず生きているとも言えない姿で宇宙を当て所もなく彷徨うほかはない。
そも、物語(シルバーレイン)を超えてこちら(ケルベロスブレイド)にやってきた丘・敬次郎が放った怒りが時空を超えないわけがあろうか。かのデウスエクスは他の物語の時空に叩き込まれ、『デウスエクスなどいない』世界に送り込まれたに違いない。彼のデウスエクスはコギトエルゴスムになるどころか存在することすら許されず消滅してしまったやもしれぬ。

「そちらこそ♪」

笑顔で丘が振り返る。いつも通りの憎たらしい顔。

「おかげで、ワタシの出番がなくなりマシタ。」

嫌味たらしく言ったつもりだが、忍者の出番など無い方がよろしいと軽く流され、パトリシアは肩を竦めた。

以上……。」

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拳では足りない

「苦しんで死ね。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

初めはみんなまがい物

​確かな手ごたえに痺れるような喜び。龍と化した丘・敬次郎を殴り飛ばしたばかりの左拳を突き出し、パトリシア・バランはとびかかる。力強く、しかし慎重に。師の思いもよらぬ反撃を食らわぬように。


敵性不死存在『デウスエクス』が地球に残した侵略の爪痕には、単なる荒廃では済まないものもある。『地球の傷』と呼ばれているそれは、残霊という病原体が蔓延る膿疱となり、地を深く穿つダンジョンとなる。
そうして出来たダンジョンにはケルベロスが多数派遣され、残霊とデウスエクスの駆除による傷の治癒が行われている。


パトリシアと丘が戦っている場所もまたそうしたダンジョンのひとつであった。
地球自身の治癒力の賜物なのか、『地球の傷』は多少の物理的な破損では揺らがない。誰がいつ入り込んでも同じ構造をしており、同じ場所に同じ残霊が現れ、過去の誰かが戦った痕跡は残っていない。
これは『地球の傷』が単なる物理的な場所ではなく、地球の精神的外傷の表象とでもいうべき現象であることを表しているのかもしれない。
ともかく、ここではどのように振る舞おうとそれを他人に知られることはない。
ならば修練にはうってつけだと、丘はパトリシアを連れ出してそこへ向かったのだ。

パトリシアが構える。右の金籠手を前に出し、手は軽く開いて指先を前に向ける。左の銀籠手は左頬の横に置く。
丘は特製のメスを袖から抜き出し、右手に持つ。両手を下げて足は肩幅に開いてただ直立。
三度呼吸をした後、パトリシアが踏み出す。互いに力量は熟知している。様子見など必要ない。どちらが『挑む』のかとなれば、当然パトリシアだ。
金籠手が間合いに入ると同時、メスが閃いた。
手首を狙った斬閃はしかし蛇のようにしなる金の右手に絡め捕られる。

「おっ。」

金の大蛇が跳ね上げた手から、メスが高く宙に飛ぶ。丘の驚く顔目掛け、引き絞った銀の左拳を放つ。空気の弾ける音。

「強くなりましたねぇ♪」

左掌が拳を防いでいた。弾かれた右手を丘はそのまま手刀に変えて振り下ろす。左拳を引き切断を回避。間合いの空ける為右アッパーを放つが丘の踏み込みが早い。突き上げるような貫き手がパトリシアの喉に深々と刺さった。

「……ッ!!」

声にならない苦悶を叫んでたたらを踏みながら下がるパトリシアに丘はたやすく追いつく。
右の鉄槌打ちは左の銀籠手でガード、続く左の鉤突きも右の金籠手で抑える。互いに両手がふさがる。足元に気配を察知したパトリシアは蹴りを警戒するが、下げた視線は黒い何かに薙ぎ打たれた。

「イタァッ!」

それは髪の房であった。二つ結びにした丘の黒髪が、首の捻りによって目潰しとなって打たれたのだ。

「昔、僕がやられた手です♪」

両手をふさいだ上で脚の僅かな動きによるフェイント。意識を下に向けさせて放たれた奇襲はこの上ない威力を発揮した。
パトリシアがステップバックするも、盲目の後退と刮目の前進では比較にならない。股間への蹴り。丘のブーツの脛が恥部に深々と食い込む。尻に引っ掛けた蹴り足で痛みにうつむくパトリシアをひきつけ、つんのめった顔面を順突きで貫く。
首は限界まで後ろに倒れ、背が傾く。それでも足りず、吹き飛ぶ首に引きずられるようにパトリシアの体が跳んだ。背中を地に擦り、転がり。やがて俯せに倒れ、止まる。
丘は残心の姿勢を崩さず、その様を見つめていた。

