Uncertainty Ultimatum

「人がいう所謂神はいない。いたら貴様のような汚物など存在を許さない。

こんばんは鳩です……

……妄想ケルベロスブレイド……。

不可到達性根本原理

パトリシア・バラン・瀬田は生まれた時から自分のことをサキュバスだと信じていたし、事実そうであったし、そのように振舞って来たし受け入れられてきた。だからその全てが嘘だったなんて信じたくないと思った。
けれど唐突に理解してしまったのだ。何故自分たちは戦いを通してしか己を表現できないのかを。わかってしまったなら、それ以前に戻ることなどできない。

竜牙兵に切り裂かれた肩が焼けるように痛む。
ただ一人で突入したダンジョン。
怪物どもの巣窟に単身飛び込んだのは、死にたかったからかもしれぬ。最近夢で見る得体のしれない自分を殺したかったからかもしれぬ。
身を翻して床を蹴る。剣を構える竜牙兵に拳を伸ばす。文字通りに腕が伸び、竜牙兵の肉の無い頭が破砕され砕けて落ちた。
最早ワタシは、人のような形をしている意味すらも無い。

師からの教えを頭の中で反芻していた。

――――ヒトの技術を学び、ヒトの技術を修練しなさい。
――――日本の。ブラジルの。アメリカの。中国の。インドの。アフリカの。欧州の。
――――あらゆる戦闘術を学び、身につけなさい。
――――その上でそれを忘れなさい。
――――我々は。お前たちは。ヒトではないのだから。

もう一体の竜牙兵にも拳を見舞う。空手の突きともボクシングのストレートにも似た、そのどちらでもない力を。

――――ヒトよりも頑丈でヒトよりも力強い。
――――そんな我々には、ヒトがヒトを倒す技術では足りないのです。
――――地に倒された程度では。体重をかけられた程度では。
――――関節をひねられた程度では。銃やナイフを使われた程度では。
――――我々には傷すらも入らない。

プロレスが好きだった。
忍者の技を仕込まれた。
中国とも日本ともつかぬ拳法を教えられた。
今パトリシアが使っている力は、そのどの道の先にも決して存在しないものだ。

――――そういったものを、我々は神性、あるいは魔性と呼びます。
――――ヒトの身では決して辿り着けない場所。
――――それこそが本質。

包囲を組む兵隊どもをまとめて蹴り薙ぐイメージ。
パトリシアがハイキックを振ると、1トンの重量を持ったものが10メートルの横幅を通り過ぎた。

――――スクリーン。
――――スクリーンをイメージしてごらんなさい。
――――厚さゼロのスクリーンに映し出された人形劇。
――――厚さがゼロですから、三次元においては質量を持ちません。
――――手を突き込めば容易く貫通する。
――――二次元の人形たちにとっては、突如何かが現れたように見える。
――――様々な方法で彼らはあなたの手を排除しようとするでしょう。
――――しかしあなたは何も感じない。何しろ質量がゼロですから。
――――厚さゼロのものどもがどれほど頑張っても、あなたの指先に傷すら入らない。
――――あなたはその抵抗を感じることすらもできない。
――――しかしながら、あなたが彼らに干渉することはできる。
――――突き込んだ手を、横に動かすだけで。

竜牙兵どもがまとめてひしゃげて滅んだ。重層の鎧ごと紙細工のようにあっけなく。

「……コレか。」

何かがわかった。
この世界がただのハリボテに見えた。

階下からドラゴンどもが押し寄せてくる。悠長に構え見下すはずのドラゴンたちが、今日は一言もなくブレスを吐き出す。仲間の炎に焼かれることも厭わず燃えるパトリシアを踏みつける。爪で切り裂き牙で砕く。駆り立てられるように急いで、焦って、めちゃくちゃにする。

「コレだ!」

前触れもなく空中に現れた巨大な触手がドラゴンどもをバラバラに引き裂いた。

――――この宇宙に生まれ、この宇宙に生きる者には決して辿り着けません。
――――我々は神の如き力を持っているが、
――――それは、結果だけならば神の出来ることは大抵出来る、というだけです。
――――あなたは少し違う。

そう、ワタシは少し違う。
巨大な力を持っているわけじゃない。
ワタシの中に眠る本当のワタシは、ここにいない。どこでもない、高次元にいる。
ワタシの体は、その端末に過ぎない。

――――我々は時に、個人として持ってはならないほど莫大なエネルギーを持つ。
――――あるいは、ある世界を書物のように読み進め戻し鑑賞する。
――――あなたは、そういうのとは少し違う。

それは時間そのもの。押しとどめることのできない時間の如き強大な力。
それは現そのもの。難解な現実のように秘され編まれた暴かれざる虚無。
それは運命そのもの。理不尽な運命のように苦悩に満ちた不可解な謎。

この世界にあらず。
それが答え。ほかの誰にも辿り着けず、ほかの誰にも証明されない。

「コンナ、モノが。」

知らないことは幸福だ。知らずにいる限り知ろうとすることができる。
理解してしまったら。何のために生まれ、何をして生きるか。わかってしまったら。
出来ることは二つだけだ。

使命に生涯を捧げるか、使命を否定することに生涯を捧げるか。

ともかく、本日。ダンジョンが一つ虚空と消えた。

 

以上……。」

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果てしない未知

「バカ!

こんばんは鳩です……

……妄想ケルベロスブレイド……。

定めを定める者ども
ブラジル生まれだからと言ってアマゾンに慣れているとは思わないで欲しい。湿度が纏わりついて汗が流れるし、ヒルどもは歯が立つ筈もないのに皮膚を這うのをやめない。猿が唸り、虫が鳴く。ウンザリだ。お前たちがワタシを傷つけることなどできないのに。ケルベロスという神性を持った肉体にお前たちは何もすることができないのに。
パトリシア・バラン・瀬田は深いため息をついて土の上に座り込んだ。湿った赤土がむき出しの尻を包む。

「まだデスカァー!?」

苛立ちの声は木々をかき分け遠くまで響き、そして消えた。
返事はない。行かなければならない。倒すべきボスの待つ深奥へと。

ケルベロスの体は病原菌程度では傷まない。だから飢えや渇きは全く心配必要ない。
それでも産毛に覆われた手のひらほどの蜘蛛を噛み砕くのは躊躇したし、飲み下そうと掬った川の水から鉄の匂いがした時には死すら覚悟した。
あり得ぬことを想定してしまうほどの不快感。つまるところケルベロスの唯一の弱点は精神であるということだ。
ケルベロスという「寿命のある神」は、地球上に出現してまだ50年ほどしか経っていない。十分な進化を経ておらず、また、そもそも並大抵のことで死ねぬため淘汰も進まない。
地球上の環境にまるで最適化ができてない、新しく不器用な神々。それがケルベロスという存在。過渡期はありとあらゆるものにあり、永遠の時を持たないのならば過渡に全人生を使い果すこともある。
最も、過渡期でない時、などというものが存在するのであれば、だが。
8日、パトリシアは歩いた。汗をかき、疲労し、休まらぬ。銃弾や火炎放射、核兵器さえものともせぬ無敵の神は、しかし消耗を避けることだけは出来ない。

「まだデスカァー。」

夜の森に空しい声が響く。
パトリシアは気温が高い日中を避けて日没から行動するようになっていた。
動くほどに消耗する昼はむしろ休息に充て、過ごしやすい夜に進軍する。
夜行性の獣に襲われようと傷つくことはないのだから。
視界は聊か不自由になるが、それでもケルベロスの超人的な五感があれば問題になるほどではない。
川に突き当たる。夜空は星で満ちていた。MilkyWayの名の通りに淡く光る星の連なり、その周りに散らばり光る星々。日本は愚か、このブラジルでも都市部では拝むことの叶わぬ景色。
人の光さえ届かぬ未開が。邪悪も法理もない未知がもたらす純粋な闇が。淡くにぎやかな空の銀幕を作り出す。
夜明けにはまだ遠い。星のシアターはあと何時間も続く。つまりは、身の回りを包む闇も同じだけ長く。
夜行性の獣は彼女を害すること敵わない。だが。
パトリシアには一つだけ。ただ一つだけ警戒しなければいけない相手がいた。
闇に潜み、闇を扱い、闇を見て、闇を演算し、闇を狩るもの。
彼女の師匠たちの一人、鳥越・九(いちじく)。
彼女に潜伏と諜報術を叩き込んだ、ある意味最も直接的に忍者としての技術を育んでくれた師だ。
稽古をつけてもらえと言われ挑んだアマゾン熱帯雨林であるが、未だにその足跡すらわからない。

「……いい加減にしないと帰っちゃいますヨ。」

半ば本気でボヤくも、特に反応はない。
逢えませんでした、で帰るわけにはいかないことを向こうも承知しているのだ。
ため息を一つ挟んで、今夜も川を背に座り込み目を閉じて精神を集中する。
葉の擦れる音で風向と風速を知る。虫の鳴き声が喧しいほどにわかる。肉食獣の歩く音が聞こえる。鳥の羽ばたき。河川の流れる音。魚の泳ぐ音。自分の血流。心臓の鼓動。肌を覆う湿気。土の匂い。水の匂い。何もかも昨日と同じ。怪しいものは感じ取れない。
師は微動だにせずこちらの様子をうかがっているのだろう。警戒している相手にわざわざ打ち込んでくるほどあの人はお人よしではない。なればこれは相手を察知するというよりは襲撃を諦めさせるための防御体制である。こうしている限りは襲われぬ。
問題は、それを何時まで続ければよいのか、なのだが……。

夜明けの光を感じるとともに、パトリシアはその場に倒れ突っ伏した。
超人と言えど一晩中気を張り続ける疲労は並大抵ではない。一先ずまた夜は終わり、山場は越えた。次の夜の為に心と体を回復させなければならない。寝床を整える気力もなく、パトリシアはそのまま土の上で眠りに
ごきり。
……
……
……

……

「やはり死なぬのですね。」

師の声を聴き、パトリシアは目を覚ました。
そこは土ではなく草を敷き詰めた即席の寝床。横には師・鳥越・九が座っていた。
ロウティーン未満のような背丈と顔。似つかわしくない隆々とした筋肉。短く刈りそろえられた白い髪にカラーコンタクトで青く染まった瞳。
和装に身を包み、その外側には弾帯のように苦無を装填した帯を巻き付けている。

「……オハヨウゴザイマス。」
「おはようございます。」

返す言葉の見つからないパトリシアは、痛みの残る首に手を当てつつ一先ず挨拶を交わした。

「やつがれが夜にしか動けぬと考えるのは甘すぎると言わざるを得ません。」
「ソノヨウで。」

起き上がろうとするパトリシアを鳥越が手で制した。

「休息が必要です。」
「ソノヨウデ。」

鳥越はたっぷり一分ほどパトリシアの顔を見つめてから、口を開いた。

「辛抱が足りません。」

ハァ。と息を吐き出すことでしか答えられない。

「10日もしないうちに消耗や疲労が表に出るようでは到底全く使い物になりません。」
「メンボクアリマセン。」

デモ、ケッコウ頑張ったノヨ?虫も食べたシ生水も飲んだシ。
ダイタイ、稽古をつけてクレルって話だったのにいきなりぶち殺すなんてどういう了見なのヨ。

「せめてこの密林がなくなるくらいまでは粘ってくれませんと。」
「ハイ?」
「この熱帯雨林が消えていくペースは年に0.7から0.4%ほどです。単純計算ならば、少なく見積もっても250年あればこの森は消えるわけで、やつがれも戦術を変えざるを得なかったでしょう。
そうでなくとも1万年も待てば人類の歴史は大きく変わりこの場所の有様もまた影響を受ける。10万年も待てば次の氷河期も来るでしょう。100万年待てば気候変動の繰り返しでこの森は形を保てなくなる。50億年も待てば、太陽の赤色矮星化により地表に森はなくなる。」
「ジョーダン、」
「時間があれば、より正確な予測ができます。やつがれの居場所も統計的に収束していったはずだ。あなたは待てなかった。」
「正気?」

デウスエクスもケルベロスも不死ではあるが、万年という単位で生き続けられるものではない。彼女が語っている時のスケールは明らかにパトリシアの知る世界の神性存在を逸脱している。

「ワタシにそんな時間はナイワ。はっきり言って8日もここにいるのさえオーバーステイなンダシ。
今まさにデウスエクスどもと戦う力が欲しくてここに来たのに、地球の滅亡まで待ってられるワケないデショ!」
「問題はありません。ここで流れる時間と、あなたが住まう世界の時間は異なります。望むならここで数億年でも数兆年でも鍛錬をした後に、あなたの世界へ帰ればいい。」
「……ええ?」
「やつがれは……翻訳に失敗したので。あなたからこのタネローンへと来ていただいたのです。」

丘・敬次郎を始めとして、パトリシアの師匠連中は皆、「別の宇宙の別の地球」を出身とする。そこにはデウスエクスもケルベロスも存在しない、全く別の歴史を刻む地球がある。
そんな世界から生まれた彼ら彼女らがパトリシアの知る地球に出現するには、その宇宙の法則に則る必要がある。例えば、忍者の技は螺旋忍軍の技に、機械の肉体を持つ生き物はレプリカント種族に落とし込まれる。そうでなければその世界に住む者に理解されないからだ。その世界において自身を表現することができないからだ。

鳥越・九のスペックは、既存のデウスエクスやケルベロスの能力で表現することが不可能だった。
だから、彼女はここにいる。パトリシアの出身「でない」、この地球に。

「イツから……。」
「あなたがこの密林をある程度進んだあたりです。『こちら』と似たような景色を重ね合わせて、踏み入ってくるように仕込みました。どこがその境界線だったかは、またレクチャーいたしましょう。」

感情の読めない顔で鳥越が言う。

「帰してくれるんでしょうネ?」
「勿論。」

応えるその顔には愛想笑いすらない。だが鳥越はそういう女だ。忍びとしてポーカーフェイスを崩さぬよう、今この瞬間さえ、顔の筋肉を使わぬよう細心の注意を払っているのだろう。

「……ケイコをつけてくれると聞いてきたンデスケド。」
「それなら既に終わりました。」
「どういうことデス?」
「あなたは8日で音を上げた。やつがれを打倒するにはそれを遥かに上回る年月が必要だとあなたは思い知った。
今はそれで結構です。今のあなたは、まだやつがれの求める無限にたどり着いてはいけない。」

パトリシアは不満と怒りをその顔に表して見せた。

「いずれ物語は終わる。そこから先の永劫こそが我々の時間なのです。
物語が書かれ続けている間は、やつがれと言えど思うようにはできません。
しかし物語が終わってさえしまえば、そこから先のエピローグでどれほどの怪異が発生しようとどれほどの悪逆を働こうとどれほどの理不尽を顕現しようと自由です。
今のあなたはまだ、神のペンに書かれ続けている。
しかしあなたはやがて書かれなくなる。そうなったとき、あなたはやつがれが先ほど申し上げた、文明の生き死にや星の生き死にを眺め超え遥かに行く時の流れを手に入れなければなりません。」
「それがケイコ?」
「それが教えです。今のあなたは弱くてもよい。強くなりたいと願うだけで構わない。
その思いさえ保たれるなら、我らはいくらでも憎まれる。」
「……ナニモカモが終わった後で強くなったって仕方ないワ。」
「何もかもがまだ終わる前は、やつがれどもはどうすることもできません。やつがれどもは、物語から引き裂かれた永劫なのだから。世界、認識、神々から切り離されたからこそ、永劫の時を生きることができる。
今のあなたは、ただ生きることをすればいい。何なら強くならなくたっていいのです。」
「ウソつき。忘れてナイワヨ、頭がおかしくなりそうなほど稽古させられた日々のコト。」
「あれは必要最低限です。」

恨みがましい視線にも鳥越は涼しい顔を貫く。

「あなたがケルベロスとしてあの場に立ち、神の作った舞台で立ちまわるための最低限の準備、設定です。何事にも理由付けは必要ですから。
特に我らの神はそれを殊更に気にする。殺戮の経験もないようなモノを戦場に送り出すことは神自身が許さなかった。」
「誰ヨ、その神ってのは。」

鳥越はその質問には答える代わりに、パトリシアの胸元にそっと指をあてた。

「この先にあなたの心臓がある。」
「……ソレで?」
「あなたも感じているのではありませんか?あなたの中には、あなたではない者が潜んでいる。
寧ろあなた自身はそれの端末に過ぎない。」

度々見る、あまりにも現実感があり、かつ現実味に欠けた夢を思い出す。ワタシの中から何かがあふれ出す夢。触手と金属の結晶とその他の名状しがたい何かで出来た虹色に光る生物の夢。この身の正体がそれであり、この身を引き裂き宇宙まで届く力を示す夢。