「随分優しいジャナイ……。」

伏したままの顔から震える声が聞こえる。

「本当に強くなりましたね♪」

その称賛は恐らく本心だろう。ダウンした相手に油断なく残心を構えていたのがその証左だ。
しかし本心であればこそ、それは彼女を心から見くびっているとも言える。
褒めるということは、褒める余裕がある程度の相手でしかないという意味でもある。
残心こそすれダウンしたパトリシアに追い打ちをかけてはない。
そもそも股間蹴りからのコンビネーションが只の拳ということ自体、殺す気ではない、本気ではないということを示していた。
手合わせなのだからそれが当然ではあるのだが、朦朧としているパトリシアにそのようなことを勘案する理性は無い。
散々殺し合いを仕込んでおいて、強くなったと褒めておいて、必中の機会に放たれたのは只の拳。魔法でも斬撃でもない。打たれたのは顔面。首でも心臓でもない。いっそまだまだ弱いと罵ってくれたなら。何より褒められる程度の弱さでしかない自分が、それを納得できるほど力の差のある自分のことが、腹立たしくて堪らない!
銀の拳を地に振り下ろす。

「!」

丘が身体を流体化させ警戒する。打ち下ろされた拳を中心に地が割れた。亀裂は壁面を伝い天井を走り、ダンジョンを丸ごと引き裂く。裂け目から白い光が一斉に吹き出し、霧となって漂う丘の身を刺した。
崩れ落ちた瓦礫の上にパトリシアが立つ。徐に。先ほど大地を叩いた銀の籠手からは、黒い液体と白い光が染み出し溢れている。
プラズマと気体の混合物となった丘が、大気に放電音を鳴らしながら彼女の眼を見据えた。

「頼りますか。それに。」

丘の声には少なからぬ不満の色が混じっていた。

「イケない?」

返事をするパトリシアは酷薄な笑みを浮かべている。口からは白煙が吹き出し、彼女の体内を何かが熱しているのがわかった。

「御屋形様の銀籠手……まだあなたが使うには早い。」
「ハッ!!」

差し出した銀の掌から、光の槍と闇の触手が奔り出した。丘は風と雷の塊となり飛び回るが、それでも尚避けられない。その身を雷霆と化して心臓を貫かんとする丘を、しかし銀籠手は受け止めた。

「やっと必死にナッテくれたワネ♪」
「使い方を教えたつもりはありませんよ。」
「あなたを倒せるならそれが正解ヨ、マスターオカ。」

受け止めたプラズマ流体に右の金籠手でアッパーを突き込む。だが手ごたえはなく、あえなく右手は感電して焼けた。

「それを使わずに勝てないようでは未熟の誹りは免れません。」
「負け惜シミ?」

丘の気圧の刃が届くより早く、銀掌に握った丘の体へ直接光を打ち込んだ。丘は身を削られつつも頭部への雷撃を置き土産に掌握から逃れる。

「あなたの身が持たない。」

悲しげな丘の声が木霊する。
銀籠手から湧き出す白と黒はパトリシア自身の身も侵している。既に左腕は肩までが黒白のうねりに染まり、全身は魔力のオーバードーズで霞んでいる。
銀籠手に溶かし込まれた『御屋形様』の一部が、この世をこの世ならざるものへと置き換えていく。パトリシアそのものが、あるはずのない夢幻に変わっていく。神域へと消し去っていく。

「あなたが言ったノヨ、不可能を塗り替えろッテ。そういう魔法が必要だッテ。」

脈打つような声で、パトリシアが言う。
神や悪魔を目で見ることは出来ない。もしそんなものが見えたとしたらそれは幻だ。幻覚だ。
神魔は幻の中にしかいない。現実ではない場所にしか。
この世ならざる者に届くためには、幻に溶けていくのは必然。

「その籠手前提の戦い方はお勧めしません。決して。
 何故なら、あなたの強さに上限が設けられてしまう。その籠手があなたの最上の攻撃である限り、その籠手以上の強さには決してなれない。それでは僕を倒すことはできない。」
「それがドウシタ?」