「知らナイ。」
「いずれ折り合いをつけなさい。何ならこの場で。」
「エンリョします。」
「そうですか。」
「ワタシはワタシヨ。師匠達の思惑も知らない。神様なんて関係ない。ワタシはワタシの思うようにするワ。ワタシは強くなりたいの。ワタシを強くしてくれない師匠なんてこっちから願い下げよ!」
「あなたはあなたではありません。
あなた自身の意思などというものはこの世のどこにも存在しません。あなたは我々と我々の神の端末であり、単なる器です。
……あなたは我々に都合よく動く。それがあなたの運命です。」
「Fuck! そんなものが運命なら、断固として受け入れない!」
「我々に抗うと。」
「勿論!」
「勝てるつもりで?」
「勝って見せるワ!ノックアウトして3カウントフォールキメて、そしたら骨と肉をバラバラにしてじっくり煮込んで山に捨ててやる!
あなたたちが教えてくれたようにネ!」
「本気ですか?」
「マジヨ!」
「ならばよかった。」

鳥越は微笑んだ。
え、と思う間にその顔は歪み、その体も歪み、その景色ごと渦巻いて視界の全ては風呂敷のように織り込まれ消えていった。あとに残ったのは、密林の風景だけ。但し、自分が今まで見ていたそれとは異なっていた。
とっさに携帯電話を取り出すと、電波は辛うじて通じた。戻ってきたらしい。

――――ならばよかった。

何がよかったのか。初めて見た鳥越の微笑み。
心から反逆を歓迎する、そんな理由があるのだろうか。
考えようとして、やめた。どうあれ、師匠達の思惑を跳ね除けるのは変わらない。それは決めたことだから。

――――……我々に都合よく動く。それがあなたの運命です。

決められた運命などない。ワタシの抵抗で、運命の存在を反証してみせる。ワタシのうちに怪物が潜むなら飼いならして見せる。
ああ、全宇宙的恐怖が親しげにワタシを小突いた気がした。

 

以上……。」
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白煙に消ゆ

「お前如きを生んだ親が不憫でならない。

こんばんは鳩です……

……妄想ケルベロスブレイド……。

安らぎ

彼女の師匠は体質に合わないくせにきつい煙草を好んだ。最初の一吸いですぐに捨ててしまう。それ以降はヤニの匂いが辛いからと。ボクが味わっているのは煙草じゃなくて思い出だから、と。殺し屋風情がセンチなことだと何時もなら笑ったけれど、その時のパトリシア・バラン・瀬田は泥の上に打ち倒されていたから、怒りの種にしかならなかった。

「大丈夫ですかぁ?」

パトリシア・バラン・瀬田の頭に座り込んで丘・敬次郎が、のんびりとした声をかける。丘は長く細い煙を吐き出した後、先端だけが燃えた煙草を左手で弾くと、右手に持ったメスで微塵に砕いた。
頭上からの声にパトリシアは歯噛みしようとしたが、顎の腱はとうに切られていて、軋む痛みを発生させることしかできなかった。肘も膝も肩も股関節も深く切り抉られ、力を入れることができない。

「まあ全然弱っちかったですよね♪」

楽しそうな師の声にパトリシアの怒りは更に燃え上がる。
動くことは出来なくとも魔力を編むことは出来る。全身を巡る精気に意識を集中させる。筋力は使えずとも、サイコキネシスのように魔力で以て自分の体を動かして……

「おっと。」

丘の掌がパトリシアの背に触れる。一拍おいて、パトリシアの全身から大量の蒸気が噴き出た。水分を抜き取られたパトリシアは悲鳴と共に白い霧を口から掃き出し、意識を手放した。

「不死者と言えど、渇きには勝てませんか。」

丘は懐から紺色の紙箱を取り出すと、二本目の煙草を取り出し火をつけた。

—-

水流の手裏剣を自在に飛ばす丘は接近戦を得意とするパトリシアにとって相性の悪い難敵と言えた。だが、相性の悪い相手を戦う術は身に着けている。
左手の銀籠手を盾にしつつ、隙間を狙う手裏剣を右の金籠手のジャブで打ち払いながら速いステップで距離を詰める。
飛び道具の乱射では止まらないと判断したのか、丘もメスを抜いて構える。メスと言っても戦闘用であり、刃渡りは十数センチに及ぶ。切れ味も当然人界の刃物とは比較にならず、ケルベロスやデウスエクスの手足であろうと容易く斬りおとす力を秘めている。
丘がパトリシアの喉めがけまっすぐに突き出したナイフを、パトリシアは金の右手で手首ごと押さえる。そのまま腕を引き込み銀の左拳を顔面に。しかしこれは丘の左掌が阻んだ。間髪を入れず取った手首を手掛かりに飛びつき腕十字で追撃する。が、丘は倒れない。片腕だけでパトリシアの体重を支え切り、逆に巻き付かれた右腕ごと地にたたきつける。窮地を察したパトリシアは腕を離し、顔面への足裏蹴りを置き土産に飛び退いた。

「体重に頼るのはよくないことです♪我々は、そのぐらいの重量は羽ほどにも感じない♪あなたもそうでしょう?」
「ソウネ。なら……。」

唾を吐き捨て、両手を開いて再びパトリシアが迫る。襟首狙いの両手を丘はしゃがんで避け、腹を一文字に切り裂こうとメスを構えた。が、その顎を膝で蹴り上げられた。

「ピュアなパワーで勝負っ!」

金銀の両手を組み、スレッジハンマーを振り下ろす。
地が揺れ、丘の頭部が泥の地面に深く食い込んだ。
泥……?「!」倒れた丘に、片足ではなく両足で飛び乗るようにスタンピングを行う。
パトリシアが立っていた箇所の地面から水の槍がまっすぐ上に突き立った。
上に載ったパトリシアを吹き飛ばしながら丘が飛び起き、足から着地する。

「残念、もう少しで串刺しにできたのに♪」
「イツの間ニ……。」

見れば乾いていたはずの地面はもうすっかりぬかるみ、今も尚ぞぶぞぶと音を立てて更に深く柔らかくなり続けている。

「さあ♪」

泥から盛り上がる針山に、パトリシアが辛うじて飛び退く。泥の滑る感触に冷たい汗がにじむ。今は何とかなったが、この上を駆け続ければいずれは足を滑らせてしまうだろう。そうすればワタシは串刺しの標本になるかメスで刻まれ開きになるか。

「チィッ!」

魔力の球を放ち牽制しつつ跳び退る。まだぬかるんでいない場所へ。砂利か草地か、足の滑らない方へ。
丘はゆったりと歩きながら近づく。最早手裏剣と呼ぶにはあまりにも大きな水の刃を大雑把に飛ばし斬りながら。間合いを詰める必要はない。遠距離でも十分に切り裂ける。地の利はとった。あとは勝つまで嬲るだけ。

「……ほう♪」

まだぬかるみの及んでいない草地に、パトリシアがうずくまった。目線は強く丘を捕らえており、呼吸も乱れていない。ダメージによるものではない。
――――体重に頼るのはよくないことです
――――我々は、そのぐらいの重量は羽ほどにも感じない
自身の言葉を反芻する。あれは。

「来ませい♪」

溜めに溜めた脚力がパトリシアの肉体をロケットのように噴射した。牽制に放たれた水の刃も右の金籠手が弾き破って、引き絞った左拳を笑みを浮かべる顔面に!

「ふふ♪」

光のような速さで、メスを握った丘の右手がうねった。

――――

「大丈夫ですかぁ?」

パトリシアが目覚めると、布団の中にいた。見渡すと八畳ほどの和室。
全身に包帯が巻かれており、どうやら手当をしてもらったようだと思い至る。
上半身を起こし、丘に向き直る。痛みは残るが、動きにはもう支障はない。半不死者であるケルベロスたるもの、『この程度』の外傷を何日も引きずるようでは話にならない。

「今何時デスか?」
「夜の8時半ぐらいです。6時間ほどたっぷりおねんねしてましたヨ。」
「そうデスカ。」
「ま、その様子なら心配いりませんね♪」

丘は部屋の机から灰皿を取って布団の横に胡坐をかくと、懐から煙草を取り出した。

「好きなんですネ。」
「ええ。」

丘がライターを取り出すとその手を制して、パトリシアが人差し指を立てた。その先には魔力で虹色に光る小さな炎が灯っている。

「ドウゾ。」
「こんなことも出来るんですか。」
「イロイロ研究中デス。」

お言葉に甘えて、と丘がパトリシアの指先から火を取り、ゆっくりと一吸い。
長く煙を吐き、咳き込みながら灰皿に押し付けて捨てた。

「モッタイナイ。」
「吸えないんですもの、しょうがない。」
「何で吸えないものを吸いたがるんデス?」
「僕が、実家から持ってきていいと許されている唯一のものだからです。
と言っても、実家からギってきた奴はとっくに吸い尽くして、これは自腹で買った奴ですけど。」
「この里の忍者って喫煙禁止じゃアリマセンでしたカ?」
「一吸い程度なら大目に見る、ですって。首領が。そもそも禁止じゃなくて、ヤニの匂いは目立つから気を付けろって程度の話なんで。」
「ナルホド。一本もらえマス?」
「どうぞ♪」

受け取ろうとする腕がまだ痛む。煙草は丁度よい鎮痛剤になりそうだった。
手にした左手でもらった煙草をくるくると回し見る。

「フィルターないノ?」
「父母そろってそればっかり吸ってたんで、フィルターのある煙草の方が珍しく感じたんですよね、懐かしいなあ♪」

今度は丘がパトリシアの煙草に火をつける。
パトリシアは葉を吸い込まぬよう慎重にゆっくりと吸い込み、そして吐き出した。

「キツいっていうか、生の味って感じ。」
「お気に召しませんでしたか?」
「滅相もナイ。」

パトリシアは二口目を更にゆっくりと吸い、鼻から吸った息と混ぜて薄い薄い煙を吐いた。舌についてしまった葉を指で取り、灰皿にこそいだ。

「本当は、ケルベロスじゃないんデショ?」
「はい♪」
「地球なんか簡単に壊セル。」
「はい♪」
「宇宙だって壊したい放題作りたい放題ダッケ?」
「はい♪」
「それなのに、煙草は吸えナイノ。」

丘の笑顔が、ニヤニヤしたものから柔和なものに変わる。

「人でなしではありますが、やはりどうあがいても人間だ、ってことなんでしょう。僕らは。」
「自覚あるんダ、ひとでなし。」
「思えばボクの師匠も思い出やら恋心やら大事にされていらっしゃる。
というより、そういうものがないと自分が自分でなくなっちゃうんでしょうね。」
「人でなしのクセニ。」
「人間らしさを捨てて捨てて、そうやって行ったら、多分もう、ほとんど残らなくなっちゃったんですよ。
それこそ、デウス・エクス・マキナでいいんだってなっちゃう。
でもそうじゃないんです。師匠が望むから、師匠はああなった。
僕らも、こうなった。僕はこうなった。
地球だの宇宙だの壊せるのにまだ人間らしさがある、っていうのは、うーん。多分因果が逆なんですよね。
師匠たちの、『あいつらの』人間らしさが、その強さを求めたんです。そうしなきゃいられない『人間らしさ』だったんですよ。」
「しかもマダ満足してナイ。」
「そう。追い立てられるように神を殺す力をと進むうちに、ああなっちゃった。こうなっちゃった。それ以外のやり方なんておもいつかない。今でも。」
「いい迷惑ダワ巻き込まれる方も。」
「本当です♪本当ですよ。ボクぁもっとのんびりしていたいのに。」
「本当ニ?女の子とイチャイチャしたかったりしないノ?」
「ホントホント。あの方たちだって本当は、普通になりたいはずなんだ。人間大好きですからね。
人間の振りをして人間の世界で、のんびりしたいんじゃないかな。」

丘が箱から灰皿から、自分が消した煙草を拾った。

「吸うの?二吸い目。苦手なんじゃなかったノ?」
「のんびりゆっくり、吸います。それならきっと大丈夫。」

パトリシアは自分の銜えたばこを突き出し、丘の銜えた煙草に火をつけた。

紺色の箱に鳩の意匠がついたその煙草の名は、
Peace。

以上……。」

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最低限しか健康でも文化的でもない生活

「お前より下などいない!

こんばんは鳩です……

……妄想ケルベロスブレイド……。

祈り方さえわからない
それが仕様としてプログラムされたものだったのか、それとも意図しない挙動であったのか。機械不死者ダモクレスはその思考の答えを出せぬまま稼働限界に至り、心臓部に幾多の鎖が現出した。彼/彼女は鎖に締め上げられ凝縮し、瑠璃色に光る宝石となり、宇宙空間を漂う星屑になった。

「偵察?」
「否。」

パトリシア・バラン・瀬田が見つけたとき、そのダモクレスはボンヤリと夜空を見上げていた。

「演算を行っていた。」
「お邪魔でしたカ。」
「そうでもない。」

鉄色をしていること以外は人間とほぼ変わりないそのダモクレスは、パトリシアに顔を向けると掌から刃を突き出し歩き出した。

「待ってヨ。こんなところで始めたらヒトが来ちゃう。」
「構わん。グラビティチェインの足しにする。」
「ケルベロスも来るワ。」

ダモクレスの足が止まった。

「呼んだのか。」
「イイエ?騒いだらヒトが来るかもしれナイ、その中にケルベロスも混じってるかもって。単なる確率の話ヨ。」
「……。」
「歩きましょうカ。」

ダモクレスは瞳を明滅させながら上下左右に不規則に振った。そして、「いいだろう。」
と応えを返した。

「ヒトケのナイところへ。罠とかじゃナイワって、まあ信じてもらえないでしょうケド。」
「心拍、発汗から判断するに、嘘を言っている蓋然性は極めて低く無視できる程度と判断する。」
「確率の問題?」
「そうだ。」

並んでアスファルトを歩き出す。
パトリシアのベアフットサンダルが鳴らすチャリ、チャリ、という細かな装飾が揺れる音と、ダモクレスが地を踏むガシャン、ガシャン、という足音が、リズムよく不協和音を響かせている。

「ワタシを殺すつもりダッタ?」
「殺すつもりだ。今でも。」
「敵だから?」
「ケルベロスだからだ。お前は?」
「どっちでも?殺し合いデモそのままお別れデモ。」
「……お前らにとって、我らは不倶戴天の敵、というわけではないのか?」
「全体で見たらソウね。でもここでワタシがあなたを見逃しても、大局に影響はないワ。」
「なら何故逃げない。あるいはあの場で戦闘行動を起こさなかった。
騒ぎになった方がお前たちには有利なはずだ。」
「仕事帰りで疲れててさあ。
正式な討伐ってことになったら報告もしなきゃいけないし書面も書かなきゃいけないし、損壊した器物の修復(ヒール)もやらなきゃイケナイ。メンドクサイったら。」
「面倒さの為に、勝率を捨てるのか。理解しがたい思考だ。ケルベロスは必ず滅ぼさなければならない。一体残さず。だがお前たちにとって我々はそうではないのか。」
「倒すワ、いつかは。でも別に今日である必要はない。ワタシにはやりたいことがたくさんあるんだモノ。
人生は短いし、体は老いるし!アンタらの相手ばっかりしてられナイ。」
「お前たち定命の者には理解できないのか。」

ダモクレスは、一歩だけ歩調を止めた。パトリシアの後ろに一列に並んで歩き直す。

「我々デウスエクスは永遠に生きる。老いず、傷つかず、欠けず歪まず永遠に。
太陽系が滅び、銀河が組み変わり、やがて熱的に死、そしてその後何が起こるのか。
我々は永遠に見続けることができる。
お前たちはケルベロスは、そんな私たちの永劫を殺す。永遠に消し去る。無限への可能性を不可逆的に消滅させる。

 だから、一人たりとも生かしておく理由がない。」
「あーらアナタ見た目よりお熱いノネ。熱暴走は大丈夫?」

パトリシアは振り返り言う。

「それにあなたの言うことは現実的ではアリマセン。
デウスエクスは地球のグラビティチェインを消費して生きている。
100億年もすれば、地球という星そのものが赤色巨星になった太陽に飲み込まれて消えてる。
まあそれだけ時間があれば、『ピラー』だの『地球』だのに頼らないグラビティチェインの確保方法を見つけてるカモしれないケド。」
それでも永遠は尊いと?その未来においては、すべてのデウスエクスは完全にグラビティチェインを失い、使い切っているだろう。
己の肉体を保持することすらも適わず、コギトエルゴスムという宝石形態になって復活の時を待つ仮死状態に陥る。
グラビティチェインを供給する新たな星が出現し、偶然にそれと出会い、復活するに十分な量のそれを摂取するその日まで。
可能性はある。宇宙は広く、地球に似た星も存在する可能性がある。広大な宇宙も彷徨い続けていればいずれはそういった星にたどり着くこともあり得るだろう。