パトリシアの瞳が爛々と輝き、そして底知れない暗黒へと変わってゆく。角が伸び、皮膚が変色し、服が溶け落ちる。『違う存在』になる代わりに、霞みゆく姿ははっきりとしたものになった。

「今のワタシにはコレを使うのが最上の攻撃デス。コレで足りなくなったなら捨てればイイ。
 マスターオカ、稽古をつけてくれるワヨネ?」

光と闇が編み込まれ、巨大な銀の腕の形を為す。振り下ろされる巨神の拳に、丘はプラズマの刃を振り抜いた。

「正解です♪」

不肖の弟子の成長を確認し、丘も流体の龍へと姿を変えた。
ようこそ神域へ。未熟者。
ダンジョンは最早形もない。『地球の傷』は残霊を根絶され、強制的に治癒された。
後は彼らの激突そのものが新たな傷とならないよう、祈るばかり。

以上……。」

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正しくあることの代えがたい安心感

「お前に由来する物質やエネルギーを保持し続けなければならない物理法則がかわいそうだ。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

楽しいお仕事

「いいんじゃないですか。正義の味方のふりで。」

丘・敬次郎は意外にも朗らかな笑みで弟子を肯定した。
パトリシア・バラン・瀬田は目を見開いて彼の顔を見返した。

「それがあなたの望みならば♪」

浮かび上がった湯気が、師匠の笑顔をまるで美しいものであるかのように演出したので、パトリシアは手にした湯呑みを急いで口に運んだ。
日本に来てから早数年、グリーンティーの風味にもおいしさを感じられるようになってきた。

「ソウ、ですか。」
「そうですとも。」

パトリシアは視線を落とし、丘は中庭に顔を向ける。

「僕の弟子が言っていました。悪党は生き様で、正義の味方は仕事だって。
生意気なことを言いやがってと初めは思いましたが、自分を思い返すと笑えるほどその通りなんです。」

パトリシアが顔を向けると、丘は自分の茶を一口啜っていた。

「どれだけ女の子をさらっても、バラしても、捨てても。
僕は『ゴーストを退治する能力者』でしかなかった。
あなたの知る悪党としての丘・敬次郎はどこにも認められなかった。」

もう一口、湯呑に口づける。湯気がたなびいて丘の顔を撫ぜた。遠くを眺める瞳は白い煙の中に揺らいで朧気に見える。

「僕は、正義の味方でありたいなんて望んでない。
でも、正義の味方でない能力者なんてありえなかったんです。
僕は大御神が許可しない限り死ねない。しかし、生きているともとても言えない。
……あなたは?」

細い目が、パトリシアを射すくめる。
眉間に寄せられた皺はしかし、不満や不服というよりも単に疲れと老いが刻んだようにパトリシアには見えた。

「ワタシもそうデス。
ワタシのジョブは、きっとGodには認められないデショウ。
でも、ワタシは生きている。人を殺している。ケルベロスであることに関わりなく、ワタシは悪党デス。
その弟子のヒト?の言う通り、ワタシの生き様は悪党デス。正義の味方は、結果的にそうであるというダケ。
でも、正義のために両親の呵責なく敵を叩き潰すのハ、とても楽しい。」

クスクスと丘が笑った。

「僕もあなたのように単純であれたならよかったのに♪」
「バカにしましたネ?そういうのワカルンですからネ、マスターオカ。」
「ええバカにしましたともバカだと思いましたよバーカバーカ♪」
「ぶっ飛ばすワヨお師匠サマ、何の意味もないケド。」
「ええ、どうぞおやりなさい、誰も認めてはくれませんけど。」

我戦うゆえに我あり。

戦うとは、勝利を求めることではない。
戦うとは、敗北を覚悟することではない。
戦うとは、抗うということだ。
戦うとは、ただではすまさないということだ。

たとえ誰も見ていなくとも。たとえ如何なる歴史に刻まれることがなくとも。
誰かが見ろよ。どこかに残れ。
そう、祈る。

「あなたはあなたの望む『普通』じゃない。だが、取り立てて目立つところもない凡人だ。」

声が聞こえる。
だが戦うのだ。無為と戦うのだ。
他愛もない喧嘩でも。それが戦いであるならば、祈りが宿る。
どうか誰かが見ていますように。永遠に爪痕が残りますように。

お前が。お前が。こっちを見ろ。
パトリシアが銀の籠手で放った左フックを、丘はたやすく受け止めた。

 

以上……。」

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