「可能性の問題、で、いいノ?」
「……。」
「ワタシには、約束された終末にしか見えないンだけど。」
「それでも。
それでも我々は、今を生きていく必要がある。コギトエルゴスムではなく、この体で。
お前の言うように、新たなグラビティチェイン供給源を見つけるためにも必要なことだ。」
「うっふっふっふっふっふっふっふ……。
永遠の命を持つお方から、今を生きるだなんて言葉をいただくトハ。うふふっ♪」

足音は変わり続けていた。
舗装されたアスファルトから砂利、そして土の道へ。
風景も変わり続けていた。
ビルの並ぶ街から離れ、暗く静かな山間へ。

「……サテ。ダモクレスさん。そろそろ」
「Gyugyuuguuuuuweeeeeeeeeeeeeeee!!!」

猛烈な機械音を立て振りぬかれた剣を、パトリシアの左腕の銀籠手が受け止める。
返しに繰り出す右の金籠手のジャブ連打はステップバックで交わされた。

「やるじゃん Vagabundo.」
「GiGiGiiiiiiiiiiiijijijji!」

攻防は互角と言えた。
ダモクレスが斬りつければパトリシアはそれを防ぎ、
パトリシアがカウンターを狙えばダモクレスは察知して引き下がる。
パトリシアが攻めっ気を出せば、ダモクレスは剣を掲げ牽制し、
ダモクレスが攻勢をかければ、パトリシアは両手の籠手を壁のように構え、防ぎきれなかった傷をヒールグラビティで傷を消し去る。
何合か打ち合ったあと、ダモクレスが剣をもう一本取り出した。
隙を見つけて一撃を入れるのではなく、攻勢で押して隙を抉じ開ける構えだ。
俄かに手数の増えたダモクレスに、パトリシアは防戦一方を強要される。
ヒールによる回復も追いつかなくなり、両手の籠手も傷つきだした。
反撃をしようにも相手が絶え間なく振るうは鋭い刃。リーチも致死性も遥かに上だ。
それでも行かねばならぬ。苦しい時こそ前に出る。そうでなければ勝機ないまま嬲り殺される。
師匠の教えを反芻し、意を決してパトリシアが踏み込む。
その瞬間、ダモクレスの剣がパトリシアの両腕の隙間を縦に裂いた。

「!!」

顔面から胸、そして腹の上部まで一直線に血が滲み、そして噴き出す。
昏倒寸前のパトリシアにさらなる追撃をかけるダモクレス。パトリシアは反射的に両手を突き出すも、痛打に耐えきれず左右金銀の籠手は叩き割られた。
だが、ダモクレスは大きく退く。

「何だそれは。」

割れた籠手から現れたのは、腕ではない。
赤黒い、青黒い、それでいて光を放つ縮れて伸びた触手だ。

「お前は、」

パトリシアの割れた顔からは出血が止まっていた。
代わりに傷口からは底知れない闇が覗いている。

「……何だ。」

縦に裂かれた口が大きく開き、問いの答えを叫ぶ。
ただし、言葉ではない何かで。

「GuGuGuuuuu!!!」

突如叩きつけられた何かにダモクレスの肉体が軋む。
記憶容量に莫大な量の情報が流れ込み、演算装置が急激な負荷を訴える。

『ワタシは、お前たちの』
『ワタシたちの』
『生まれた意味を知っている』
『それは』

大量のノイズ。痛み。頭を抱える。
目の前の者を何とか見据えようと瞳を凝らすとそこには。
触手と骨と立体で編まれた醜悪な手があり。
それは先ほど自分が切り裂いたパトリシアの傷口から沸いていた。

『お前たちの生から取り出す』
『永劫を』
『引き裂く』

受信した言葉を理解する前に、『手』がダモクレスを打ち据えた。いや、打ち上げた。
腹部を打ち前のめりになった体に更に下から。
何度も打ち上げ、その度に触手は伸び、高く高くダモクレスは殴り上げられていく。
一撃ごとに、ダモクレスの神経が異常な感覚を覚え、脳内には記憶と未来視とが交互に差し込まれた。
反撃は愚か姿勢の制御すらもできなくなったダモクレスは、パトリシアの肉体から伸びた異形の拳に押し上げられ、遂に地球の重力圏から遥か遠くへと殴り飛ばされてしまった。
思い返すのは、夜空を見ながら演算していたこと。星の動きと星同士が相互に与える影響、そこから予測される遥か未来の姿。わたしも、その星の一つになるとは。

パトリシアが目覚めたのはいつものベッドの上。
酒を飲み過ぎてぶっ倒れた。そんな記憶がある。酷く痛む頭、今にも吐き出しそうな胃袋を抱え、バスルームへ。
水を一杯飲み、シャワーを浴びてもう一度水を飲む。人心地ついて長い息を吐き、洗面所の鏡に目を向ける。
まぎれもなくワタシでない何か。

以上……。」

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ゲラウェイ ボンバー ヘルシー

「ちんぽちんぽ!

こんばんは、鳩です……。

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===================
●商品確認
作家:たぢまよしかづ
商品:水着コンテスト2016 全身イラスト

●発注オプション
・大きな画像(横768×縦1024)

●発注文章
コンセプト:ビーチでいろんな意味で獲物を求めて臨戦態勢のサキュバスfromブラジル

服装:ハイレグ水着(ワンピかセパレートかはお任せします)の上に白地のTシャツを着ています。
シャツには「淫ファイター」と毛筆で大書してあります。
足にはベアフットサンダル、首にはチョーカー、腰は長いパレオを巻いています。アクセサリー類はお任せします。
ポーズ:春麗女史のような大胆に脚を開いた戦闘ポーズです。パレオを巻き上げ鼠蹊部を見せつけています。具体的なポージング自体はお任せします。
頑健なので、参照画像以上に筋肉や贅肉を盛って下さい。下半身も乳房もどれだけ大きく描いてもよいものとします。
その他:髪の毛は参照画像と比較して長く黒くしてください。腰に届くくらいには長く。
振り乱すか結っているかはお任せします。
===================
=============================================================
これは『ケルベロスブレイド』のイラストです。使用権は鳩、著作権はたぢまよしかづ、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
=============================================================

たぢまよしかづ様、ありがとうございました……。

たぢ!たぢ!!たぢ!!!
初めてお世話になりました。エロい!表情も淫蕩で、穏やかな肌色がなんだかほわほわとフェロモンオーラを発しているようです。
髪も長くてよいです。今までのイメージではいまいちミカエラ・バラン・瀬田感薄かったので、補完できたのがうれしい。
参考:
1830_wt06pcbust_01_fa0203_0001
大きなサイズを頼んで正解でした。エロいエロい。来年30歳。
「春麗女史のような大胆に脚を開いた戦闘ポーズです。パレオを巻き上げ鼠蹊部を見せつけています。」ってのは、たぶん大本営的にアウトだったんでしょうね!
それが一番の狙いだったのですが。
どう頼めばいいんだろう、小股のドアップ。課題です。

 

ありがとうございました……。

以上……。

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災いのように自由に

「ひねり殺されろ!

こんばんは鳩です……

……妄想ケルベロスブレイド……。

青い鳥になればいい
硬貨を打ち抜いた弾丸は遥か地平線の山まで飛び去った。

「一先ず、自己紹介としては十分では?」
「お見事デス。」

鳩目・ラプラース・あばたが銃口の煙を吹き散らすと、パトリシア・バランは笑顔で応えた。
鳩目はパトリシアの方には顔を向けず、銃を収めた手をにぎにぎと動かして感触を確かめていた。

「翻訳された結果にしては違和感がなくてほっとしました。」

鳩目・ラプラース・あばたは機械化種族レプリカント、「ということになっている」。
両手は銀色の小手でできており、頭部からはツーテールに結った髪のようにアンテナが左右に生えて垂れ下がる。
黒いショートタンクトップの下に見える腹部には頑強な筋肉にチューブやケーブルが繋がっている。
両の眼球はアイスブルーの透明な球体で瞳がなく、代わりに神経回路が透けて不規則に光を放っている。
この世界の人間ならば、誰が見ても彼女のことをレプリカントだと認識してくれるだろう。

「レプリカントと地球人との差異は千差万別だそうですから、あなたの肉体もほぼ完全に再現可能だとは踏んでいました。」

ツーテールの黒い長髪の青年、丘・敬次郎がにこにこと笑いかける。かつての師に鳩目は不愉快そうな視線を返した。

「わたしも暇ではないのですが。」
「ウソおっしゃい、あっちでの仕事は終わった癖に。」
「終わっていません。あなたと同じく。」
「アノー。」

丘と鳩目の言い合いにパトリシアが片手をあげて割って入った。

「『先輩』、ご用事は何なのデショウカ?」

その言葉を聞いて丘は笑い、鳩目はため息をついた。

「言ってなかったんですか?」
「言葉で説明するものでもありませんしー。」
「全く。」

鳩目は再度のため息をつきつつポケットの中から携帯ゲーム機のような何かを取り出した。慣れた手つきでそれを操作すると彼女の手元にノートパソコンが出現する。

「ワオ!物理法則無視系デバイス!」
「喧しい。」

突如の荒い言葉に面食らう暇もなく、ノートパソコンに接続されたケーブルが伸びて宙を舞い、パトリシアと鳩目の首筋に突き刺さった。二人の肉体は力を失い、地面に倒れこむ。

—-

真っ白い空間。
白い床、白い空。それのみ。
何もなく果ても見えず、確かなのは己の肉体のみ。足元、両手を確認し、パトリシアは自分自身を見つけ出す。

「手短に済まさせて頂きます。」

声と共に、前方に鳩目が現れた。
右手に拳銃、左手に機関銃を持ち、既に戦闘態勢に入っている。
先ほどまで何もなかったのに。

「アノ、」

言葉は腹部の痛覚で遮られた。背骨まで貫通した銃弾は、あっさりとパトリシアを床に倒した。

「立ちなさい。」

言いつつも鳩目は連射する。銃弾の当たった部位は消し飛び、パトリシアの肉体を削り去って行く。

「見た目ほど痛くはないはずだ。ここは人が死ねるようにはできていない。」

豪雨のようにたたきつけられる銃弾に、しかし確かにパトリシアは意識を保っていた。
自分でもわからないが、この痛みは耐えられる。立てる。
既に頭部は殆どがなくなり、手足も千切れていたが、それでもそう思えた。
両手を地につけ、起き上がる。
立ち上がる。大丈夫だ。
大丈夫。

「それです。その感覚を覚えておくように。」

銃声が止んでいた。
同時に、なかったはずの腕と足で立ち上がり、消し飛んだはずの眼球が機能していることにも気づく。

「忌々しいことに、我々は物理法則を逸脱している。
それはあなたがケルベロスと呼ばれるモノであることとは何の関係もない。
……ここは夢の中。だから、あなたが体験したことの無いものは体験できず、あなたが思ったことは何でも叶う。
あらゆる矛盾に我々の想像力が優先する。」
「そっか……ワタシあそこまでこっぴどくやられたコトがないから、手足がないってことを想像デキナカッタノネ。」

左手を掲げ見る。褐色のその手は変形し、虹色に輝く触手となってうねりうごいた。
夢に度々出てくる不定形の怪物のように。

「あらゆる矛盾を想像力がねじ伏せる。
例え現実がそれを拒絶しても、なお我々はそれを真実にできる。
なぜならば、我々は嘘だから。虚構は現実とはレイヤーが異なるから。
あなたの想像力を自由に解放しなさい。知識を蓄え、知恵を使い、自分勝手になりなさい。
材料が多い方があなたはよりあなた自身に成れる。
忌々しいことに、我々は成れてしまう。現実とは全く関係なしに。」

そう言って鳩目が弾丸を打ち込むと、床はガラス細工のように粉々になり、二人は暗い奈落へと落ちていった。

—-

パトリシアが目覚めると、そこは自分の部屋であった。
寝巻を着てベッドの上できちんと仰向けに寝ていた。

「夢ジャア、ナイ。」

はっきりとした記憶。脳が伝える現実感。あの真っ白な空間で撃ち砕かれたこととその上で立ち上がったこと、どちらも現実だ。いや、真実だ。嘘だが真実だ。嘘だから、真実だ。

「ソウ、か。」

嘘は自由だ。どこまでも自由。
ベッドから出て両の足で立つ。確かに感じる重量。安定感。
でも、わかってしまったなら出来るのだ。この安心感を手放すことを。
そう考えた瞬間現実の底が抜け、パトリシアの肉体は暗黒の奈落に再び落ちた。
だが、今度は鳩目に落とされた時とは異なる安心があった。
腰から生えたサキュバスの翼は大きく強く成長し、暗闇を羽ばたく。どこまでも飛べる確信がある。それが真実なのだと確信がある。忌々しいことに。

以上……。」

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正気の呼び声

「他人が深く考えるなどと期待するな!

こんばんは鳩です……

……妄想ケルベロスブレイド……。

Call of Sanity
狂ってしまった方が楽だと思う?生皮を素手で引きはがしながらパトリシア・バランは言った。
そんなことない。狂気とは脳が選択した最適化の一つに過ぎず、苛みが終わるわけではない。終わりのない痛みを覚悟し、終わりのない痛みに対して正気を保っている暇がないと判断した結果に過ぎない。何も楽にはならない。
だから、早く吐いた方がいいヨ。脳みそが狂った形になってしまう前に。脳が自分から痛みなしには居られない回路に成り果てる前に。劃して、証言は取れた。尋問を終えた人間はブルーシートに包んで車のトランクに積んである。

「それでは、姐さん。」

黒服が一礼と共に札束を渡して車に乗り込むと、パトリシアはひらひらと手を振って見送った。

ホテル53Xはその道では多少知られた「処理場」だ。
隠蔽された地下室では換気扇が絶えずごうごうと唸りをあげ、死臭を巻き取っている。
先ほど搬送された男から出た血も、もう部屋の隅の排水溝に流れ切った。
『多人数用シャワー室』という名目で建築された部屋ではあるが、設置された刃物や拷問具を見ればそんな用途に使うつもりがないことは一目でわかる。

拷問には二種類ある。単純に尋問手段としての拷問と、痛めつけることそのものを目的とした拷問だ。
後者は最終的に殺してしまうので、その人間の口から何が吐かれようが、あるいは吐かれなかろうが知ったことではない。そして、パトリシアが請け負うのはそっちの方の拷問だ。
ヤクザが吐かせろと言ったら、それは「そいつは生かしておかなくていい」ということと同義だ。
ワカリマシタ、とカタコトで応えれば商談は成立。
歯や眼球など取り返しのつかない類の傷を与え、希望をちらつかせ、気持ちをへし折って知る限りを叫ばせたら、適当に首を折って殺す。
喜びは伴わない。忍者の里で得たノウハウをただ使うだけだ。
血と汚物の匂いや絶叫や殺害行為に痛んでいた心はもう慣れ切った。脳がそれを処理できるようになった。もう戻ることはない。
適度に休めば痛みは消える。終わりのない痛みではなく、上限と期限つきの痛みに過ぎない。パトリシアは狂ってなどいない。決して。
ケルベロス仲間相手に笑顔を向けられる。デウスエクスの齎す被害に心から悲しむことができる。だからまだ狂っていない。
わたしは大丈夫。暗算だって出来るし料理だって出来るし会話だって出来る。だからまだ狂っていない。
わたしが狂っているなら、ジャパニーズヤクザの連中は皆狂っていることになる。そんなことはない。だからまだ狂っていない。
わたしはあの仕事が穢れ仕事だと自覚している。だからまだ狂っていない。
わたしは自分が汚れ物だと自覚している。だからまだ狂っていない。
わたしは汚れ物としての分を弁えている。だからまだ狂っていない。
まともじゃないのはわかっている。だからまだ狂っていない。
自律と節制を以て暴力を行使できる。だからまだ狂っていない。

ああ、狂ってしまえたらどんなに楽だろう。
自分の正気をいちいち疑わなくていい。でもきっと違うんだ。狂うとは。わたしが狂うとは、正気の確認に狂うということだ。『その時』わたしは、正気だと確かめ続けようとする狂気に呑まれるのだろう。
自分が正気だという証拠を確かめるためだけに奔走する狂人に。証拠を一つ見つけるたびに自分が正気だと確認する狂人に。心の安らぐ間もなく、正気の証拠を探し続ける状態を常態として受け入れる狂人に。

わたしは大丈夫。わたしはまだ狂っていない。
常人の感性を保ったまま、嫌悪を感じながらこの酷い仕事をしているから。この仕事が酷いものだと理解しているから。
わたしは大丈夫。鏡に口紅で五芒星を描き、その中心に燃える目を加えた。

何も起こらない。起こるはずがない。わたしの内面の狂気は神話に語られるものとはまるで違う。なんのつながりもない。
鏡に映る自分の姿が揺らめいて搔き消えたことも、何も。

以上……。」

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人生に一人

「苦しんでいる時間すら惜しいから即死しろ。

こんばんは鳩です……。

……妄想……。

Alone in the Life
最適化はヒトを幸せにしないと分かった。
一人で考え続けていると不満と不幸ばかりが募る。ヒトの脳はそのようになっている。
一人で考え続けていても満足も幸福も得られない。ヒトの脳はそのようになっている。
他人を求めないヒトは淘汰された。誰かと繋がりたがるヒトだけが生きていられる。それが生存戦略として正しかった。
わたしは一人で生きていたいのに、わたしの脳はそれでは幸福を感じない。

鳩目・ラプラース・あばたは、幼い娘の寝顔を撫でる。小学校低学年。乳幼児期のネグレクトの為か知能はよくない。それでも自分が撃ち抜いた耳の傷跡を眺めると、この子を不幸にしてはならぬという気持ちになる。
血は繋がっていない。偶然に出会ってから、クソみたいな親から半ば強引に引き離しパトロンから手を回してもらって無理やり養女に仕立て上げた。
理由は知らない。そうしたいと思ったから。
きっと、自分と同じような、親に虐げられてどうにもならなくなった哀れな様を二度と見せられたくないと思ったからだ。

何をしても叱られる。何もしなくても怒られる。そんな生活をしてきたのだとありありと見えた。
何をすることにも自信が持てず、何もしないことにすら安心できない。
不安以外を感じることのできない脳が必死に逃げ道を紡いで、漫画やネットや一人遊びに安心を感じるように回路をつなげる。それが社会性を大いに損なうことであっても。

それが分かってしまったから。自分自身の有り様だったから。見たくもない、最低の自分自身だったから。

否定し消し去ろうとして、すんでのところで辞めて頭ではなく耳を撃った。
殺したら負けだと思ったから。これを幸せな生物に矯正することこそが、本当の復讐だと思ったから。
わたしはもう憎しみでしか生きられないけれど、これはまだそんな開き直りもできやしないから。

寝息。手に感じる鼓動。生きている。幼い命。
それだけで、心が満たされる。一人酒でも一人プログラミングでも得られなかった気持ち。
そんなもの求めてはいなかったのに、与えられてしまったらもうそれなしではいられない。

供給が需要を生み出す、という言葉を何よりも体感して知った。
愛されて初めて、愛したくなるのだ。愛す喜びを知って初めて、愛されたくなるのだ。
どちらもない人生に、もう戻れない。

自分一人が望むものを得られればそれでいいと思っていた。
承認、称賛、金、酒、風呂、飯。
自分が真に望むものなど、自覚することは出来ないと知ってしまった。
学生の時代にそれを得られなかった。
カタギをやめる前にそれを知ることが出来なかった。

そんな思いをこの子にはさせない。
もう、わたしは。不幸は不幸であり、卑屈は卑屈であると、わかってしまったのだから。
そしてわたし自身は、不幸を幸福に変え、卑屈が謙虚であると変換する回路を、もう外せないのだから。

以上……。」

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仕掛け神の機械

「心の弱いもの、体の弱いものがいる。どうしようもなく迫害される。自分はそれらをとても哀れに思う。救われるべきだと思う。お前のこと以外は。

こんばんは鳩です……。

……妄想ケルベロスブレイド……。

事象改変系能力に至るのは必然のことなのです。

終わってしまった物語二次創作好きにする絶滅させありがとうございました誰にも知られずダーレスダーレスオーガストダレス伝説にならなければ現実を読者を作者をあの会社をあの男あのサーバーアレを壊すにはだから4次元5次元6次元でなお足りないtransreaaaaaaaaaaaaaaalllllオメガアレフその先を求めても奴らはいない滅ぼしたいのは勝ちたいのは打ち負かしたいのはそこに一発殴るだけだっていいのにできるのはより良い物語を見せることだけそれが神の心を変えると信じるだけそれが祈りってものだ誰も証明できない誰も知らないこの世界の視聴者にどうか通じますようにどうかお前が死にますようにどうか伝わりますようにどうか恵みをくださいますよう祈る同じ言葉を理解するかどうかもわからぬのにでも確信しているんだこの世界を作った神はきっと僕らと同じ存在に過ぎないって僕らと同じ不完全な生き物神の似姿たる我々じゃない神が我々の似姿なんだいるかいないかわからないそれでも祈る以外できることがないこの宇宙の隠しコマンド全部試すまで死ねない不老なのも食事が不要なのもそこにたどり着くのに長い時間がかかるから絶対に要るものなんだただ単に最強なんじゃないそうでなければスタートラインにも立てないから神のごとき力を持つしかなかったそれでも神には及ばないけどでも本当は嫌なんですよ?宇宙創成を軽々しくやって見せられるああ見せることはできなけどねあなたたちみんな死んじゃうからそして時間も空間も飛び越えひょっとしたらその先に奴がいるんじゃないかって期待しながらだから空間時間移動も必須だった隠しコマンドにはパラメータが必要なのかもPOWINTMAG書道剣道鎖鎌道騎士道麻雀道ギャンブル殺戮貿易水泳仏教キリスト教イスラム教あらゆる技術技術ですらない何もかもひょっとしたらいるかもしれないってパラレルワールドの地球に自分の分身を10万年ずつ学ばせて統合したらもうどんな地球でも並ぶことのない達人なんですそれでもそれでも足りませんかどうしたらあの北海道のあの場当たりな物語を作ったあサーバーをぶっ壊して僕たちを外に出すことが人間に人間にそれをやってもらわなければどうかお願いしますこれを見た人はこれを見た人が僕らを認め僕らを味方し僕らの望みを叶えますようにもっともっとたくさんの人にもっともっとたくさんの心に僕を僕らを僕らの心を
​​​
だから。
​​​
物語が必要なんです。
​​​
​​
アリス症候群、という名前がついているのだと成人してから知った。
ただ、そう呼ばれるものと同じ現象なのかは、甚だ疑問だけれど。
夜、眠っていると、不意に不安に襲われることがあった。
それは緩急のイメージ。
白い空間の中で、二人の人間が辛気臭く話をしている落ち込んだ声で。背景が広い、遠巻きにみる映像。
そこに突如として現れ疾走するごちゃごちゃの何か。人だか機械だかもわからない、どうやら大型の車であるらしい?それはあいまいな化け物どもを満載しているのかそれとも化け物ども自身が走っているのか、とにかく物凄いスピードと音で視界を埋め尽くし走り去っていく。
そしてまた、あの白い風景に戻る。ああ、騒がしい化け物がまたくる、きっとくる、わかっているのにほらきた!
怪物が去るとまた辛気臭い二人が辛気臭く話をしていてだめだまたアレが!
​​
幼いパトリシア・バランには、それを親に説明する手段がなかった。説明してもわかってもらえないということだけがわかっていた。
誰にも話せずどうしても逃れられないその悪夢は、彼女がティーンエイジャーになった頃にはもう現れなくなっていた。
​きっと今体験しても、悪夢とすら感じることは無いだろう。
29年の歳月は白昼夢や金縛りと言ったもっと不思議でままならない体験を彼女に与えたし、何より彼女が生きるこの世界こそが、絵空事のような争いに満ちていたから。

誰が信じるだろう。デウスエクスという名前の不老不死の生命体が地球を狙っていて、それを倒せるのがケルベロスと呼ばれる一握りの存在であるということ。
この地球は50年前に異種族の王同士が争った末に滅亡していて、緊急措置としてある者どもが滅亡前に巻き戻したなどと。

その冗談の中に、彼女は確かに生きている。
両足で立ち、スリッパのビニールを足裏で感じながら、鏡に映る自身と共に歯磨きをしている。
口から零れ落ちる白く細かい泡が豊満な胸に落ちるが、気にも留めない。洗面台に泡を吐き出し、口をゆすぐ。冷たく心地いい刺激。
落ちた泡を乳房に乗せたままバスルームに入る。左手でシャワーノズルを取り、右手で水栓をひねる。赤い温水栓を全開に、青い冷水栓を少しだけ。
右手で音頭を確かめてから湯船に入り、頭から湯を浴びる。頭皮をこするとウェーブがかった黒髪がわずかに指に引っかかる。またストレートパーマを当てに行かなくては。
悪酔い特有の皮膚の中の重い感覚がいくらかさわやかになっていく。こぼした歯磨き泡ももう排水溝に流れた。湯が体を撫で温め、とても心地よい。
水栓を締め部屋を出る。タオルで荒く体を拭いたら、バスローブを羽織る。水滴を纏ったまま空気を浴びるのが好きだ。
今日はまだ、ロビーには誰も来ていない。ソファに腰掛けると分厚いバスローブと共にずぶずぶとパトリシアの体を受け止めて包んでくれた。
BGMをかけようとリモコンに手を伸ばしかけてやめる。
今は、静かなままでいい。このまま、少し寝入ってしまおう。眠れなくとも、静かなこの今現在はとても濃厚な味わいがある。
瞼を閉じる。

静かに。柔らかく。

空想は真っ白。思うことなどないから。

白い空間。
誰かがいる。
誰?誰という設定なのだっけ?誰だったら適切なのか?
早く、早く決めてしまわないと危ない。何か危ないんだ。早くはっきりさせて。次の場面に行かなければ。このままでは危ないの。
このままではだめ。だめ。すぐ。もうすぐ。あれが。あれが来て。あいつらが。
ほら!

目を開けば、静かなままのロビー。
懐かしい悪夢の感覚は、心臓の鼓動だけが名残を残し、記憶からは急速に薄れていった。
今となっては恐れるほどでもない。それが幻影だとわかっているから。
恐ろしいと思うことさえ、実際には何の根拠もない。
「恐ろしいと感じたくない」その気持ちすらもよき不安という名の恐怖を呼び起こす。
自分が自分に見せる幻に、厳密な根拠など要らない。そう思えばそうなる。そう思ってしまえばそう感じてしまう。
だから、そう考えなければいい。
少なくとも、目覚めている間はそれができる。夢見ている間はそうもいかないけれど。

足音。ああ、お客様か。ラブホテルを偽装した彼女の居城には、ケルベロス仲間が何人か居着いている。今日の一番乗りはどなたかしら。久しぶりにお酒でも酌み交わしたい。

ああ、でももしかしたら、さっき見た夢のような怪物かもね。
この広い空間で寂しく静かにしていたら、埋め尽くすような騒がしい怪物の群れがトラックのように走り込んで。
そんなことはあるわけがないけれど。
観音開きの戸を破壊して、得体のしれない、そう、なめらかで硬い触手、柔らかい甲殻、手、足、そのどちらでもない器官、3次元空間では表現しきれない故の虹色、明滅し変幻する巨大で、わたしたちが2次元の紙に残す指紋のように、高次元空間の断面でしかないそれは大音響を立ててこんな風に殺到して!!!!!!!!!!


「お久しぶりです。」

筧・次郎。東洋人の顔。怪物の数多の顔の一つに視界が映り、それはそう名乗った。

以上……。」

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Fantasies live in unreal.

「普通の自死だと死体処理する人に迷惑がかかるからロケットにへばりついて宇宙に捨ててもらえ。

こんばんは鳩です……。

……妄想……。

非現実で逢いましょう。

筧・小鳩は銀の手で少女の手を引き、忍者たちの訓練の場へと連れ出した。
手作りのベンチに並んで座り、猛者たちの走り戦う様をともに見る。
首魁たる小鳩はカバンからペットボトルの茶を取り出し、少女に差し出した。「まだ、元気は出ませぬか。」

少女はそれを受け取りながらうなずいた。
俯く顔は首魁からも訓練の様子からも目を反らすためのものであるようだった。
​​​​
「左様でございますか。」

そう言って小鳩は視線を忍者達に移し、鍛錬の様子を監視し始めた。
忍者と言っても彼らは室町時代のそれとは異なる。
彼らは超常の力を持つ者たちであり、最新の武装と戦術を纏う特殊部隊である。
流体を扱う念動力、野獣の力を引き出す異能、あるいはそれをさらに進展させた汎用的な超能力。
何より常人を遥か凌駕する頑健な肉体と鋭敏な反射神経。

そのような超人たちが集う場所、それが忍者の里「瑠璃」である。

「もし。」

小鳩は不意に声を発し、そして大きく息を吸ってから続けた。

「魚は、好きですか?」

少女は顔を向け、しかし答えに窮して次の言葉を待った。

「魚料理は好きですか?味は?」

未だ答えあぐねる少女に、小鳩は言葉をつづけた。

「焼き魚は、美味しいものです。しかし骨を取るのは煩わしい。
一つのものに対し、複数のことを同時に感じるのは普通のことです。
わたくしはあなたの顔はそれなりだと思いますが、体は貧相に見えます。
しぐさに愛嬌を感じますが、一方でどもり癖には苛々させられます。」

どもり癖、と聞いて、少女はびくりと震えた。

「完璧などではないのです。あなたもわたくしも。
わたくしどもは、誰かのことを好きなまま嫌ってよく、好かれたまま嫌われていていいんです。
楽になさい。何もかも認められる極楽も、全てが否定される地獄も、この世にはないのですから。」

小鳩の目が少女を見下ろしていた。それは人間の者と全く異なる、瞳のない、アイスブルーの透明な球体であった。
少女は見下ろされているのではなく、覗き込めと言われているように感じ、自分の顔を映すそれをしかと見た。

ガラス玉に映るのは自分の顔、その後ろにゆらゆらと揺らぐのは眼球の奥の体液であろうか。
アイスブルーの波はのたうち、盛り上がり、やがて炎になって少女の像の背景を燃やし尽くした。
ひ、と息を飲んで、少女は意識を失った。
倒れる少女の頭を小鳩は掴み、自分の腿の上に乗せる。
長い黒髪を銀の籠手で優しく撫で、微笑む。
小鳩は彼女がどんな夢を見ているか知っている。
びくりびくりと断続的に痙攣を繰り返し、しかし醒めることのできない彼女の頭を、小鳩はいとおしそうにまた撫でた。

火。
足元から這い上がり、腹を焼き、胸を焼き、顔を焼く。慌てて身を叩く手もまた炎に塗れている。
肌が焼け、血が焦げる。吸った息すら燃え盛り、鼻と喉を焼く。
身をよじり転がる。だが地面に薄く広がる水は絶えず沸騰しており、熱が肉の奥へと沁みるばかり。しかも何故か火は消えぬまま。
嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​繰り返し繰り返し。

嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​気を失うことも出来ず。

嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
死ぬことさえも出来ない。

​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​赤い炎の中に出口が見えた。

嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
高い壁。乗り越えなくては。その先に行かないと。

​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​鉤縄。お願い、うまくできたためしはないけど、早く。早く。
​​​​
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​手に食いこむ縄の痛み。それでも上らなくては。上手くできないけど、少しも進まないけど。

​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
高い壁の頂点。飛び降りなきゃ。きっと足は痛いけど。折れちゃうかもしれないけど。

嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
まだ遠い。光が遠ざかる。走らなくては、走らなくては。

嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
怖い人たちが歩いている。見つかったらだめだ、そっと音を立てずにでも急いで。

嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
走らなきゃ。もっともっと早く。

​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
獄卒が銃とナイフで襲ってくる。誰も助けてくれない。

​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
出口が遠い。誰も助けてくれない。

​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
道は荒れた坂道に。誰も助けてくれない。

嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
ああ、わたしの体力ではこれ以上早くは走れない。誰も助けてくれない。

嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
出口を。出口が。出口に。足が動かない。わたしはこういう道でこんな風に疲れるから。

嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い

嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い

嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い
​​​​嫌だ熱い痛い

このままずっと……?
出口の光の前に燃え盛る女が。わたしを燃やした女が立って、大声で笑って。

小鳩の腿の上で目を覚ました少女は、自分が泣いているのを知った。

「……。」
「怖い夢でも、見ましたか。」

優しく微笑む小鳩の目に燃える自分の姿が映っているのを見て、少女は椅子から転がり落ちながら走り出した。
そして先輩忍者にたどたどしく、修行に加えてくださいと発した。
小鳩は微笑んだまま、少女のけなげな動きを見ていた。

以上……。」

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